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ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者〜蛇足編〜  作者: 哀上
蛇足③

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親子 7

 獣っ娘に抱きつかれ、多少困惑しつつ嬉しくはあるのだが。

 このまま立ちっぱなしになるのもあれだ。


 馬車旅の疲れと言いますか。

 いや、肉体的な問題はなく主に精神的なものだし。

 その精神に関しても。

 おかげで癒されてはいるのだけど……


 さっき、一回座っちゃったからね?

 脳内が休息を求めているらしい。

 獣っ娘を抱いたまま、適当なとこに腰を下ろす。


 よっこいしょ。


 座ると、どっと疲れが押し寄せてきた気がする。

 あくまで気がするだけだ。

 前世のチートを持つ前の感覚の残り。

 まぁ、そこまで嫌いではない。

 この疲労感も温泉で得られる快楽のスパイスになってる所あるし。


「……ご主人様?」

「いや、昨日今日とずっと馬車に揺られてたから疲れちゃって」


 俺の様子に、違和感でも覚えたのか。

 こてっと首を傾げる獣っ娘。


 別に隠すような事でも無いし、ざっくり答えると。

 耳が伏せられた。

 表情から人の真意を読み取るなんて高等技術は持ち合わせていない俺であっても、ここまで分かりやすければ流石に理解出来る。

 どうやら申し訳なさを感じているらしい。

 来てもらったこともそうだろうが。

 どちらかといえば、さっき遅いって責めちゃった事かな?


 よしよし。


 気にしなくていいのに。

 転移で来れたのをわざわざ馬車で来ただけなのだ。

 この疲労感も、そんな気がするってだけで。

 実際そこまで疲れてるわけでもない。


 床にあぐらをかき。

 抱いていた獣っ娘を収まりのいい足の間に設置。

 が、耳を伏せたまま隙だらけだ。


 頭をなでても効果なしとなれば、これか?

 そっと手を伸ばし顎の下へ。

 くすぐるような感覚で手を動かすと、抵抗するでもなくされるがまま。

 ゴロゴロと喉を鳴らす。

 これじゃ猫の獣人じゃなくて猫そのものだな。


 そんなこんなで獣っ娘と戯れていると。

 ふと、スタッフの娘から羨ましそうな視線を感じた。

 手招きすれば。

 恐る恐るって様子ではあったが彼女も手を伸ばし。


「?」


 俺以外に触られたのを敏感に感じ取ったのか。

 獣っ娘が一瞬キョトンとし、2人して目を合わせたまま動きが一時停止。


 他の人になでまわされるのは恥ずかしかったらしい。

 顔を埋めてしまった。

 おい、服の中にまで入ってこようとするな!


「……」


 しょぼんとしているスタッフの娘。

 獣っ娘に拒絶されたとでも感じているのか。


「別に嫌がってるって訳じゃ無いと思うけどね」

「そう、なのでしょうか?」


 まぁ、ここの2人って仕事仲間だもんな。

 俺になでられるのとは違うか。

 さっきまでの、甘えてるのを見られるのは良いのかと思わないでもないけど。

 それはそれってことなのだろう。


 しかし、尻尾は振っていて実は満更でもなさそうなご様子。


 実際、スタッフの娘って頼り甲斐のあるお姉さん感ある。

 仕事でも直属の先輩だし、それ以外でも俺のこととか結構相談してたっぽいし。

 仲良くして貰ってるみたいだ。

 公私共に。

 おそらく、獣っ娘はかなり懐いているはず。


 過剰に恥ずかしがってるのも、多分これまで何となく甘えづらかったことの裏返しなんじゃないかな?

 いや、きっかけが出来て良かったじゃん。


 カプッ。


 そんな考えが伝わったのかどうかは知らないが。

 顔を埋めていた獣っ娘に、腹のお肉を噛まれてしまった。

 いたい……

 無論、本気じゃなくて甘噛みなんだろうけど。


「……ご主人様の事なんてしりません!」


 どうやら下手人がバレてしまったらしい。

 さっきまで心配してくれていたのに。

 すまんって、揶揄ったりしないからどうにか許して欲しい。

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