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ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者〜蛇足編〜  作者: 哀上
蛇足⑤

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徒然

 ここ最近は日が落ちるのも遅くなってきた気がする。

 時計など持ち合わせちゃいないので正確なところは不明だが、何となくそう感じた。


 見慣れた街並み。

 空を見上げれば、傾き赤く色づいた夕日が街の風景に差し色を入れる。

 俺の影もやたらと間延びし。

 人の喧騒に混じり虫やら鳥の鳴き声が空間を賑やかに彩る。


 夏が近づいてきたって事なのだろう。

 ついこの間春が来たと思えば、もうすぐに次の季節だ。

 相変わらず、時が経つのは早い。


 ……ま、毎日同じような日々を繰り返していればこうなるのも必然か。


 朝から薬草採集に向かい、一刻もせずに飲み始めて、日が傾くまで飲んだくれてから娼館に向かう。

 俺のいつものルーティーン。

 ちなみに、この翌日は丸々お休みである。


 そりゃ、ね。

 こんな事繰り返していれば時間もあっという間に過ぎ去るって物だ。


 たまの変化に旅行に出かけたりもするけれど。

 そうしょっちゅう行くわけでも無い。


 忙しいのは嫌いなのだ。

 旅行ってのは気分転換であり、リフレッシュ。

 事前に日程を決めてとかなると途端にめんどくさくなるのが目に見えている。


 週一回だとか、月一回だとか。

 どうせ長続きしない。


 そもそも、それぐらいしか稼いでいないしね。


 旅行増やすために仕事増やして。

 それで、旅行に行くことすら面倒になり……

 こんなの本末転倒もいいところである。


 のんびり生きて、いつの間にか時が過ぎ去る。

 少々勿体無い様な気もするが。

 でも、こうやって無為に過ごす時間というのが結局俺にはあっているのだろう。


 まぁ?

 基本その場の思いつきで行ってるせいで、受付嬢からの怒られが発生する事態になったのだけど。


 謝ってもなかなか機嫌が治らず。

 ギルドの受付で悪戦苦闘するおっさん冒険者。

 最終的に、ちょっとお高めのディナーをご馳走するって事でお許しを頂いた。


 ま、これで後腐れなしとしてくれただけ温情かな。

 万事解決って事で。


 しかし、俺の財布にはダメージこそあるものの。

 客観的に見ると、そんなんでいいのかと思わないでもない。

 やらかした自覚はあるしね。

 元々俺に期待なんてしていないってことか。

 これ以上は怒るだけ無駄だと思ったのかもしれないが。


 ……それはそれで酷い気もする。


 どうせ期待されても答えられないし。

 そもそも、普段の行動からして期待される要素も皆無なのだけれど。

 それはそれこれはこれ。

 人間、俺に限らず何かとわがままなものなのだ。


 ちなみに、甥っ子いじりはその後もしばらくの間続いた。

 どうも気に入ったらしい。


 そんなこんなで、何とか売り払うことに成功した巨大猪の牙。

 結構いい金になった。

 約束したディナーの料金で大分削られたけど。


 それでも、半分以上残ったのだから立派だ。


 今になって思うと、何もあのタイミングで売らなくても良かった気もする。

 珍しく俺が小金持ってるからと遠慮せずに飲みやがって……


 ディナーと言うより飲み会だった。

 そこそこいいお店でガバガバと、店員も受付嬢のことを変な目で見ていた気がする。

 あいつはそれで良かったのだろうか?


 少々。

 いや、かなり疑問だ。


 受付嬢の言い分としては、拾ったんだからいいじゃないですかとのこと。

 甥っ子が頑張って稼いだなら遠慮しますけど、私を放置した結果得た幸運なら遠慮する気はありませんという事らしい。

 どうします?

 そう言わんばかりに、どこかジトっとした視線を向けられた。


 単に皮肉を言われてるのか。

 それとも、本当に拾ったのかとちょっと疑われてるのか。


 それで控えてくれるならと、一瞬ぐらつきかけたが。

 ギリギリで踏みとどまった。

 受付嬢にそれを言ったらどうなるか目に見えてる。

 ただでさえ討伐依頼受けさせようと普段から勧めてくるのに、自分で仕留めたなんて言えば悪化するに決まっている。


 真偽を問わず。

 そう口に出してしまった時点で断る理由が弱くなるのだ。

 それは困る。


 既に勘付かれてるような気がしないでもないが、知らぬ存ぜぬで通させてもらった。

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