表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら十歳の幼女医師でした~前世の医学知識で異世界医療を改革します~  作者: NN
外伝 エリーゼ編 遺伝の重荷

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

161/222

第5話 希望の光

リーゼと出会ってから、一ヶ月が過ぎた。


私たちは、すっかり親友になっていた。


   ◇


「エリーゼ、この症状が出たときは——」


「うん、分かった。メモするね」


毎日が、学びの連続だった。


リーゼの知識は、底なしに深い。


私が知らないことを、次々と教えてくれる。


「病気には、必ず原因がある」


リーゼがよく言う言葉だ。


「原因を突き止めれば、治療法も見えてくる」


その言葉が、いつも心に響いた。


   ◇


ある日、薬理学の授業で——


リーゼが驚くべきことを言った。


「この薬草は、血液の凝固を促進する効果があります」


私は、はっとした。


血液の凝固——


それは、弟の病気に関係する言葉だ。


「リーゼ、もう少し詳しく教えて」


「え? うん、いいよ」


リーゼは、丁寧に説明してくれた。


「血液が固まる仕組みは、とても複雑なの」


「いくつもの物質が関わっていて——」


「どれか一つが欠けると、血が止まりにくくなる」


私は、必死にメモを取った。


(これだ……)


(弟の病気に関係している)


   ◇


授業が終わった後、私はリーゼに聞いた。


「リーゼ、血が止まりにくい病気って、知ってる?」


「血が止まりにくい……」


リーゼは、少し考え込んだ。


「いくつか種類があるけど……」


「例えば、血友病とか」


「血友病……」


私は、その言葉を噛みしめた。


「それは、どんな病気なの?」


「血液を固める成分が、生まれつき少ない病気よ」


リーゼの目が、真剣になった。


「遺伝する病気で——」


「男性にだけ発症することが多いの」


   ◇


私は、動けなくなった。


(遺伝する病気……)


(男性にだけ発症する……)


それは、まさに——


弟の病気と同じだ。


「エリーゼ? どうしたの?」


リーゼが、心配そうに覗き込んできた。


「顔色が悪いよ」


「……ごめん。ちょっと、疲れたみたい」


私は、無理に笑顔を作った。


「今日は、先に休むね」


「うん。無理しないで」


   ◇


部屋に戻り、ベッドに座り込んだ。


「遺伝する病気……」


リーゼの言葉が、頭の中で繰り返される。


弟の病気——


それは「呪い」だと、ずっと思っていた。


でも、リーゼは「病気」だと言った。


(病気なら……)


(治療法があるかもしれない……)


希望の光が、見えた気がした。


   ◇


翌日から、私はリーゼにさりげなく質問を重ねた。


「遺伝って、どういう仕組みなの?」


「どうやって、親から子に伝わるの?」


「治療法はあるの?」


リーゼは、一つ一つ丁寧に答えてくれた。


「遺伝は、親から子に『設計図』が伝わること」


「その設計図に、病気の原因が含まれていることがある」


「治療法は——まだ完全なものはないけど——」


「対処法で、寿命を延ばすことは可能よ」


   ◇


私は、どんどん希望を感じていった。


「呪い」ではなく「病気」。


「病気」なら、医学で対処できる。


いつか、治療法が見つかるかもしれない。


(リーゼに、全部話そうか……)


何度も、そう思った。


でも、勇気が出なかった。


弟のこと、家系の「呪い」のこと——


それを話すのは、重すぎる気がして。


   ◇


ある日、リーゼが言った。


「エリーゼ、最近すごく熱心だね」


「え?」


「遺伝とか、血液疾患とか——」


「何か、理由があるの?」


私は、言葉に詰まった。


リーゼの目は、まっすぐ私を見ている。


見透かされているような気がした。


「……いつか、話すね」


私は、そう答えるのが精一杯だった。


「今は、まだ——」


「うん。いつでもいいよ」


リーゼは、優しく微笑んだ。


「私は、エリーゼの味方だから」


「話したくなったら、いつでも聞くね」


その言葉が、温かかった。


   ◇


三ヶ月が過ぎた。


私とリーゼの友情は、どんどん深まっていった。


一緒に授業を受け、一緒に実習をし、一緒に研究する。


リーゼは、私にとって——


かけがえのない存在になっていた。


「リーゼなら、分かってくれる」


そう確信するようになった。


「いつか、全部話そう」


「弟のこと、家系の病気のこと——」


「リーゼなら、きっと力になってくれる」


   ◇


その日は、もうすぐ来る気がした。


私が勇気を出して、全てを打ち明ける日が。


そして、リーゼの知識が——


弟を救う鍵になるかもしれない。


「希望がある」


初めて、心からそう思えた。


八年間、「呪い」だと諦めかけていた。


でも今は——


「病気」として向き合う覚悟ができていた。


   ◇


リーゼとの出会いは——


私に希望の光をくれた。


暗闘の中で見つけた、一筋の光。


それを手繰り寄せれば——


きっと、道は開ける。


弟を救う道が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ