旅路 11
この辺り着いた時に見つけた、良さげな石に軽く腰掛け。
日の出を眺めつつ。
感傷に浸ってる内に他の奴らも起き出してきた。
眩しそうに空を見上げたり、腰に手を当てて伸びをしたりと。
さっきまでの自分のリプレーを見ているかの様な行動。
たまたま同じ馬車に乗り合わせただけの乗客。
何か会話した訳でもないし。
当然、考えてることなんて本来分かりようもないのだが。
流石にね。
察しぐらい付くものだ。
人間、感じるものに大した差は無いらしい。
それが何って事もないのだけれど。
側から見ていて、その様がちょっと面白いなと。
ほら、俺って普段チートにかまけて人と違うリズムで動いてるから。
転生してからというもの。
実はこの手の経験は希少だったり?
乗客はそんな様子でのんびりとした空気が漂っているが。
冒険者と商人は忙しそう。
テキパキと、テントやらなんやらを片している。
早々に出発する予定なのだろう。
ここは街の外なのだ。
んな場所に長居して良い事なんて皆無と言っていい。
魔物にしても。
盗賊にしても。
最善は、出会わない事である。
あっという間に撤収が完了した。
流石プロ。
昨日、設営を眺めてた時も思ったけど本当に手際がいいのな。
……アレだな。
偶には今日みたいな体験も良いとか思っていたが。
プロありき。
素人のやるものじゃないのかもしれない。
次やるとしても、ソロはやめておいた方が良さそうだ。
俺だけだと。
チートがある以上、前世の二の舞にはならない。
が、片付けめんどくさくなって。
テント丸ごと収納。
二度とアイテムボックスから取り出さなくなって実質廃棄。
うん、余裕であり得る未来だ。
面倒ごとはプロにお金を払うのが一番コスパがいい。
片した物の積み込みも終わり。
馬を杭から外して馬車に繋ぎ直している様子。
そろそろ時間か。
周りもそれで察したのだろう。
商人に声をかけられるでもなく、続々と馬車に乗り込んでいく。
俺も昨日と同じ席を確保。
またしばらく馬車に揺られる時間が続きそうだ。
商人が乗客の人数を数え。
それだけで点呼は良しとされたらしい。
ゆっくりと馬車が動き出した。
軽い慣性を感じつつ。
揺れが伝わる。
ふと、窓に肘をかけ外へ目を向けた。
自然豊かな景色が横へと流れる。
その中で、一点。
焚き火の後に放置された、炭やら灰が随分と異質に見えた。
前世と違って後処理の必要はない。
そんな法律も無いのに。
ゴミで馬車の重量を増やすのは愚かとしか言えないだろう。
人間の絶対数も少ないしね。
ただ、目には付く。
なんと言うか、ちょっと悪いことでもしてる気分だ。
いや、まぁ……
バレなきゃ良いとか言って平気でそれ以上の犯罪行為も。
結構やってはいるのだが。
何故だろうか。
前世で身近だった軽犯罪。
この方が、罪悪感を刺激される気がする。
我ながらこれ。
中々に狂った倫理観だとは思う。
多分、有名人のちょっとした不祥事。
これが殺人以上に重大な事件かの様に扱われていた前世の価値観。
今だに引きずっているのかも。
つまり俺のせいではない。
環境の責任、そう声高々に主張したい所。
窓の外に視線を戻す。
とっくに昨日のキャンプ地は通り過ぎていて。
焚き火の後なんて見えもしない。
トラブルがなければ。
おそらく、この馬車は今日中には温泉街に到着する予定だろう。
昨日の様に酒を飲むでもなく。
ゆらゆらと。
動きに身を任せたまま、ただただ時間を貪る。
街の外で夜を明かしたのなんて。
本当に久々。
寝起きに予想外のトラブルこそ発生したものの。
まぁ、なんだかんだ良かったのかな。




