表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/30

8話 桜狩り

「ディランさん?!変態が呼んでいますよ!」


 ヤンデレ姫に起こされるという最悪の目覚め方をしてしまった。


「………あぁ」


 ベッドから起き上がろうとした。

 だがそれは叶わなかった。


「がっ!」


 何かに引っかかってベッドから落ちて盛大に床に顔をぶつけた。

 何だと思い足首を見ると。


「おはようございます」


 ロープが付いているではないか。

 その先はティナの手の中に続いている。


「これで、ディランさんも私のもの」


 また息を荒くし始めた。

 おいおいおい。


「私のものなので私の許可を得てから歩いてください。歩いていいですよ」

「………はぁ」


 ため息をついて歩くと扉を開けた。


「よっ………って朝からハードそうなプレイをしているなお前は。ちなみに何てプレイだ?」

「知るかよ。朝起きたらこうなっていた」


 また新しい拘束方法だな。


「でもティナちゃん可愛いからご褒美だろ俺も飼い慣らされてぇ」

「黙ってください変態。変態はぜったいに飼いませんから」


 変態同士が言い争っている。


「それよりも俺を呼びに来たってのはつまりそういうことなんだろ?」


 ジードに訊ねると頷いた。


「分かった。行こうぜ」


 振り向いてエルやユミナ達に声をかける。


「留守番しといてくれ」


 ジードの部屋に向かうとフィオナと好青年がいた。


「こんにちは。君がフィオナと組んで黒爪を捕獲してくれたディランでいいのかな?」

「あぁ。俺がディランだ」

「ところで隣の麗しきご令嬢は?」

「妻です」

「最近は結婚相手をペットにするのが流行りなのかい?」

「マイブームです」


 素っ気なく答えている。

 それにしてもこの男もよくこんな見るからに狂人と分かるような奴と話したいと思えるものだな。

 苦笑いしてから俺を見る金髪の男。


「私はアマレウス・ルシフェルス。よろしく頼むよディラン」


 そう言い手を出てきた。

 どうやら先ずは握手という訳か。


「よろしくなアマレウス」


 彼の手を握る。


「あぁ。よろしく。それより早速本題に入りたいのだが」

「あぁ。倉庫に向かおうか」


 ジードが言葉を吐き案内してくれる。


「ほう。これが黒爪か」


 初めて見るのか目を細めるアマレウス。


「何とも荒々しいものだ。それにしても本当にいたとは」


 黒爪に近付きもう一度ナイフを突き刺しておく。


「な、何を?」

「化け物だ。いつ麻痺が切れるか分からないから延長しておくだけだ」


 そう言い抜き出す。


「流石4区の人と言ったところか。警戒心が強いのだな」

「誰のせいでここまで警戒せねばならんようになったのか胸に手を当ててくれ」

「その件に関しては私が謝ってどうなるものでもないが謝罪しよう。対応が追いつかず申し訳ない」


 一応は罪悪感というものがあるらしいな。

 沈鬱そうなその表情は見かけだけのものとは思えない。


「それで俺はもう警戒せずに済みそうか?」

「あぁ。君達に関してはあの関所を通してもいいという許可が下りた」

「そう………なのか」


 予想以上にすんなりといったものだな。

 だから驚いたくらいだ。

 監獄民など誰一人通したくないものだと思っていたが。

 だがこれでようやく1人目か。


「良かったじゃねぇかディラン」


 背中をばしばし叩いてくるジード。

 だがこれはスタートに過ぎないだろう。

 俺はいずれ2区1区と上がっていかなければならないのだから。


「また暇ができればいつか会いに来るよジード」

「おうよ。楽しみにしてるからな」


 俺はアマレウスに顔を向けた。


「で、何か手続きとかあるのか?」

「こちらでしておいた。それと」


 これをと言って皮袋を渡してきた。


「これは黒爪の件の報酬だ。受け取ってくれ」


 頷き受け取ると中身を確認してからジードに100枚渡した。


「例の分だ」

「あーあれか。律儀な奴だな」


 そう言って受け取ってくれた。

 

「こちらは通行証だ。関所にいる衛兵に見せてもらえれば関所を通れる」


 そう言ってカードを渡してくるアマレウス。


「それから3区の居住権利もあることになるから家を買えるなら自由に住んでもらってかまわない」

「有難い話だ」


 それからアマレウスはジードの顔を見た。


「貴方にはこちらを協力感謝する」


 同じように皮袋を渡す。


「あいよ。どうもな」


 2人は話し始めた。

 それを黙って眺めることにする。




 先にティナと二人で家に帰ってきた。


「おかえりなさい」

「おかりなさいです」


 エルとユミナが迎えてくれる。


「あぁ、戻ったよ」

「それでどうなったのですか?」

「監獄を出られるようになった」


 エルの質問に答える。


「お前の監獄ライフは短くてよかったな。こんなところにいると魂まで臭くなるからな」

「その私の魂は臭いみたいな言い方辞めてくれませんか?ディランさん。酷いです」

「お前の魂は臭そうだな」

「ぶえぇぇぇ」


 嘘泣きを始めるティナ。

 監獄にいたせいか少し変になっているのか。

 いやそれは関係ないか。こいつは元から少し変わっていたし。

 それにユミナは普通だから。


「さて、明日から俺は3区に行きたいと考えているがどうだ?」

「私達も行けるのですか?」

「勿論」


 アマレウスは君たちと言った。

 それはこいつらもということだろう。


「一先ずは3区で暮らすことになるだろうそのための用意を頼む」


 先はまだ長いだろう。

 そもそもこの島は何で浮いてるんだろうか。

 何故地震は起きたのだろうか。

 何故ディアンは死ななくてはならなかったのか。


 それに桜花病に黒爪。

 知りたいことは多い。

 俺がどこまで知れるかなんて分からない。

 でも………


「知れる所まではたどり着いてみせるさ」


 だから見ていてくれ兄さん。

 そう思って天を見た時だった。


「頼む!大事な息子なんだ!連れていかないでくれ!」


 広場の方から声が聞こえた。


「桜花病は危険なのです!隔離しなくては4区の皆様に被害が及びます!」


 そこには桜狩りと男がいた。

 どうやら業務の真っ最中らしい。


「罹患者を保護しました!」

「施設へ運べ丁重にもてなせ!」


 それを見てエルが俺の袖を掴んできた。


「あれ、何なんですか?」

「桜狩りだよ。桜狩りに見つかった桜持ちは全員あんな風に連れてかれる」


 これでもまだ緩い方だ。

 平和だな。

 そう思って室内に目を戻そうとしたところ


「この!」

「は、息子を離せ!大事な息子なんだ!」


 基本的には心のない監獄民でも息子に対しては違うのか父親が桜狩りにしがみついていた。


「誰にも迷惑をかけていなかったろ?!」

「そういう問題ではないんですよ!」

「うぉぉぉぉぉ!!!!!息子を返せ!!!!」


 今父親が何処からかナイフを取りだした。

 何をしていいか分からなくなったのか桜狩りに突っ込む。


 結果は考えれば分かるだろうに、桜狩りの部隊は兵士によって構成されているのだから。

 その戦闘能力は市民などでは到底及ばない。

 しかしこうやってする奴がいるのだ。


「そういう問題ではないと言っています」


 バサッ!

 予想通りに鮮血が宙を舞う。

 父親の腕が切り落とされた。


「え?」


 何が起きたのか分からないのかそれを見る父親。

 周りから悲鳴が聞こえる。

 しかし、全部がそうではなかった。


「流石隊長!剣の天才と呼ばれるローエン隊長ですね!」


 その腕の凄さを逆に褒め称える声があった。


「我々の仕事を邪魔する者には制裁を加える権利があるのはご存知ですよね?あなたはナイフを手に取った。我々を害する気があったと認識しました故に」


 ローエンと呼ばれた金色の長髪の男がそう宣言した。


「うぎゃぁぁあぁあぁ!!!!」


 男が悲鳴をあげるが既に見ていない。

 桜狩り達は少年を連れ去ってしまった。


「酷いです………あんなの」


 エルが悲痛な顔を浮かべている。

 これは最悪のパターンだな。


「初めて見るには刺激が強すぎたな。すまん」


 それにこいつは自分があぁなる可能性もあるもんな。

 そのあと落ち着かせるためにもエルの頭を撫で続けてやる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ