第1話。山岳マップ~針鼠のヘッジ、3人の従者と共にレベル2ダンジョンを攻略す。
シューギ大陸、神聖国トッケン、南東の端にある半島。
そこは、半魔物領と言える、人里離れた山岳地帯。
深き森に囲まれた半島の付け根、山中の名も無きダンジョン・・・。
日本より来た転生者ヘッジは、
仲間と共に、ダンジョン攻略に挑んでいた。
っち。
なんだって俺は、こんなヤツ等と、こんな事やってるんだ。
俺は、世の中と、ってか、
世の大半を占める、マヌケ共とは反りが合わねぇってのに。
俺は、一人で誰の世話にもならずに、生きて行きたいってのに・・・。
その為に、転生時、ダンジョンコアを貰ったまでは良かったんだ。
糞女神のヤツめ。
ダマしやがったな?
俺と同じ、巻き込まれの転生者。
幼女『キーちゃん』まで、俺に押し付けやがって・・・。
しかも、使命は果たさずとも良いって言ってやがったくせに、
使命を果たせと言わんばかりに、
俺が、
神の使徒が来る事を、こいつらに知らせてやがった。
・・・まぁ、良い。
俺は、自由気まま、好きに生きさせて貰うぜ。
その為には、とにかく、ダンジョンコアだ。
このダンジョンは『当り』
ここのダンジョンコアを取り込んで、
珠恵さんのレベル上げだ。
ついでに、このダンジョンの地脈も頂いて、
ここを拠点とさせて貰おう。
口の悪い、糞ババァと、
調子の狂う、おばちゃんと、
話の通じない、どちゃくそエロい女とは、今しばらくの付き合いだ。
何が『従者』だw
ケチな借金なんぞ、1000倍にして返してやるぜ?w
っち。
借金か・・・。
誰の世話にもなりたかぁ無いが・・・借金返済。
それまでは我慢。
俺が、この世界で、一人、好きに生きて行く為には、
ダンジョンコアを手に入れなきゃ、話にならねぇんだ。
魔族領では無い、人類領。
とは言え、人の支配の及ばぬ、半魔物領とさえ言える山岳地帯の、
名も無きレベル2ダンジョン。
そこに、潜っているのは、16歳の若者、
ダンジョンコア『珠恵』を使役する転生者、
獣魔使い、針鼠の『ヘッジ』と、
転生者と思われる、大魔狼に乗った、幼稚園児程度の子供『キーちゃん』。
彼らとptを組み、共に潜っているのが、
ノルド教の加護を受ける軽戦士、山猫族の獣人、枯葉の様な老婆『キマーリ』
ノルド教神職者、僧侶、羊族の獣人、おっとりとした小太りの中年女性『ミヤーザ』
ノルド教の加護を受ける重戦士、牛族の獣人、大柄で細身、18歳の金髪美少女『ルーシー』
彼らは、ヘッジの使役する魔物、大魔狼と、
ダンジョンコア珠恵の使役する魔物、コウモリ数匹と弓ゴブリン10匹を従え、
レベル2ダンジョン、8階、
最奥、ダンジョンコアを守る魔物の居るコアガード部屋、
いわゆる、ボス部屋前に到着していた。
半弓を装備し、その弓を引き絞ったゴブリン10匹が狙う、
最期の部屋の扉を前に、ヘッジが問う。
「珠恵さん?
準備は良いね?」
姿は無いが、5人pt全員の頭の中、
pt内通話でダンジョンコア珠恵からの返事があった。
「勿論です、マスター。
キルゾーン設定しました、いつでも行けます」
ヘッジが、ptメンバーに向かって言う。
「じゃ、扉、開けるぜ?
キーちゃんは、後に隠れてるんだぞ?」
大柄の女剣士、爆乳美少女ルーシーが、
革の大盾と片手剣を小さく振り、幼女キーちゃんに向かって笑顔で言った。
「大丈夫よ?
おねぇちゃんが、守ってあげるから」
枯葉の様な老婆、キマーリも、革の小盾とショートソードを小さく振り言う。
「キーちゃんは、良い子だねぇ。
それに比べて、この小僧ったら、
言う事を聞きゃぁしないんだから、まったく・・・」
太めの中年女性、僧侶のミヤーザが、杖を片手に笑顔でおっとりと言う。
「ヘッジちゃんは、良い子ですよう。
可愛いキーちゃんを、守ってるんだものねぇ?」
大魔狼に乗るキーちゃんは、
魔物の居るダンジョンの最奥に居るにも関わらず、
怖がる事無く、平然とご機嫌に言った。
「ヘッジちゃんと珠恵さんが居るから、怖くなんか無いもんねーw」
ヘッジは、キーちゃんに笑顔で応え、全員に向かって言う。
「ああ、楽勝さw
表と変わらねぇ。
さぁ、ボス戦と行くぜ?」
レベル2ダンジョン、最奥、
ダンジョンコアガード部屋の大扉が、ヘッジによって開かれた。
大扉が開かれるのと同時に、半弓の鳴る音が連続する。
ヒュン!ヒュン!ヒュン!
ヒュン!ヒュン!ヒュン!・・・。
ヘッジの使役する、弓ゴブリン10匹による、矢の連射であった。
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!
ダンジョンコアを守るコアガード。
このダンジョンのラスボスとも言える魔物は、
一辺100mはある大きなラスボス部屋に、
ヘッジ達侵入者を、一歩も入れる事は無かった。
侵入者達は、ラスボス部屋に入る事すらせず、
100m以上先の遠間、通路から、
扉を開けると同時に、一方的に矢を射掛けて来たのだから・・・。
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!
100mも先から放たれた、矢の7割程度が、
ラスボスに、降り注ぐ雨の様に、次々と突き刺さる。
矢を雨あられと受けるダンジョンコアガード、
ヒュージアイススライムは、
コア部屋へと続く扉を守る為、持ち場を離れられない。
そして、このコアガードに、
100mも先を攻撃する、遠距離攻撃能力は無かった。
永遠と、弓ゴブリン10匹の一方的攻撃、矢の速射は続く。
レベル2ダンジョン、コアガード、大柄なラスボス、特別な魔物、
ヒュージアイススライムが、倒れるまで・・・。
珠恵の事務的な声が、ptメンバーの頭の中に響く。
「戦闘終了。
魔力温存の為、
弓ゴブリン2部隊、回収します」
あっけなく戦闘が終わり、
ヘッジが、キーちゃんに向かって言う。
「な?
表と一緒、楽勝だったろ?」
キーちゃんは、ピョンピョンと飛び跳ねる様に魔狼の上ではしゃぎ、
笑顔でご機嫌に応える。
「ヘッジちゃん、すごーい!!
悪い魔物やっつけたー」
大柄の女剣士、ルーシーが『文字通り』胸を弾ませ、ヘッジを褒め称えた。
「さすがヘッジ様!!
一方的攻撃で安全に倒し切る!
凄いです!!」
僧侶のミヤーザが、笑顔でおっとりと言う。
「ヘッジちゃん、凄いわねぇ。
さすがノルン様の御使いだわぁ。
ヘッジちゃんが、ノルド国を取り戻してくれるの、
おばちゃん待ち遠しいわぁ」
枯れ枝の様な老婆、キマーリは、口汚く言った。
「小僧ッ!!
何をデレデレしとるか?!
調子に乗る出ないわっ!
フンw
この程度では、国の奪還どころか、借金返済も怪しいもんじゃわw」
針鼠のヘッジは、キマーリに向かって口汚く返す。
「うるせーな!糞ババァ!!
奪還なんぞ知らねぇし、
壊れ掛けの銅盾なんぞ、
1000倍にして返してやるって言ってんだろーが!!!」
魔族に滅ぼされたノルド国を、再興する使命を受けた転生者、
ノルンの使いヘッジは、
かくして、ダンジョン初潜入にて、ダンジョン制覇を難無くこなしたのである。
これが、この世界に送り込まれた問題児、
ハリネズミのヘッジ、快進撃の幕開けであった。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
ちょろっとでも、面白いかな?良いトコあるかな?と思っちゃったら、
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詰まらなければ☆ひとつ、面白ければ☆5つと言うルールっす。
それが、この話への応援となります。
反応無いと、便所の落書きだもの、反応無いの悲しいっす。