表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

アルタウス王家

 お城の前では、そこで働く多くの人が出迎えの為に立っていてくれていました。


 私は理由が理由なので、多くの人の前に立つのは恥ずかしい思いもありましたが、未来の王妃となるナターリヤさんの事を考えると、これは当然のことです。


 ここまで無事に送り届けてくれたラドルファスさんにお礼を伝えて、地面に降り立ちました。


 フワフワした浮遊感が残り、地面が動いているような感覚に少しだけ足がもつれてしまいますが、ここで転倒してしまっては立ち直れそうにもないので、踏ん張って歩きます。


 謁見の間まで案内してもらうと、重厚な扉の前でラドルファスさんとジェシカさんは待機し、私とナターリヤさんは中へと入りました。


 厳粛な雰囲気の謁見の間は、国王陛下、王妃様、王太子様の姿があり、私達に穏やかな微笑みを向けてくれていますが、気を緩めるのはまだ早いです。


 一度だけナターリヤさんを見て、先に私が挨拶を述べました。


「国王陛下。ご挨拶を申し上げますが、まずは謝罪を。このたびは、大変な御迷惑をおかけしてしまいました」


「今は、我が王家の家族しかいない。その為に人払いをしてあるんだ。楽にしなさい」


 その許可をもらって、やっと少しだけ肩の力を抜きます。


「はい。おじ様。おば様もお世話になります」


「必要なことは何でも相談してね。貴女のお母様も、きっと同じように貴女を案じているわ」


「セレーナ。気をしっかりもって、自棄にはならないでくれ」


「はい、お兄様。私は大丈夫です。ナターリヤさんを、この様な状況でお連れした事をお許しください」


「いや、まずは自分の事を気にかけてあげるんだ」


「そうです、セレーナ様」


 国外追放と言う不名誉な理由で訪れたというのに、アルタウス王家の方々は優しい言葉をかけてくれていました。


 これから長い時をこの地で暮らす事になります。


 寂しい思いはありましたが、王家の方々のご好意に感謝しながら謁見の間を退室すると、部屋へ案内してもらうために、ナターリヤさんとも一旦別れます。


 ナターリヤさんは、別のお部屋へ案内されていき、これから、本格的に王太子妃・王妃になるための準備が行われることと思います。


 私は、城の使用人の方々を紹介してもらい、精霊王を崇め信仰する聖教会の神官長さんも会いに来てくれたそうで、別の客間に案内されていきました。


 次々とお会いする方がいて、何かを考える時間が意外とありませんでした。


 神官長さんには、後ほど大聖堂を案内していただくことになり、私が精霊の力を借り受ける聖女として神託を受けている以上、聖教会とは切っても切り離せない縁です。


 聖堂で祈りを捧げ、精霊達と心を通わせる事は、義務とも言えます。


 そして今は、自分の不安を和らげる時間でもありました。


 どんな場所でも心を込めたものであれば祈りを捧げる事はできますが、誰もいない厳粛な場所で1人になれる事は、私にとって必要な時間でもありました。


 短くはない時を共に過ごしてきたアラステア様は、いつも私と会う時間を楽しみにしてくれていたのだと思っていました。


 でもそれは、王族の義務を果たしていただけで、本当はずっとキャサリンへの想いを隠していたのかと思うと、何でもっとそれに気付いてあげられなかったのかと、二人にあそこまでさせないと分からなかったのかと、そう思う気持ちがありました。


 私が聖女であるばかりに、お互いが幼い立場であったからそれまでは婚約を解消する事もできなかったのでしょう。


 無邪気にアラステア様への想いを告げる私が、随分と重荷になっていたのかもしれません。


 誰が、何が悪かったのかは、自分のことも含めてそれは考えすぎないようにして、今は少しでも早く新しい生活の基盤を作るべきだと、自分に言い聞かせていました。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ