表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/128

炎と水のはじまり2

ー登場人物紹介ー


桜田風晴さくらだかぜはる・・・田舎の農業高校2年。

桜田風子さくらだふうこ・・・風晴の母親。民宿を営む。

桜田晴臣さくらだはるおみ・・・風晴の父親。市議会議員だったが、6年前から行方不明。

桜田孝臣さくらだたかおみ・・・晴臣の実弟。ミステリー同好会顧問。地学教師。



大道正火斗だいどうまさひと・・・ミステリー同好会部長。高校3年。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・・・ミステリー同好会メンバー。正火斗の妹。高校2年。

安西秀一あんざいしゅういち・・・ミステリー同好会副部長。高校2年。父親は大道グループ傘下企業役員。

桂木慎かつらぎしん・・・ミステリー同好会メンバー。高校2年。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。

椎名美鈴しいなみすず・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。


宝来総司ほうらいそうじ・・・正火斗、水樹の実父。元陽邪馬市市長。桜田晴臣が行方不明になる同日に転落死。


西岡幸子にしおかさちこ・・・桜田家の隣人。


井原雪枝いはらゆきえ・・・風子に屋敷を貸す民宿オーナー。


真淵耕平まぶちこうへい・・・灰畑駐在所勤務。巡査部長。

真淵実咲まぶちみさき・・・耕平の妻。

真淵聖まぶちひじり・・・耕平と実咲の長男。農業高校2年。

真淵和弥まぶちかずや・・・耕平と実咲の次男。


北橋勝介きたはししょうすけ・・・フリージャーナリスト。



正火斗の水樹の話しは続く。


『大道英之との一件があってから、水樹は変わった。女の子の友達に男子が親しくなると、その男子を、、、誘惑するようになったんだ。』


『え?』


驚いて風晴は声を出していた。


『そして、その男子が自分に気持ちを乗り換えると 突き放した。それでも付き合おうとすると、ナイフで脅したんだ。"これ以上近づくなら刺す"と。』


正火斗は手で顔を覆う。


『男子からは当然恐れられるようになり、女子からは、、,言うなれば軽蔑(けいべつ)されていたと思う。

彼女達の気持ちも分かる。水樹が余計なことをしなければ、上手くいったカップルもあっただろうから。』


『でも水樹は、もしかしたら、守ろうとしてるんじゃないのか?』


風晴の言葉に、正火斗が顔をあげる。彼は、


『君が水樹と同じ中学なら良かったのにな。』


と、有りもしないことをポツリと言った。


『カウンセリングで水樹は言ったそうだ。"友達を守っただけだ"と。"見せかけだけの嘘の愛に傷つけられることから守ったんだ"と。』


『あー、、、、、』


風晴はなんとも言いようがない声をだした。確かに水樹のやり方はひどく間違っている。でも、彼女の言い分に正しいものもある。


『専門家は、根本的な原因は男性への不信感と恐怖心、そして"自責(じせき)の念"だと。大道の言葉に(とら)われて、水樹は事件そのものを自分のせいだと思い込んでいるんだろう。

果てはー

"妹さんは真実の愛を見つければ、きっと良くなるでしょう。" なんて、お伽話の魔法使いみたいなことを言われた。、、、、もう、(さじ)を投げたんだと思う。』


正火斗は最後に力を込め、それから脱力した。

風晴はその姿を見て、言葉をかけた。


『確かに、、、その、水樹みたいな女の子に気がある素振りをされたら、揺るがない男子、多分日本中探してもそんな いないな。

女子には悪いけど、オレ達ってまだ、高校生になったって、なんかさせてもらえたらいいな って下心ありき でその上で好意持つ感じだし。

(ひど)いって言われたら酷いんだろうけど。本能って言うか。

今 "真実の愛を差し出せ”って言われても、キツいな。正直。』

恋もろくにしてないのに。


『愛はひとまず置いておくとして、水樹の信頼を勝ち得て、恐怖心を抱かせない候補者はいたんだ。ちゃんと。』


正火斗の言葉に、風晴は驚いた。


『オレの分かるヤツ?』 


『勿論。秀一だから。安西秀一。』


風晴の頭の中に、白ポロシャツ、スラックス、七三分け、黒縁眼鏡の安西が浮かぶ。


『ええ❗️⁉️幼馴染みとは聞いてたけど、、、幼馴染み以上?あの2人が?全然雰囲気違うというか、ええっと、釣り合いがあまり取れないって言うか、、、。どっちかって言ったら、お互いがお互いに嫌ってる感じも、、、』


多少、だいぶ努力して多少、安西には失礼な発言になった。

正火斗は風晴の反応に笑った。


『だから、”愛は置いておいて"だ。この5年間で、僕を除いて水樹が信頼していた異性は秀一だけだ。あいつといる時だけは素でいる、、、、いや、素直ではないが、警戒してないのが分かる。しかも、理由もある。』


『それは?』

風晴は前のめりになって聞いた。


『話したように、大道英之については、僕ですらなんの注意も水樹にしていなかった。秀一だけ、彼だけが水樹に警告してたんだ。この事件よりも前に。』


" 水樹のようにお姫様みたいに可愛い女の子は、新しいお父さんにだって、気をつけた方がいいよ"


正火斗は頭の中で回想した。

宝来真夜呼と安西夫妻は仕事での付き合いが昔からあった。大道英之と母を引き合わせたのは安西夫妻だった。

家族で会食をした後、子供だけ別室に移ってから、確かに秀一は水樹に言った。水樹はその言葉に怒ったんだ。

それでも秀一は言った。


"でも すごく可愛いから、気をつけないと。だって、可愛いすぎるんだよ、水樹は。"


と。

ん?おいおい、そこに愛はないか?


(小学生なら男女間で何を言っても無罪放免か?

あるいは5年経てば時効なのか?

5年何もしなければ執行猶予もだいたいはきれるが、、、

水樹の横に立つのを想像もしないのは、お前が果てしなく水樹を持ち上げているからじゃないのか。)


正火斗が眉間にシワを寄せて物凄く思い悩んでいる姿だったため、風晴はその形相を見守った。

彼はやがて、肩を落として天を仰ぎ、息をついた。


『やめた。、、、、秀一の考えすぎる思考なんて たどりたくない。』


『ああ、考えすぎてわけわかんなくなってるようなとこ、あるもんな。』


風晴は同意した。


『水樹は新たな出会いもあったから、そっちに希望を持つよ。真淵聖は、水樹に恐怖心を持たせず信じさせる可能性が、かなり高いと思う。彼のようなタイプは、僕らの周りには いなかった。』


それも同意だ。聖は彼にしかできない何かがきっとある。


風晴のスマートフォンがメール着信した。彼はそれを開いて見る。


『母さんだ。そろそろナス()って降りて来いって。みんなもう朝食始めてる。それから、予約客の新聞記者もまた到着したって。』


文面を聞いて、正火斗は縁側から立ち上がった。

彼は風晴に向かって言った。




『さあ、第二章の始まりだ。』




読んで頂きまして ありがとうございました。


今回、うちの主役級男子2人の恋愛に関するトークがヘタれすぎて、作者としては、"そんなんじゃ人気出ないだろ!"と苦笑でした。

そっちについては頼りない子達ですが、引き続き宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
確かにヘタれ気味なトークですねw なんかこう「問題あるよな〜」「だよな〜」で、自分たちは行動しない感じの男子トークを思い浮かべましたよ。 水樹をどうフォローするか話せよ! ……とw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ