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15話 やってきたものの正体

 ここに現れたのは見覚えのある奴だった。


「………桜狩りか………」


 そいつらが複数人でここに来ていた。

 桜狩りだと分かったのはその制服からだ。


「ったく人使い荒いぜ」

「全くだな」


 岩陰からそいつらのことを眺める。

 二人いるな。


「よよよいっと」


 馬車の後ろその後ろの積荷を取り出す。

 ドサッと音を鳴らしながら細長い麻に入れられた何かが出てくる。

 その内の一つが放り出された時に少し動いた気がした。

 嫌な予感がするな。


「眠れ」


 魔法を使い桜狩りを眠らせた。

 短時間だ。急がなくては。

 岩陰から出ると大量にある麻の内の1つを引きずって岩陰まで戻ってきた。


 同時に動き出す桜狩り。

 1つ無くなったことには気付いていないらしい。

 数が数だから気付かないんだろうが。


「よっと」


 桜狩り達は麻の山に火をつけた。

 魔法だ。

 そうして一瞬にして燃え上がったそれを見てから満足気に頷いて桜狩り達は馬車に乗り込んだ。

 それを見送ってから麻の中身を見ることにした。


「………おいおい、まじかよ………」


 中には信じられないものが入っていた。


「人………」


 目の前には少女が1人震えて入っていた。



「………そのありがと………」

「いや、何………」


 気まずい空気が流れている。

 目の前の少女は桜付きだった。

 桜花病罹患者。それが彼女。


 それにしてももしあしてあの他の麻にも生きた人が入っていたのだろうか。

 何とも下劣な話だが。


「俺はディラン。君は?」

「レイ。その本当にありがとう………死ぬかと思った………」


 泣き始めるレイ。

 俺の胸にしがみついて泣き始める。

 ティナすらも黙ってそれを見ているくらいの空気。


「何があったんだ?話してくれないか」


 何やらやばそうなことが起きているのは理解できる。


「ごめん。分からない………でも桜花病を治すための治療施設が本当は治療を目的にしていることじゃないことは間違いない」


 金髪をストレートに下ろした少女はそう口にした。


「あそこに集められた桜付きは全員実験台にされて死ぬ。私はスキルの毒無効で助かったけど。他のみんなは毒魔法で死んでった」

「何の実験なんだ?」


 首を横に振る少女。

 そこまでは分からないのか。


「分からないけど新世界がどうのとか言ってる声は聞こえた。怖かった」

「正直俺一人で抱えるには重すぎるな………」


 厳密に言うとここにはティナ達がいるが本当に重い。

 ………アマレウスに話してみるか?

 何か奴の口封じをできる餌を持っているのなら話すのもありだが。


 ………とりあえず話してみるしかないかもしれないな。

 というより話さないと前に進めない気がする。

 これだけの情報を手に入れたのだ。


 ここからは俺の口が全て。

 アマレウスとの情報戦を優位に運ぶことが出来れば俺は真実に近付けるかもしれない。

 下手をすれば闇に葬られる可能性もあるが………それでも挑むしかないだろう。


「ありがとう。レイ話は分かった」


 桜の模様がある左肩を触って俺から離す。


「感染するよ?」

「しない。それは分かってる」


 俺の体にはまだ桜が現れていない。

 恐らくそう簡単に感染はしないのだろう。

 そう結論を出している。


「こんな話信じるの?」

「信じる」


 そう答えて頭を撫でる。


「ありがとう………」


 また俺に抱きついてきた。

 さて、アマレウスとの話だがどうするか………。

 とにかくここからは駆け引きだ。


 もう戻れないだろうが………でもやるしかない。

 やらなければ俺は真実に辿り着けないかもしれないし。



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