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Give and take 留学編  season2   作者: 月岡 愛
16/31

香港へ。

(現地に着いたら周さんって人がいるから、その人にお世話になるから。)


(でも、ほんとに一週間だけだよ。大学からもそれが条件だから・・・)


(愛もソンファもいるし、大丈夫よ(笑))


何が大丈夫だよ・・・・



イギリスから香港へ向かう機内で私たち3人は、一週間の滞在で宿泊や食事などのスケジュールを再確認していた。






オックスフォードに来て初めての(チュートリアル)・・・・


個別指導が行われる部屋には3人の厳しそうな講師がいた。


(イギリスに来て、テロ事件に巻き込まれて大変だったろう? だいぶ回復もしているようだが・・)


(はい。体も元に戻って来ていて、リハビリも効果が出ています。あと少しで車イスもなくなります。)


(そうか。それは良かった。 今日は初日だから、この個別指導を簡単に説明するからね。)



毎週、大学で学んだことを論文として提出し、3人の講師と一対一で対話しなければならないこと、また特別な理由がない限り、欠席は認めないことなどを伝えられた。 しかし、毎週、論文なんてどんなことを書けばいいんだろう・・・ その議題が見つからない。


講師の説明が終わり、私は一週間の休暇の申請、クララという大学のカフェの店員が香港へのデモ活動の参加をするためそれを保護者という立場で、同行させてもらうという趣旨を伝えて見た・・・



(なぜ、一緒に香港に行こうと考えたの?)


一人の講師が私に問いかけた。すぐに反対はしなかったが結構、厳しい表情だ。


(え・・えぇ・・・あの・・・)


ハッキリと伝えることが出来ない、しかしここで諦めたら、私とソンファの香港行きは終わりだ。


(一人だと危ないし、それにいくらSNSで親しくなったからといって現地では何の保証もないし、だから私も一緒に同行・・・)


(そんな理由では認められない。それに、クララは大学の生徒ではないしカフェの店員ってだけでしょ?)


わぁ、これじゃダメだ・・・ もうこれで最後の願いだ。言ってみるしかない。



(もう一つの理由は、論文提出にその議題としてこの香港民主化運動の取材もしたいんです。現地の学生たち・・それも私より年下の人なども大勢、デモ活動をしています。だから、なぜそこまでするのか? 私の母国も昔は今の香港のように学生運動などがありました。当時の学生たちも今の香港の若い人たちも何か共通しているものがあると思うんです・・・)


(それを論文に?)


(はい。それに私は日本で、熊本地震や糸魚川火災など被災地でも救助活動の経験があります。その経験も生かして香港での活動もクララだけでなく現地の人たちとも連携をして救助や保護を目的とした活動を考えています・・・)



自分でも何を言ってんだか訳がわからなくなってしまったが、もうこれ以上、言えることがない。



3人の講師も黙ったままだ・・・


(一週間と言ったけども、それ以上にはならないか?)


(はい。約束します。必ず一週間以内に戻ります。)


(この話は一度、総長(最高責任者)にも相談しなければならないから、それでOKが出ればそのときまた決めよう。この後にでも伝えるから。早い方がいいだろう?)


(ありがとうございます。絶対に約束は守ります。)



話は通ったみたいだ。これでOKが出れば、私の香港行きは現実となる。 



翌日・・・


昨日の講師3人から呼び出しがあり、(チュートリアル)を受けた教室へと向かった。



(内容の濃い、論文を待ってるよ。)


へ? もしかして?


(大学からもOKが出たから。それとルミエラ大学と秋田国際大学の先生にも伝えておいたから。)


(ホントですか??? 何て言ってました?)


(まぁ、生きて帰っては来るだろうから・・・とは言ってたかな?(笑))


信じられん・・・ほんとに香港まで行けるのか?


(あ、それともう一人、同行させるから。)


え? 誰が来るの?



それが、ソンファだった。 ソンファも私と同じく、香港行きを希望したそうだ。クララとも仲が良くそれに私も行くとなったら、私も一緒に、となったらしい。


ただ、大学側からはいくつか条件も提示された。 それは、毎日必ず大学に連絡を入れその日の出来事や3人の健康状態などを伝えること、もし万が一、怪我や事件性の出来事があった場合は即、大学に連絡しその時の状況を見てすぐに戻ること、などが言われた。


私とソンファ、クララ3人の香港行きが決まった。





香港国際空港に到着まであと一時間ほど。


現地では毎日、デモ活動が行われている。警察や機動隊とも激しいぶつかり合いが繰り返されている。その群衆の中に私たち3人も参加することになるのだ。香港に近づいてくるほど不安と恐怖が入り混じり足が震えている。 


でも、もう来たからには無事に帰らなければならない。クララとソンファと。



















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