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目指す場所


「お、ヒーラーか?」


 その方達はどうやら冒険者のようで、彼らの視線は私の巡礼服に向けられています。


 チュニックの上に、巡礼者用の聖教会の印が刺繍された外套を着込んでいました。


 教会には、回復魔法が扱える者も多く在籍しています。


 それらを踏まえて、私をヒーラーだと思ったのでしょう。


 間違ってはいません。


「白猫の獣人も珍しいな」


「お嬢ちゃんは、テラッカの修道女か?」


 ミドルイースの王都テラッカ教区の刺繍もされていますので、このお二人は色々な情報に詳しいようです。


「あの私は、テラッカの修道院にいましたが、使いで他国の教区に赴いている間に、ミドルイース王国があんな事になって……」


「あぁ、それは、辛かったな……」


 すでにミドルイースの話は伝わっているようで、それだけで同情の視線を向けられます。


 ほんの少しの嘘が、申し訳なくなります。


「俺はロデリクで、こっちはタイラーで、二人とも冒険者だ」


 お二人が冒険者証を見せてくれました。


 Aランク。


 かなりの実力者と経験者のようです。


 Aランクの方なら、無条件で信用できます。


 犯罪歴のある者は、Bランク以上にはなれないからです。


「俺達はギルドからの依頼を受けて、魔王が復活した影響が出ていないか、森に調査にきていたんだ」


「この辺は奴隷狩りもでるから気を付けろよー。で、お前達はこんな所でどうしたんだ?」


「私は……」


「俺達は、その奴隷商人に連れて行かれそうになって、逃げていたんだ。それで迷ってしまって、よければ近くの町までの道を教えてください」


 咄嗟についた嘘なのか、レイはそんな説明をしていました。


「それは災難だったな。白猫も、嬢ちゃんの黒髪も珍しいものだから、狙われたんだろ。それもギルドに報告しとくか。町まで戻るから、お前達もついて来いよ。しかし、面白いこともあるもんだな」


 これまでの話で何か違和感をもたれてしまったのか、ロデリクさんの次の言葉を待つと、


「ここに、鵺叉族ってのが昔いて、ちょうどそこの少年みたいな容姿をしていたらしい。まぁ、とうの昔に滅んだ一族だが、そんなゆかりの地で白猫の獣人に出会すとはな」


「そ、そうなんですね」


「ああ。白猫も稀少な種族だからな。まぁ、何にせよ町までの旅路をよろしくな。お二人さん」


「こちらこそ、お世話になります。私はセレーナです」


「俺は、レイです。よろしくお願いします」


 疑問を持たれることもなく、何とか町までは戻れそうで、安心しました。


「それにしても、魔王が復活しちまって、これから先どうなるか分からんぞ。討伐隊を結成する為にギルド内で話し合ってはいるが、アルタウス王国を中心として他の所属国にも協力してもらわんことにはな。セレーナみたいなヒーラーをギルドを通じてかき集めている最中だ」


 道中にギルドの現状を教えてくれましたが、どこもピリピリとした緊張状態にあるようです。


「魔王を封じる方法は、あるのでしょうか?」


 情報通のお二人にダメ元で聞いてみました。


 そうは簡単に分かるわけがないと、あまり期待はしていなかったのに、


「その方法があるかもしれないらしいぜ」


 ロデリクさんにそんな言葉を返されて、身を乗り出していました。


「それは、どんな方法なのですか!?」


「異世界からの来訪者って噂のあるやつが、冒険者にいて、そいつの作るアイテム、リングが、魔王を封じるかもしれないらしい。実際にそれで魔族が滅されているのを見た奴がいる」


 異世界からの来訪者……


「その方は、どこに行ったら会えますか?私には、使命があります。アルタウス王家からの依頼で、魔王を封じる手段を探していました」


「ああ、じゃあ、ギルドを通じて紹介してやるから、直接会いに行ってみろよ」


「ありがとうございます!」


 とりあえずの目的地が決まってホッとしていました。


 妖精達は、お二人が知っていたこの事を教えたかったのかもしれません。


「俺はどこに行けばいいか分からないから、しばらくセレーナに同行してもいいだろうか?」


「はい。レイの居場所が見つかるまでは一緒にいますから、安心してください」


 助けてもらったお礼に、レイの住む所が見つからなければアルタウス王国に一緒に帰るのもいいなと考えていました。


 町に着いたら、王家へ私の居場所を連絡して、異世界からの来訪者さんに会って、それから……


 その先に、帝国や魔王と対峙しなければならない事を考えると大きな不安はありますが、魔王を封じる手段があると思うと、希望を持つことができました。










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