表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎と水と〜黒竜池に眠る秘密〜僕達の推理道程【改訂完了版】  作者: シロクマシロウ子
過去編・父親達

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/145

炎と水のはじまり2

ー登場人物紹介ー


桜田風晴さくらだかぜはる・・・田舎の農業高校2年。


大道正火斗だいどうまさひと・・・ミステリー同好会部長。高校3年。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・・・ミステリー同好会メンバー。正火斗の妹。高校2年。

安西秀一あんざいしゅういち・・・ミステリー同好会副部長。高校2年。父親は大道グループ傘下企業役員。

桂木慎かつらぎしん・・・ミステリー同好会メンバー。高校2年。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。

椎名美鈴しいなみすず・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。


真淵耕平まぶちこうへい・・・灰畑駐在所勤務。巡査部長。

真淵聖まぶちひじり・・・耕平の長男。農業高校2年。


 

 正火斗の水樹の話しは続く。


「大道英之との一件があってから水樹は変わった。女の子の友達に男子が親しくなると、その男子を────誘惑するようになったんだ」


「え?」


 驚いて風晴は声を出していた。


「そして、その男子が自分に気持ちを乗り換えると──突き放した。それでも付き合おうとすると、ナイフで脅したんだ。"これ以上近づくなら刺す"と」


 正火斗は手で顔を覆う。


「男子からは当然恐れられるようになり、女子からは……言うなれば軽蔑(けいべつ)されていたと思う。

 彼女達の気持ちも分かる。水樹が余計なことをしなければ、上手くいったカップルもあっただろうから」


「でも水樹はもしかしたら…………守ろうとしてるんじゃないのか?」


 風晴の言葉に正火斗が顔をあげる。彼は


「君が水樹と同じ中学なら良かったのにな」


 と有りもしないことをポツリと言った。


「カウンセリングで水樹は言ったそうだ。"友達を守っただけだ"と。"見せかけだけの嘘の愛に傷つけられることから守ったんだ"と」


「あ────……」


 風晴はなんとも言いようがない声をだした。確かに水樹のやり方はひどく間違っている。でも、彼女の言い分に正しいものもある。


「専門家は、根本的な原因は男性への不信感と恐怖心、そして"自責(じせき)の念"だと。大道の言葉に(とら)われて、水樹は事件そのものを自分のせいだと思い込んでいるんだろう。

 果ては──

 "妹さんは真実の愛を見つければ、きっと良くなるでしょう。" なんてお伽話の魔法使いみたいなことを言われた。──もう、(さじ)を投げたんだと思う」


 正火斗は最後に力を込め、それから脱力した。

 風晴はその姿を見て言葉をかけた。


「確かに……その、水樹みたいな女の子に気がある素振りをされたら、揺るがない男子──多分日本中探してもそんな いないな。

 女子には悪いけどオレ達ってまだ、高校生になったって"なんかさせてもらえたらいいな"って下心ありきで……その上で好意持つ感じだし。

 (ひど)いって言われたら酷いんだろうけど。本能って言うか。

 今 "真実の愛を差し出せ”って言われても……キツいな。正直」

 恋もろくにしてないのに。


「愛はひとまず置いておくとして、水樹の信頼を勝ち得て恐怖心を抱かせない候補者は いたんだ。ちゃんと」


 正火斗の言葉に風晴は驚いた。


「オレの分かるヤツ?」


「勿論。秀一だから──安西秀一」


 風晴の頭の中に白ポロシャツ、スラックス、七三分け、黒縁眼鏡の安西が浮かぶ。


「ええ!!?? 幼馴染みとは聞いてたけど…………幼馴染み以上? あの2人が?? 全然雰囲気違うというか……ええっと、釣り合いがあまり取れないって言うか……。どっちかって言ったら、お互いがお互いに嫌ってる感じも……」


 多少だいぶ努力して多少、安西には失礼な発言になった。

 正火斗は風晴の反応に笑った。


「だから”愛は置いておいて"──だ。

 この5年間で、僕を除いて水樹が信頼していた異性は秀一だけだ。あいつといる時だけは素でいる────いや、素直ではないが、警戒してないのが分かる。しかも理由もある」


「それは?」


 風晴は前のめりになって聞いた。


「話したように、大道英之については僕ですらなんの注意も水樹にしていなかった。秀一だけ──彼だけが水樹に警告してたんだ。この事件よりも前に」


 "水樹のようにお姫様みたいに可愛い女の子は、新しいお父さんにだって気をつけた方がいいよ"


 正火斗は頭の中で回想した。

 宝来真夜呼と安西夫妻は仕事での付き合いが昔からあった。大道英之と母を引き合わせたのは安西夫妻だった。

 家族で会食をした後 子供だけ別室に移ってから、確かに秀一は水樹に言った。水樹はその言葉に怒ったんだ。

 それでも秀一は言った。


 "でもすごく可愛いから、気をつけないと。だって可愛いすぎるんだよ、水樹は"


 と。

 ん? おいおい、そこに……愛はないか?


(小学生なら男女間で何を言っても無罪放免か?

 あるいは5年経てば時効なのか?

 5年何もしなければ執行猶予もだいたいはきれるが……

 水樹の横に立つのを想像もしないのは、お前が果てしなく水樹を持ち上げているからじゃないのか)


 正火斗が眉間にシワを寄せて物凄く思い悩んでいる姿だったため、風晴はその形相を見守った。

 彼はやがて────肩を落として天を仰ぎ 息をついた。


「やめた。…………秀一の考えすぎる思考なんて たどりたくない」


「ああ、考えすぎてわけわかんなくなってるようなとこ、あるもんな」


 風晴は同意した。


「水樹は新たな出会いもあったから、そっちに希望を持つよ。

 真淵聖は……水樹に恐怖心を持たせず信じさせる可能性が、かなり高いと思う。彼のようなタイプは僕らの周りには いなかった」


 それも同意だ。聖は彼にしかできない何かがきっとある。


 風晴のスマートフォンがメール着信した。彼はそれを開いて見る。


「母さんだ。そろそろナス()って降りて来いって。みんなもう朝食始めてる。それから、予約客の新聞記者もまた到着したって」


 文面を聞いて、正火斗は縁側から立ち上がった。

 彼は風晴に向かって言った。




「さあ、第二章の始まりだ」




読んで頂きまして ありがとうございました。


今回、うちの主役級男子2人の恋愛に関するトークがヘタれすぎて、作者としては"そんなんじゃ人気出ないだろ"と苦笑でした。

そっちについては頼りない子達ですが、引き続き宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おいおい、そこに愛はないか? > 女将さん……………! と某CMを思い出してしまったよ。 そこに、愛はないんか?
確かにヘタれ気味なトークですねw なんかこう「問題あるよな〜」「だよな〜」で、自分たちは行動しない感じの男子トークを思い浮かべましたよ。 水樹をどうフォローするか話せよ! ……とw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ