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ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者〜蛇足編〜  作者: 哀上
蛇足③

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親子 28

 このまま押し倒してしまいたい所だけど。

 その前に……


「女将さん。実はこの前王都行ってきて、お土産買って来たんですよ」

「え、お土産ですか?」


 向こうもそういうつもりだったのか。

 俺の言葉に、少し不意を突かれたといった感じで。

 キョトンとした顔をする。


 珍しい。


 ほら、女将さんて基本的には落ち着き払ってて。

 常に余裕ありげなイメージあったから。


 こんな顔もするんだなと。

 仕事終わって半分プライベートだから普段より気が抜けているのだろうか?

 だとしたら、結構嬉しいかもしれない。

 素を見せてくれてるって事だし。


 それに、不意に見せた普段見ない表情。

 可愛い。

 かなりキュンときた。


「失礼するよ」

「ひゃっ!」


 膝の上で寝っ転がってる獣っ娘。

 彼女の服をめくった。


 予想外のことに軽い悲鳴を上げる。


 物を持ってきて見せてもよかったんだけど。

 ちょうど良い場所に見本があったのだから仕方がない。

 それに。

 ここ陣取られてたら俺動けないし。

 そんなところに寝てるこの娘が悪いって事で。


「……あの、何をして?」


 突然の暴挙。

 躊躇いがちにそう聞いてきた女将さん。

 まぁ、見てよ。


 ブカブカのオーバーサイズの服だ。

 大した抵抗もなく、簡単に捲れてしまった。

 そもそも。

 尻尾で押し上げられてたぐらいだしね。


 その下は。

 例の、ランジェリーしか身に付けていない。


「こういうのって興味あります?」


 一目見て固まった。


 獣っ娘って可愛い系のイメージだからね。

 俺がそうってことは。

 多分、女将さんも似たようなイメーシを持ってたんだと思う。


 それとのギャップに驚いたのか。

 もしくは、このランジェリーのデザイン。

 それ自体に驚いたのか。


「……綺麗」


 思わずといった感じに言葉が漏れる。

 だよね!


 セクシーで男性の目を引く作りになっているのだけど。

 下品ではないというか。

 いやまぁ、大切なとこ丸見えになる程度には下品なのだが。


 でも、女将さんもそう感じるとは少し不思議。


 女性オーナーだからかね?

 このランジェリー、デザインが全体的に美しいのだ。

 細かい刺繍に。

 一部、薄く伸ばした金属まで使ってる様子。


 異性の視線を引くだけじゃなくて、その辺りも意識して作られてるのだろうか?

 見せる相手は男でも。

 商品を買ってくれるお客さんは女性だしな。


「もしかしてお土産って?」

「そ、女将さんの分も買ってきたんだよね」

「ロルフ様って人は……」


 半分、呆れられたような視線を向けられる。

 この反応は予想ついていた。


 ただ、お土産自体は嬉しかったのか。

 そもそも、俺に対しての評価がそういう物なのか。

 怒ってはいなさそう。


「どう?」

「……私、こういうのはちょっと」


 多少の興味はありそうだけど。

 流石に恥ずかしいのだろう。


 この手のモノって、適当な店で手に入るような感じでもないしね。

 温泉街だと。

 娼館にはおろしてるらしいが他で見たことないし。

 王都とか?

 そこまで行かずとも、人口の多い都会ぐらいにしか置いてなさそう。


 今まで経験自体ないとなれば。

 そりゃ、そうか。

 どうやら行為よりずっとハードルが高いらしい。


「絶対似合いますって。な?」

「うん!」


 獣っ娘も同意見のご様子。


 気に入ってそうだしな。

 女将さんがきてるとこも見てみたいのだろう。


「これ、プレゼントです」


 膝から獣っ娘をおろし。

 脇に置いてある荷物探るふりをして、アイテムボックスから女将さんに似合いそうだと思って買ってきたのを取り出す。


 俺からにこやかに手渡され。

 獣っ娘には、期待の眼差しで見られて。

 徐々に追い詰められる女将さん。


「でも、私この娘よりずっと年上ですし」

「お願い」

「私もみたいです!」

「……はぁ。少しだけですからね」


 そして、俺たちからの猛攻でついに折れた。


「「やった!」」


 2人でハイタッチ。

 喜ぶ俺らのことを何か言いたげに眺める女将さん。


 でも、本気で嫌がってはないはず。

 別に上下関係があるわけでもないのだ。

 奴隷でもないしね。


 強制は出来ない。

 あくまで、着て欲しいってお願いしただけで。

 まぁ?

 ちょっとズルかったかもしれないけど。


「……って、これ」

「?」


 俺が渡したものの中で気になったものがあったらしい。


「動物の耳?」

「それはですね、髪留めみたいな感じで使うんですよ」

「こう?」

「そうそう。似合ってますよ」


 少し躊躇いつつ、付けて見せてくれた。

 うん、いいな。

 特に獣っ娘と並んでる姿がいい。


「なんでこんなの」

「ほら。この前2人並んで寝てて親子みたいだなって思って」

「まったく」


 ちょっと照れてる。

 けど、こっちは素直に嬉しそうだ。


「一緒!」


 獣っ娘も大喜びである。


「え、これも?」


 そして、もう一つのアイテムを見て女将さんが固まる。

 ケモ耳と来たら当然尻尾もだよね?


「まさかこれもつけろって」

「使い方わかります?」

「……」

「こう、お尻に……」


 いてっ!


 結構強めに頭を叩かれてしまった。

 流石にか。


「着てくれるって言ったじゃないですか!」

「これは話が違います」


 粘ってはみたものの。

 ちょっと、このまま押し切るのは厳しそうだ。


 でも、見たいんだよな。

 こうなったら最終手段である。

 獣っ娘に耳打ち。


(女将さんとお揃いになりたくない?)

(……お揃い)

(ほら。女将さんの事ママだと思って、口に出してみな)

(ま、ママ……)


「一体何を吹き込んでいらっしゃるので?」


 獣っ娘におねだりして貰えるようこそこそ話していたのだが。

 そりゃ、すぐ横にいるのだ。

 悪巧みしてるのが一瞬でバレてしまった。


 くっ


 やっぱり無理だったか。

 ま、あんまりやりすぎて機嫌損ねられても困るし。

 ケモ耳だけでも十分と言えばそう。

 仕方ない。

 尻尾に関しては諦めるとするか。


「ママ、尻尾もお揃いにしたい。ダメ?」

「……ロルフ様」


 怖い。


 どうにか悪巧みは成功したのだけど。

 そりゃね。

 バレてちゃ効果が薄い。


 って言うか。

 これ、むしろ逆効果なのでは?


「……はぁ。ま、仕方ないですね」

「え?」

「一度了承してしまいましたし」


 と思っていたのだが、なんと着てくれる事に。

 流石獣っ娘。

 やはり可愛いは正義である。


 後の事が怖いけど、それでも見たかったのだから仕方がない。

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