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ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者〜蛇足編〜  作者: 哀上
蛇足②

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旅路 10

 ……知らない天井だ。


 異世界に転生して以来、結構宿に泊まることも多い。

 この思考自体半分ネタと化しているのだけど。

 見覚えも無いのは久々である。


 ってか、これ本当に天井か?

 天井にしてはちょっと頼りないとでも言うべきか。

 たわんでる気が。

 今にも落ちてきそうで強度が心配になる。


 はて、昨日の俺はどこの安宿に泊まったのだろうか。

 そんな疑問を頭に浮かべつつ視線を横へ。


 ??


 目の間の光景を脳が情報として処理。

 瞬間、意識が覚醒した。


 視線の先には気持ちよさそうな寝顔が一つ。

 別に驚くようなことじゃ無い。

 それだけなら、なんて事ない俺のただの日常のひとコマ。


 ただし、その寝顔の持ち主の頭髪は明かに短かった。

 好んで短髪にする女性もそりゃいるだろう。

 顔の造形が男っぽいとか。

 髭が生えてるとか。

 そこもまぁ、個人差の範囲と言えばそれまでである。


 いや、現実逃避はよそう。

 どうやら俺はこのむさい男と一夜を共にしたらしい……


 否定したい事実ではあるが。

 客観的に見て、そうとしか判断出来ない。

 俺よ。

 ノアは例外じゃなかったのか?

 本格的にそっちに堕ちてどうする。


 目を逸らしたい現実。

 せめて物理的に視界から外そうと視線を動かし。

 その先にも男が1人。


 ……は?


 乱だとか姦だとかの文字。

 それが、ふわふわと俺の脳内を行ったり来たり。


 恐る恐る、尻へと手を伸ばす。

 そこで違和感。

 尻どうこうではなく、触れたベッドが異様に硬かった。

 まるで床のよう。


 前世と比べればこの世界のベッドは質が良いとは言えない。

 それに、この天井の有様から言って。

 ここの宿は安宿どころかドヤのレベルだろうし。

 ベッドが硬いことにも違和感は無い。

 違和感はないが、冷静に考えてここまで硬くなる物だろうか?


 あっ、思い出した!

 昨日は確かテントに泊まったんだっけか。


 少し冷静になり、ようやっと思い至った。

 思いつきで乗り合い馬車捕まえて、街の外で野営していた事を。

 近くで寝てた男は乗客である。

 良かった。

 俺のセカンドバージンは無事らしい。


 寝起きで、野郎の寝顔が視界に入ったせいで。

 変な勘違いをしてしまった。

 あぁ、本当に酷い目覚めである。


 今更二度寝する気にもならない。


 テント外に出て。

 目一杯に空気を吸い込む。


 ふぅ……

 日の出までもう数分といった所か?

 うっすらと空が明るい。


 手を空に向け、軽く伸びをする。

 ほぼほぼ布一枚しかクッションが無い状態で寝たせいだろう。

 体中バキバキ。

 でも、この景観で伸びをするのは気分がいい。


 まぁ、偶には良いものだな。

 自然の中に泊まって日の出と共に動き出すと言う体験も。

 数年に一度ぐらいなら。


 やっぱいい目覚めなのかもしれない。

 あっちの道に堕ち掛けたのも。

 これ、結局はただの勘違いだったわけで。

 ……うん。


 軽く背の低い草を蹴っ飛ばす。

 朝露で濡れていたのか、小さな水滴が中を舞った。


 再び、視線を空へと戻す。

 雲ひとつない快晴と言うわけではないが。

 文句のない晴れ。

 昨日今日と、天候が崩れなくて良かった。

 雨のキャンプほど地獄な物はない。


 実際に体験した事はない。

 ただ、想像すれば分かる。


 チートで天候ごと変えるのも厭わない所存。


 いや、ね。

 チートのおかげで体調を崩したりとか、そういった影響はないのだけど。

 気分が悪いのだ。

 精神衛生上よろしくない。


 んな大規模な魔法使えば、各所から疑惑の目が飛んでくる気もするが。

 そこは快楽優先である。


 チート隠すために、我慢して。

 それで自分の生活が不自由になっていては、本末転倒。

 楽しく生きるために隠してるのだから。


 基本、適当でいいのだ。

 人生楽しんだ者勝ち、快楽の前に全ては無視される。

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