表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実の人生の次は異世界で二度目の人生を楽しむ  作者: 希咲七夕
第1章 旅立ち〜赤の悪魔編
3/72

第3話 魔物狩り

「魔法の素質が全属性だからって調子乗っちゃいかんよ。カナタくん」


「わかってるよー。もう運ちゃんは夢の中でお説教?」


「ほっほ、まぁ君ならそういうと思っておったよ。君の前世を知っておるんじゃからな」


「もう1人の僕のこと? ここじゃないどこかの……ってのは分かるけどそこまではっきりしないんだよね」


「気にしなくて大丈夫じゃよ。カナタくんならね。さて、ワシはこうしてたまに来るからの」


いつからだったかな?

こうしてたまに夢に現れるヒト?

運ちゃんって呼んでっていうから呼ぶようになったけど、最初から変な印象はなかったな。

もう1人の僕っていう人のおかけでなのかわからないけど。

これが見終わるってことはそろそろ起きる時だ。


「ふぁぁ〜、運ちゃんが出てくるとやっぱり朝は眠たいや」


僕はベッドから出て、リビングに向かう。

キッチンからは小気味の良い包丁の音が聞こえる。

僕の両親は本当早起きだ。


「父さん、母さん、おはよ〜」


「おぉ、カナタ。相変わらず早いな。もうすぐ母さんの美味しい朝ごはんだぞ」


「もう、あなたったら。カナタ、準備出来たら座っておきなさい」


「はーい」


僕の両親は本当に仲が良い。

見てて僕が恥ずかしくなるけど、2人とも最高の両親だと思う。

顔を洗って準備をして、テーブルに着いた。

母さん特製の朝ごはんを食べて、後片付けをした。


「カナタ、修行のほうは順調?」


「うん! とても楽しいよ! 今日はお昼までは勉強の時間で午後から先生のところ!」


石見式から1ヶ月たった。

先生との修行はとても楽しい。

それ以外にも沢山の勉強、僕が知らないことは沢山ある!

そして、勉強も終わって午後。


「カナタ、勉強は終わったかの?」


「もちろん、終わったよ!」


「そうか、カナタ。今日はいつもの訓練ではない。今日は実戦練習として外に出て魔物と戦う」


「え! いいのっ!?」


「町長からは許可を貰った。いつもの訓練とは違うんじゃ。だからいつも以上に挑むようにな。そのため、今日はエリナの同伴は辞めてもらっておる」


「だからエリナ居ないんだねー。分かった!」


「それじゃついておいで」


僕は先生の後についていく。

先生が歩いていく先には囲いがあってその先は僕たち子供は出てはいけない。

魔物という人を襲う生き物が存在してるからって聞いてる。

でも今日、初めてこの囲いを出ることになる。


「おや、先生。町長より聞いてますよ、どうぞお通りください。カナタ、頑張るんだぞ」


「うん!」


先生について囲いを出た後、少し見晴らしの良い山の上に行く。

見慣れない景色が広がり、僕はワクワクが止まらない。


「カナタ、今日の魔物狩りだがこの森の指定害悪種キリングスベアがターゲットじゃ。まず、この広い森でどう見つける?」


「うーん、気配を探るかな? もし魔法なら悪意を感じる魔力探知をする!」


「流石じゃな。今回のターゲットはより悪意を感じる所におる。それを見つけたらそこへ向かい、ターゲットを倒す。ワシはついていくだけじゃが、なにかあればすぐに助けるから安心して行きなさい」


「わかった!」


(この広い森から悪意を見つけるには時間かかるし、こう森全体に水の波紋のように感知する方がいいかも)


僕は自分を起点に魔力の波を森全体に広げた。


(凄い、こんなに動物がいるんだ! あ、たぶんこの反応だ!)


一際感じた普通の動物からは感じない波長。

これが悪意なんだ、と思った。


「先生、見つけた! 行くね!」


(速い……。やはりこの子は規格外かもしれんな)


カナタは怖がる様子もなく、一気に山の上から飛び降りた。

最短距離でまっすぐに。


「おぉ、直接見るとデカイし、危なそう!」


目の前には僕の何倍もある体。

そして相手を萎縮させようとする威嚇。


「このあたりの森なら間違いなくこのキリングスベアがトップじゃろうな。お陰で周りには一切、動物も居ない。カナタ、怖かったら引き返しても……」


「じゃあ、戦ってもいい?」


「へ、あぁ、気をつけてな」


「キリングスベアか〜。思ったより怖くないや、そしてごめんね」


僕は全身の余計な力を抜く。

動きやすいようにいつもの自然体で。


(普通にしてもいいけど、せっかくだし魔法を使ってみよう。昨日、思いついたしお試しで)


魔力を手のひらに集中する。

イメージは雷を。

手のひらにバチバチと電気が走る。


(カナタ、電気を使ってどうする気じゃ?)


その魔力で作った電気をカナタ自身に纏わせる。

カナタに電気が流れ、バチバチと音を響かせる。


「名付けるなら雷の装備、雷装纏(イカヅチ)ってかんじかな?」


その異様な光景に動物の本能が怯える。

その様子を見て、カナタは。

チャンス!って思った。

跳躍、そして一瞬だった。


「は?」


音も聞こえず、キリングベアの巨体は倒れた。

先生も目では全く追えなかった。


「ありゃ、終わり?」


(指定害悪種のキリングスベアを一瞬で……? やはりカナタは……)


先生は僕を見て、なにかを決心したようだった。


「カナタ、これはな実は試験だったんじゃ」


「え、何の試験?」


「本来なら長い期間を掛けてするもんじゃが、カナタは1ヶ月で終わってしまった。ワシから教えることの出来る魔法はもうない。それほど、未知の領域にカナタはいる」


僕は驚いていた。

まだまだあると思っていた魔法の修行が終わることに。

ただ、いつもの先生とは雰囲気が違っていた


「カナタ、お前のこの力は規格を遥かに凌ぐ。だが、ワシはお前のその飽くなき探究心と奢りの無さを信用する。カナタ、力の使い方を間違えてはいかん。これをワシに約束してくれんか?」


「わかった、先生! 僕は慢心しないよ、使い方も間違えない!」


「よく言った。カナタ、大きくなったら世界を見に行きなさい。そして男なら大っきく自分の国でも作るんじゃ」


「自分の国? よく分からないけど先生がそう言うなら僕はは旅立ちが許される時、世界を見て回るよ!」


「カナタ・イクスウェブ。魔法修練をここに修了する。後は周りに被害が起きない程度に研鑽なさい」


「はい!」


僕の短い魔法修練は先生の言葉を以って終わった。

自由に、それは難しいかもしれないけど先生は僕を信用してくれた。

だから、僕はかならず約束を守るよ。


−それから10年後−


「カナタ、準備はできた?」


「うん、母さん。出来たよ」


俺は16歳になった。

そしてかねてよりの約束を守るため、旅立ちの準備をした。

その見た目は黒髪が特徴的で、顔に幼さは少し残すも男らしくなっていた………。



−続く−

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ