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ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者〜蛇足編〜  作者: 哀上
蛇足④

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死闘 16

「……これで以上かな」


 ひと通り山菜を堪能したところで、お待ちかねの魚料理が登場した。

 いやー、待ってました!


 こっちは前回と同じらしい。

 包み焼き。

 大ぶりの葉をホイル代わりに使い、じっくりと蒸し焼きにした料理だ。

 手間をかけて丁寧に火入れされた一品。


 既に立ちのぼる香りが鼻腔をくすぐる。


 でも、この料理のポテンシャルはこんなもんじゃない。

 葉をゆっくりとめくると、内側に閉じ込められていた空気が一気に開放され。

 むわっとした熱気。

 湯気と共に、芳醇な香りが周囲を満たす。


 うん、間違いないな。

 うまいやつだ。


 包まれていたベールを脱がせ……

 改めてのご対面。

 葉に包まれたその内には、形のいい魚が丸々1匹。


 見た目からして贅沢な一皿だ。


 ただ、前回食べたものに比べるとやや小ぶりかもしれない。

 それでも十分大きいが。

 あの時は店主もいいのが入ったって言ってたしな。

 確か5〜60センチはあったと思う。

 あんなサイズ、そう毎回手に入るものでもないのだろう。


 何せ、この温泉街。

 結構標高の高い位置にあるからね。


 近くの川は渓流なのだ。

 川のスケールを考えれば、あの大きさの個体が数いるとも思えないし。

 数がいない以上、獲ろうと思って獲れる物でもない。


 今回のは、大体一回りほど小さいかな?

 ま、この世界にきて長らく欲してきたものが今日も味わえるのだ。

 それだけでありがたい。


 先ずは腹側から頂こう。


 さっそく、身にナイフを入れる。

 皮に触れたと思ったら、ふわっとなんの抵抗もなく刃が通った。

 ナイフなんて必要ないかもな。

 フォークだけで問題なく身をほぐせそうだ。


 ……ああ。

 これだよ、これ。


 脂の乗りも申し分ないし。

 何より、口に広がるこの旨み。

 相変わらず美味い。


 身は前回と同じく白身で、見た目こそ違うけど。

 間違いなく鮭のそれだ。


 隣では獣っ娘も美味しそうに頬をふくらませている。

 こちらも満足そう。

 何よりだ。

 俺も、もう身も心も満杯である。


 ふー、満足満足。

 ご馳走様でした。


「お、今回は泣いたりしないんだな」

「うっさい!」


 さっきの仕返しだろうか?

 店主が余計な小言を挟んでくるが、この料理に免じて許してやろう。


 それに、そもそも泣いてはないからな。

 確かにずっと求めていた鮭の味に少々感動した記憶はあるが。

 うん。

 流石に泣いてはない、はず……


 んな事はいいのだ。


 しかし、この店のレベルが高いのは前回で理解していたけど。

 今回初めて食べた肉料理、これもなかなか良かったな。

 また食べたくなる。

 とは言っても、山菜と魚の上に肉を追加で頼むのは少し食べ過ぎだろうか?


 ま、どうせ温泉街に来たら獣っ娘も一緒に来るだろうし。

 彼女も気に入ってたっぽいからね。

 そう考えれば、ちょっと多いかもしれないがそこまででもないか?


 山菜と魚料理に続いて。

 さっきの肉料理もこの店での俺のスタメン入り確定だな。


「美味しかったか?」

「はい!」

「どれが一番美味しかった?」

「うーん、どっちも!」


 横で満足げにお腹をさすっていた獣っ娘。

 俺の質問に、少し悩むような仕草をした後。

 笑顔でそう答えた。


 そうか、どっちもか。


 ナチュラルに山菜が除外されてる気もするが。

 ま、胃が受け付けるうちはガッツリしたもののほうがうまいわな。

 店主も嬉しそうにニコニコしているし。

 いいのだろう。


 ……本当にいいのか?

 ここ、山菜が売りの店だった様な。


 そういえば、今回やけに手間のかかりそうな肉料理が真っ先に出てきたけど。

 普通野菜先だよね。

 今回もこの前も魚は後回しだったし。


 贔屓か?


 嬉しそうに肉を頬張る獣っ娘の姿を見て、店主も明らかに目を細めてた。

 これは黒寄りのグレー。

 いやまぁ、別にいいんだけどね。


 むしろ、だ。

 こんな可愛い娘相手に贔屓しない方が逆におかしいまであるか。

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