第6話 ギルドの街 カルアート
時間があったので連続投稿!
−森の中−
「カナタ! そっちに行ったわよ!」
「オッケー!」
俺は地面を蹴り、瞬間的に加速する。
鞘に納めた剣の柄に手を添える。
相対した魔物−アーバスウルフ−を通り過ぎると同時に斬る。
前世の記憶、日本という国に伝わるっていう居合斬り。
隙がある技術だけど結構使える。
ただ、いま使ってる剣じゃ合わないのが難点だ。
剣を作らなきゃな。
おっと、集中集中。
「ひゅー、凄い!」
「凄いです、カナタさん。エアカッター!」
ティナから発せられる風魔法のエアカッター。
かまいたちのような切れ味で三体のウルフをたおした。
「イオリ!」
「任せて!」
イオリは槍のような武器を手に戦っている。
彼女は近接型みたいだ。
魔力を体に纏わせて跳躍力を高め、ウルフのもう一つの集団に飛び降りる。
「クレイバースト!」
槍の刃を地面に突き刺すとその刃を起点にし、地面から石の槍が突き出す。
その槍にあっという間にウルフが倒された。
「おぉー! 凄いな!」
ウルフの大群に襲われた俺たちはあらかたウルフを討伐した。
だがまだ、隠れているな。
「……」
そのいくつかの気配に向けて威圧のオーラを放った。
森が騒めき、しばらくすると声も聞こえなくなっていた。
「これで片付いたよな」
「カナタ、あなた何者なのよ……。今、魔法使わずに戦うなんて。カナタから魔力を感知出来なかったけど」
「最後のもですよ! なにしたんですか?」
「これくらいなら純粋な技術と体術でなんとかなるよ。最後のは風魔法に威圧を込めてただ流しただけだよ」
「風魔法にそんな使い方あるなんて知らなかったです」
「そうなの? 探知魔法を応用してるだけなんだけど」
2人は俺を見て驚いていた。
そんなに驚くほどなのか?
「それにしてもさっきの加速も技術なの?」
「あれは少し魔法を使ってるんだ。1割魔法のイメージだけど。レールガンの技術を魔法でしてるんだ」
「れーるがん? なによそれ。よくわからないけど、あれも風魔法?」
「イオリ、あれは風魔法とは違うと思います。私もなんの魔法か分からないんですが」
「あぁ、あれは雷魔法なんだ」
「「雷魔法っ!?」」
先生も珍しいって言ってたからそういう反応になるよね。
まぁ、隠す必要もないしいいかな。
「雷魔法なんて本の世界ですよ」
「そんな珍しいの?」
「珍しいも何も聞いたことないわ。自然特殊系統の使用者なんて」
「そうなんだ」
「あの、カナタさん。失礼とは思うんですが属性は風と雷の2つなんですか? 私は水と風、光の3つなんです」
「3属性だって充分珍しいと思うけどね。私は地と火の2属性ね」
「俺は、その、全部なんだ」
「え?」
やっぱりそうなりますよね。
町のみんなもそれを聞いてびっくりしてたし。
先生も初めてっていってたし。
「えと、その、聞き間違いじゃなければ全部って言った?」
「うん」
「四大属性に陰陽系統、自然特殊系統……。初めて会いました」
「それにあの戦闘技術、あなたすごいわね、いや凄すぎるわ」
そんなに褒めないでくれ。
照れるよ。
とりあえず歩きながら話す。
しばらく1人だったから結構楽しいけど。
エリナ以外に年齢の近い女の子はあまりあったことないから相変わらず新鮮だ。
「あら、気付いたら森抜けたわね。カナタのお陰で楽に森を出れたわ」
「いや、イオリとティナが居てくれたから早く出れたんだよ」
「ふふっ、でしたらおあいこですね。カナタさん、この先に見えるのが私たちが目指す街、カルアートです」
少し先におおきな街が見える。
外観だけでも大きいのがよくわかる。
これはもう楽しみだ!
「到着ね」
あれから少し歩いた。
そして待ちに待った新しい土地!そして町カルアート!
「おぉ、でかい! 広い!」
「皇都よりは小さいですけど、シークリンド皇国でも有数の大きさがありますよ。なによりギルドが盛んですね」
「おおー! これで皇都より小さいんだ」
「ふふ、そうよ。私たちは今ここを拠点にして動いてるの。カナタ、せっかくだし夜ごはん一緒にしましょうよ」
「イオリ、良い案ですね。せっかく知り合えたんですから」
「こちらこそありがたいよ」
なんて羨ましい奴、と思ったのは俺ではない。
「その前に冒険者ギルドによっていい? 今日の報告しなきゃ」
「オッケー。そしたらその間に今日の宿探そうかな」
「私たちが泊まってる宿にする? 多分一部屋借りれるわよ」
「じゃあそこにしようかな」
宿も目処もついたのでもう一つ興味のあるギルドについていこう。
イオリ達についてしばらく歩くと少し大きめの建物についた。
看板には冒険者ギルドと書いてある。
「ここよ、そしてあの受付でライセンスを見せて依頼達成の報告をするの」
「ライセンスがあればある程度の国は自由に行けますし、報酬があるので稼ぎにも使えますよ」
「誰でもなれるの?」
「基本的には誰でもなれるわ。ただ能力テストがあるけど、カナタなら大丈夫ね」
「カナタさんもやりますか?」
「色んな国に行けるならやってみようかな」
「じゃあ、一緒に受付行きましょう」
イオリたちに連れられて受付に向かう。
冒険者、なんとも面白そうだ!
−続く−