Insert-2 / 子役
古びた廃墟の洋館の長い廊下を、少女が足音を立てず足早に歩いている。。後ろから近づく怪しげな影が見え、少女は恐怖に顔を歪めながら逃げ惑っている。
少女の美しい額には汗が滴り、目は恐怖で大きく見開かれている。唇は震えており、彼女の表情からは強い緊張感が伝わってくる。
怪しげな影が近づいてくる音が聞こえる。少女は息を詰め、手が震えながらポケットから携帯電話を取り出し、緊張の中で何かを操作しようとしている。
「誰・・・誰か・・・助けて・・・」
少女の声はヒステリックで、周囲に響き渡る。足元には影が迫っており、美しいラテン系の血をひいた少女の顔には最高潮に達した恐怖感が見える。
「はい。カットー!!」
大きな掛け声とともに、一斉に照明が灯された。さきほどまで不気味に見えた洋館の姿はそこにはなく、明るく照らされたスタジオ内にはそこかしこから声があがる。
さきほどまで迫真の演技を見せた少女の顔には穏やかな表情が浮かんでいた。
「よかったよー。すっごく良かった。完璧。」キャップを被った男が少女に声をかける。
少女はにこやかに笑みを浮かべ、その場を離れた。一人の男に気がつくと、走り出した。