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ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者〜蛇足編〜  作者: 哀上
蛇足②

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旅路 11

 この辺り着いた時に見つけた、良さげな石に軽く腰掛け。

 日の出を眺めつつ。

 感傷に浸ってる内に他の奴らも起き出してきた。


 眩しそうに空を見上げたり、腰に手を当てて伸びをしたりと。

 さっきまでの自分のリプレーを見ているかの様な行動。


 たまたま同じ馬車に乗り合わせただけの乗客。

 何か会話した訳でもないし。

 当然、考えてることなんて本来分かりようもないのだが。

 流石にね。

 察しぐらい付くものだ。

 人間、感じるものに大した差は無いらしい。


 それが何って事もないのだけれど。

 側から見ていて、その様がちょっと面白いなと。

 ほら、俺って普段チートにかまけて人と違うリズムで動いてるから。

 転生してからというもの。

 実はこの手の経験は希少だったり?


 乗客はそんな様子でのんびりとした空気が漂っているが。

 冒険者と商人は忙しそう。

 テキパキと、テントやらなんやらを片している。


 早々に出発する予定なのだろう。


 ここは街の外なのだ。

 んな場所に長居して良い事なんて皆無と言っていい。

 魔物にしても。

 盗賊にしても。

 最善は、出会わない事である。


 あっという間に撤収が完了した。

 流石プロ。

 昨日、設営を眺めてた時も思ったけど本当に手際がいいのな。


 ……アレだな。

 偶には今日みたいな体験も良いとか思っていたが。

 プロありき。

 素人のやるものじゃないのかもしれない。


 次やるとしても、ソロはやめておいた方が良さそうだ。

 俺だけだと。

 チートがある以上、前世の二の舞にはならない。

 が、片付けめんどくさくなって。

 テント丸ごと収納。

 二度とアイテムボックスから取り出さなくなって実質廃棄。


 うん、余裕であり得る未来だ。

 面倒ごとはプロにお金を払うのが一番コスパがいい。


 片した物の積み込みも終わり。

 馬を杭から外して馬車に繋ぎ直している様子。

 そろそろ時間か。


 周りもそれで察したのだろう。

 商人に声をかけられるでもなく、続々と馬車に乗り込んでいく。

 俺も昨日と同じ席を確保。

 またしばらく馬車に揺られる時間が続きそうだ。


 商人が乗客の人数を数え。

 それだけで点呼は良しとされたらしい。

 ゆっくりと馬車が動き出した。


 軽い慣性を感じつつ。

 揺れが伝わる。


 ふと、窓に肘をかけ外へ目を向けた。

 自然豊かな景色が横へと流れる。

 その中で、一点。

 焚き火の後に放置された、炭やら灰が随分と異質に見えた。


 前世と違って後処理の必要はない。

 そんな法律も無いのに。

 ゴミで馬車の重量を増やすのは愚かとしか言えないだろう。

 人間の絶対数も少ないしね。

 ただ、目には付く。

 なんと言うか、ちょっと悪いことでもしてる気分だ。


 いや、まぁ……

 バレなきゃ良いとか言って平気でそれ以上の犯罪行為も。

 結構やってはいるのだが。


 何故だろうか。


 前世で身近だった軽犯罪。

 この方が、罪悪感を刺激される気がする。

 我ながらこれ。

 中々に狂った倫理観だとは思う。


 多分、有名人のちょっとした不祥事。

 これが殺人以上に重大な事件かの様に扱われていた前世の価値観。

 今だに引きずっているのかも。


 つまり俺のせいではない。

 環境の責任、そう声高々に主張したい所。


 窓の外に視線を戻す。

 とっくに昨日のキャンプ地は通り過ぎていて。

 焚き火の後なんて見えもしない。


 トラブルがなければ。

 おそらく、この馬車は今日中には温泉街に到着する予定だろう。


 昨日の様に酒を飲むでもなく。

 ゆらゆらと。

 動きに身を任せたまま、ただただ時間を貪る。


 街の外で夜を明かしたのなんて。

 本当に久々。

 寝起きに予想外のトラブルこそ発生したものの。

 まぁ、なんだかんだ良かったのかな。

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