入学審査
車イスで入学審査なんて思いも寄らなかったが、これも私にとっては良い経験なのだろう。アメリカに留学に来て、そしてイギリスにも留学なんてそう経験できるものではないはずだ。
日本に早く帰りたいという気持ちは無くはないが、今、ここで踏ん張れば何か得られると自分に言い聞かせるしかない。
しかし、この【オックスフォード大学】、何か、昔の世界に来た感じで、まるで【ハリーポッター】の世界だ。映画に出てきた光景がそのままあるようで西暦何年なんて時代に吸い込まれていくような気分だ。
(愛? 自信もって行ってきなさい。)
先生たちにもプッシュされ、いよいよ入学審査が始まった。
私は、短期留学、それにシャロンの母の推薦もあったので一般の留学生よりかは厳しくはなさそうだが、3人の試験官との面談があるというのは変わりわない。 果たして私の英語力で留学は認められるのだろうか・・・
試験官のいる部屋に、私の車イスを先生が押してくれた。
(ファイト!よ。愛!)
私の肩をポンと触れて先生は部屋の外に出た。
試験管は真ん中に女の試験官、その左右に男の試験官がいた。女の試験官は少し年配って感じ。男の試験官は一人は父親くらいの人、もう一人は若い男の試験官だ。
(日本からニューヨークのルミエラ大学に留学している、月岡 愛さんね?)
(はい。よろしくお願いします。)
面談が始まった・・・はいいが、その会話のスピード。 アメリカに一年、居て、日常会話レベルの受け答えは出来るようにはなったが、ここまで流暢な会話はまだ私には出来ていない。
それに、アメリカ英語とイギリス英語は同じ単語でも言い方がまるで違うものがある。 でも、やるしかない。出来なくても精一杯、英語力をアピールしないといけない。
マシンガンのごとく試験官3人の質問や会話に私なりに反していった。
日本ではどのようなことをしていたか? アメリカに来て何を学んだか? イギリスに来て何をどうしたいか?など一般的な質問から始まり、イギリスの歴史、歴代の大統領など、政治的なことも聞かれた。分かる範囲で答えたつもりだ。
女の試験官が、
(ロンドンの連続爆破事件、事故後は入院など大変だったでしょう?)
テロ事件の話になったとき、私はイギリスに来て赤いバスに乗り、事件の被害者になり病院に運ばれ、身動きできない体になったことや、日本から祖母が来てくれて助けてくれたこと、専属の看護をしてくれたミアのことなど、試験官に伝えた。
(でも、奇跡的に回復して、車イスで審査に来るまでになったんだから介護してくれた人たちに感謝しないとね。笑)
テロ事件の話で締めくくり、入学審査は終了した。
審査が終わるのを待ってくれていた先生たちも私を励ましてくれあとは結果を待つのみだ。仮に合格したとして、半年間はアメリカにも日本にも帰ることは出来ない。しかしこの半年間を過ごせば私は晴れて日本に帰国することがようやく叶うのだ。
早く日本に帰りたい・・・
審査の結果は、入院している私の病室に伝えられることになっている。入学が決まり、入寮となれば病院ともミアともお別れだ。
出会いがあれば別れもある・・・
高校時代から大学に入学し、アメリカに留学し、そしてイギリスへ・・・
失った人もいれば別れをした人もいて、私の人生は少し多いような気がする。
入学審査も終え、一つの山場を終えた。 あとは結果を待つのみだ。
あの【ハリーポッター】の映画に出てくるようなオックスフォード大学という【お城】で私は語学やイギリスの文化を学んでみたい。いや、学ぶんだ。
そうしてもっと自分を磨き上げ、英語力もさらにステップアップさせるんだ。
そう思うと、早く留学したい、という気持ちでワクワクしてきた。




