アイスラテ
オックスフォード大学のカレッジには図書館やジムなどの運動施設があり、バーやカフェも併設されている。学生寮には先生たちの宿泊施設もあり先生と生徒とで食事を作ったり食べたりして日常生活としても溶け込んでいる。
また、多くの著名人などが講義に来るため、このカレッジで食事を共に語りあうという機会にも恵まれ、世界的なリーダーや研究者、ミュージシャン、俳優など刺激的な出会いもある。
そんなカレッジでの生活にも慣れて来て、クララがいるカフェにも行くのが日課となっていた。カフェモカばかり頼んでるので、今日は違ったものをお願いした。
(クララのおすすめがいいな。)
(愛は結構、甘いのが好きだから、今日は、ちょっと苦いのを作ってあげる。笑)
(苦い? の?)
(苦いっていうか・・・甘くないやつね。)
と、いい作ってくれたのが、
(アイス・ラテね。下はミルク、上にちょっと苦味のあるコーヒーよ。)
おお・・・白と黒のツートンカラーでなかなかではないか?
パンも出してくれて、
(このパンはなんていうの?)
(これはシナモンロールよ。学生たちにも人気ですぐになくなっちゃうの。)
たしかにこのアイスラテ、甘くはないけど結構、美味しい。それにシナモンロールとも相性がいい。
(愛、仕事終わったら、ちょっと案内してあげる。大学の近辺にはいろいろとあるから。)
(じゃ、講義が終ったらまたここに来るから。)
(私が迎えに行ってあげる。待ってて。)
イギリスでの生活はこのような感じでクララに介助されながら過ごすことが日課になっていた。ほんとに私に良くしてくれて、このオックスフォード大学では姉妹のように接してくれて、私にとってはもう無くてはならない存在にもなっていた。
料理もプロ級の腕前で、特にサラダは格別に旨い。学生寮にあるダイニングではクララが来るとそれが楽しみなんて先生や生徒もいて評判がいい。
大学の講義が終わると私は病院に戻り、リハビリを受けるときもクララが一緒に来てくれて車イスを引いてくれた。
日本にいたらここまでしてくれる人などいるだろうか・・・
(いいか?愛ちゃん・・いざとなったら誰も助けちゃくれないんだ。病気になったって誰も面倒など見ちゃくれなんだからな・・・人間なんてそんなもんだよ。)
まだ私が高校生のときに出会った、元さんの言ったことが頭の中を過る。
秋田でもシゲルさんがそうだった。末期ガンで余命○日というのに最後を看取ったのは私とティファニー、セギョン、それに絵美理さんだけだった。 離婚したとはいえ元の奥さんと娘さんは会うのも拒否、会いに来たのは故郷の兄弟だった。
元さんが言ったように所詮、人間なんてそんなものなのだろう。 いくら良い事を言っていても実際にそのときになってみてその人の本当の人間というものが出てくるのかもしれない。
学業もしっかりとしなければならないが、リハビリも積極的に熟して早く回復し自力で歩けるようにならなければいけない。そのためにも私ひとりでは何もできない、だからこそ、ミアやクララが私の側にいてくれるのだ。 その期待に応えなければならない。




