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ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者〜蛇足編〜  作者: 哀上
蛇足③

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親子 24

 そのまま、ボケーっと過ごしていると。


「……ぐえっ」


 腹の辺りに何かが降ってきた。

 下手人は。

 言うまでもなく、獣っ娘である。


 どうやら無防備になってる俺相手に飛びかかってきたらしい。

 完全に不意を突かれた。


 食器を片付けに部屋を出ていたはずなのだが……

 いつの間にやら戻って来た様子。

 早かったな。

 今は業務時間外だし、洗い物は調理場にでもお願いしてまっすぐ帰って来たのだろうか。


「もしかして、寝ちゃいました?」


 俺の反応が鈍かったからか。

 起きてください、とでも言うように。

 肩を強めに揺すられる。


 仮に俺が寝てたとしてだ。

 流石に、この突撃を受けて寝続けるほど鈍くは無いと思う。


 ……って、それ以前に。

 寝ちゃいましたか、じゃないが?

 小首傾げて。

 その仕草自体は可愛らしいものの。

 威力は全然可愛くなかった。


 多分、確認をするのなら。

 寝てるかどうかより相手の意識があるかどうかの確認をしたほうが適切な気がする。

 これが攻撃判定されないとか契約魔法バグってんだろ。


 奴隷ってのは主人を害そうとすると動きが制限される。

 そういう契約を結んでいるのだ。


 俺相手だからいいけど……

 無防備なところに、位置エネルギーもプラスして突っ込んでくるとか。

 かなりのダメージ。

 獣っ娘がいくら軽くても許される事ではない。


 上半身を起こし、被告を確保。


「ご主人様!」


 ちょっと小言でも言おうかと思ったのだが。

 その前に。

 テンション高めな声をあげて、逆に抱きついて来た。


 俺が起きてたのが嬉しかったらしい。

 ……ダメだな。


 それだけで、もう愛らしくて仕方がない。

 こんな可愛い娘を怒るなんて。

 とんでもない事だ。

 女将さん、よくこの獣っ娘相手にしっかり怒ったり教育したり出来るよな。

 俺なら絶対無理だと思う。


「酷くありませんか?」

「何が?」

「その……、私のこと放っておいて寝ちゃうなんて」


 どうやら、俺が寝ていたように見えた事がご不満らしい。


 ドカ食い気絶言いますか。

 いや、ドカ食いってほどは食べてないのだけど。

 食後は血糖値も上がり、鍋で体も温まり。

 程よい眠気に襲われていた。


 それで横になって。

 天井眺め、染みでもかぞえていたら。

 そりゃ意識も遠くなるって物。


 確かに、もう少しで寝落ちしていた可能性は否めない。

 が、別にまだ寝てはいない。


 久々の再会だし。

 寝落ちしそうになっただけで、酷いと言われればそんな気もするが。

 そこまで怒ることかね?


 ぺしぺしと。

 尻尾が、獣っ娘の不満を表すように腰を叩いてくる。


「ずっと、ご主人様の事をお待ちしていました」


 俺に抱きついていたのを一旦離れて。

 向き直った。

 自然と目が合う。


 獣っ娘の方が小さいし、普段は大抵上目遣いなのだけど。

 今は俺の上に跨ってることもあり。

 正面から。

 上目遣いもいいが、これも新鮮でいいな。


 向き合って気づいた。

 獣っ娘の頬が赤い、息も心なしか荒い気がする。


 ……え?


 お昼、森で走り回ってあんなにヘトヘトなってたのに。

 そこから仕事までして。

 随分と体力の回復がお早い事で。


「会えなくて寂しかったし。それよりも、もっとせつなくて……」


 俺が色々と覚えさせて、置いて行って。

 やっと来たと思ったらお預け。


 確かに、これはよろしくないな。


 再会してまず戯れてきて。

 一緒に遊んで。

 この手のことより、信頼してるちょっと歳の離れた遊び相手って面が強いと思っていたのだけど。

 どうも、そうではなかったらしい。


 獣っ娘。

 初めからそのつもりだったと。


 ……それに。

 さっきまでそうでもなかったはずなのだが。

 フェロモンでも出てるのか?

 俺もつられてしまったっぽい。


 ぺしぺしと叩いてきた尻尾も。

 いつの間にやら。

 俺の腰をなでるように優しくなり、元気になった息子の上で動きを止める。


「ですから、私のこと目一杯慰めてください!」


 真っ赤だ。

 元々、頬が赤く色づいてはいたけど。


 興奮以上に恥ずかしいのだろう。


 ここまできて断る様なやつは男じゃない。

 当然俺も。

 って言うか、だ。

 初めからそのつもりではあったしね。

 血糖値がスパイクした結果、少しウトウトしてただけで。


 ただし、


「ストップ。ちょっと待って」


 誘いを断られたとでも思ったのか。

 涙目になる獣っ娘。


 違う違う。

 据え膳はしっかりいただくタイプだから。

 そういう事じゃなくって。


「実は、お土産買ってきたんだよね」

「お土産ですか?」


 部屋の隅にほっぽってある鞄。

 ほぼ中身は入っていないが、アイテムボックスを空で探る訳にもいくまい。

 目的のブツを取り出した。


「じゃーん」


 セクシーな、ランジェリー達である。

 別の羞恥に頬を染める獣っ娘。


 王都で買ってきた奴だ。

 獣っ娘にも似合うと思って、選んできたんだよね。

 どうよ?


「ご主人様の変態……」


 そう言いつつ、着てはくれるつもりらしい。

 素直だ。


 ちょくちょく、俺の負担無視して突進してくるけど。

 基本はいい子なんだよね。

 だからあれも別に悪意はない、はず。


「どうですか?」

「めっちゃ似合ってる! 可愛い!」

「そ、そう。かな?」


 似合うと思って買ってきた物だが。

 獣っ娘に試着してもらった訳じゃないからね。

 試着は全部店主である。


 予想通り。

 いや、予想以上に似合っていた。


 獣っ娘って、基本可愛い系の印象が強かったけど。

 体型自体はすらっとしているのだ。

 満足に食事が取れてなくて、肉がついてないって部分もあったのだろうが。

 そこは、ここ数ヶ月宿で面倒見てもらったおかげで改善した様子。


 それでもふっくらすることは無くて。

 狩にこそ出られないものの、普段からよく動いているのか。

 引き締まった体。


 綺麗な、美人さんだ。


「……ご主人様。きてください」

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