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炎と水と〜黒竜池に眠る秘密〜僕達の推理道程【改訂完了版】  作者: シロクマシロウ子
転落編・落下

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道中にて もらい事故も起こる

ー登場人物紹介ー


桜田風晴さくらだかぜはる・・・田舎の農業高校2年。

桜田晴臣さくらだはるおみ・・・風晴の父親。市議会議員。6年前から行方不明。

桜田孝臣さくらだたかおみ・・・晴臣の弟。ミステリー同好会顧問。地学教師。


大道正火斗だいどうまさひと・・・ミステリー同好会部長。高校3年。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・・・ミステリー同好会メンバー。正火斗の妹。高校2年。

安西秀一あんざいしゅういち・・・ミステリー同好会副部長。高校2年。父親は大道グループ傘下企業役員。

桂木慎かつらぎしん・・・ミステリー同好会メンバー。高校2年。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。

椎名美鈴しいなみすず・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。


真淵耕平まぶちこうへい・・・灰畑駐在所勤務。巡査部長。

真淵実咲まぶちみさき・・・耕平の妻。

真淵聖まぶちひじり・・・耕平と実咲の長男。農業高校2年。



 


 風晴が予想した通り、聖は今日はマウンテンバイクで民宿に来た。パーカータイプの半袖を着て 七分丈くらいのカーゴパンツを履いていた。

 着いた時にはハアハアと荒い息をしていて、ひどく思い詰めた顔をしていたので、迎えた風晴と正火斗は正直 何事だろうかと思った。

 オープンスペースに上がると、聖は風晴に意を決したように話かけた。


「桜田くん…………ごめんなさい」


「え?」


「昨日……行けなかった。お葬式。……分からなくて、何を……言ったらいいか」


 聖は必死に言葉をつなぐ。


「お父さんに……桜田くんが……父親みたいに思ってる人を…………亡くしたってきいて」


 聖は風晴を見た。


「分からなくなった。……何を言ったらいいのか。何を言っても……役立たない気がして。だから……来れなくて。お葬式にも……行けなくて」


 不覚にも、風晴はちょっとジンとしてしまった。最近は涙腺がゆるくなってるようでヤバい。


「さ、桜田くんが……大丈夫じゃなかったのに、何も……何もできなくて……ごめんなさい」


 聖はハアハアと息をついた。来たときの、マウンテンバイクを漕いで来た疲れからのものではなかった。

 彼にとって、こんなに言葉を振り絞ることは大変だったんじゃないだろうか。風晴は正直困った。どう伝えたらいいのか──この気持ちを。真淵聖に……伝わるように。


(考えてくれてありがとう? 当番行ってくれたんだから役立ってる? 違う。そうじゃない。そうじゃなくて……)


 聖は風晴を見てる。風晴の言葉を待っている。


「分かった! 真淵!」


 風晴はついに声に出した。


「友達になろう! オレ達! ってか、こんなにオレのこと考えてくれて もう友達だと思う。お前ってホントにいいヤツで、友達になってくれたらオレは嬉しいんだけど」


 思いもかけなかったワードが含まれていたのだろう。聖はしばらく理解に時間がかかっているようだった。

 だが、そのうち人差し指を立てて


「…………友達」


 と風晴を指差した。

 風晴はうんうんと、笑顔で首を縦に振った。

 すると聖は指を立てたまま、風晴の隣りに座っていた正火斗も指差し


「友達……!!!」


 と認定してしまった!

 風晴と正火斗は固まったが、聖はニッコリとした。

 ニコニコしている聖に風晴は


「あー……真淵、その……」


 と言いかけたが正火斗が


「いいよ。友達でいこう。友達が増えるのは嬉しいよ」


 とそこは止めた。ニコニコな聖は


「嬉しい」


 とハッキリと言った。

 それを見てか、正火斗はさらに譲歩(じょうほ)してくれた。


「僕と風晴はお互いに名前で呼び合っているから、君と僕も、君達も名前呼びでいいんじゃないか? 水樹なんか、勝手にもう君を名前呼びさせてもらっているようだし」


「分かった。……正火斗……」


 それから聖は、風晴の方を向いて


「か、風晴……」


 と言った。風晴は本気で結構嬉しくなった。うなずいて


(ひじり)


 と、初めて下の名前で互いを呼び合った。


 正火斗が


「聖、多分うちの2年の桂木慎も友達だと思って大丈夫だ。あいつ、同学年と会うと自動的に友達認定してるヤツだから。君ももう きっとなってる」


 と言い出したので風晴は笑ってしまった。


「確かに。アイツなら大丈夫だ」


 聖は真面目な顔をして


「桂木……慎……」


 と繰り返した。

 そして労せずに友達認定を受けてしまったことに胸がいたむのか、正火斗は妹の名前もだした。


「あとは水樹は? アイツは、凄く君と友達になりたがっているんだけれど……」


 けれども聖は首を横に振った。

 正火斗の落胆を、風晴は隣りで感じた。

 聖に聞いてみる。


「駄目? グイグイ来られて……苦手とか?」


 聖は


「女の子……言ってること……分かりにくい」


 と言った──ので、男子2人は物凄く納得させられた。


「怒るタイミングとか、ホント謎だもんな。こっちが何もしてないうちから機嫌悪かったりするぞ」


「本心……あまり……言ってない気がする」


「女子はアレだろう? 周期的なものもあるから。まあ、あまり近寄りたくないのも分かるよ」


 こうしてオープンスペースで話しをして、3人の友情は意外にもすんなりと育まれた。



 正火斗はもらい事故状態、桂木に至っては御本人様不在だったが、とりあえず真淵聖には 3人もの"友達"がいきなりできた!







おめでとう聖!

エピソードタイトルはいつも最後につけますが、こんなタイトルになるとは。

ただの会話書いてるの、結構好きです。もうこのまま彼らの日々を書き続けたらいいのに。

そう言うわけに、いかないんだよなぁ。

夏はいつか終わる。

そして事件も、ちゃんと終わらせなければ。解決をして。

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― 新着の感想 ―
男同士の友情が育まれる中、聖の世話焼き水樹ちんがその場にいないからとフルボッコ(。>ω<。) 憐れだ! 哀れ過ぎる! 色々とトラウマンな設定があるのに正火斗すら一緒になって……………。
聖に友達が増える素敵なエピソード……。 (*´ω`*) ……の、はずなのに水樹だけはフルボッコw 何考えているか分からないと言われただけに留まらず、周期的なものとか本人いないからと言いたい放題すぎま…
 もらい事故って、こういうことだったんですね。  本当の事故でなくて安堵しました。
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