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9.試合中は、お静かに。


サファイアがいなくなって、かなり時間が経った。

変な貴族に捕まっているのだろうかと、心配になり、俺は相手をしていた、ご令嬢たちから「少し失礼します」と言って離れた。


サファイアを探していたら、普通にこちらに向かってきていた。

彼が来た方向を見つめ、あそこのスペースはあまり人気のない所だ。休憩していたのか?と推測をしたが、何故、あの場にルルーシュ嬢がいるのだろうか?という疑問も浮かんだ。


人づきあいの苦手なサファイアがいたのなら人気のない所は彼にとって、いい休憩場である。

だが、あの目立ちたがり屋のルルーシュ嬢があそこにいるのは、少しというか、かなりおかしい。


僕の次はサファイアか…?


そんなことを思ってしまう。

彼女は、前回のお茶会も参加していた。

僕のことを気に入ったのか、ものすごいアピールをしてきて、高い声を出しベタベタと触ってきた。

正直に言うと気持ちが悪かった。


…あの令嬢の印象なんて最悪だ。


僕は彼女が挨拶をしてきた時、笑顔で接したが彼女に、できれば関わりたくなかった。

今回もベタベタとされるのだろうと、思っていたのだが、挨拶だけで終わり。

前回と異なる彼女を見て、かなり変だと思ってはいたが…サファイアも狙っていたとは…


なんて欲が深い令嬢なのか…。

ため息がでそうになる。


「サファイア、休憩していたのか?探した」


「あぁ、すまない。少し知り合いに話をしていた」

「知り合い…そうか…。先程、ご令嬢がお前のことを気に入ってた、会わせたいから来い」


「分かった。結構待たせてしまったか?」

「当たり前だ、かなり待たせている」


ダリア・ルルーシュ嬢を知り合いだと…?

サファイアは、彼女に魅了されてしまったのか…?

彼女は、見た目は美しい令嬢だ。

だが、中身は疲れるくらい残念な令嬢だ。

僕でも疲れるのに、サファイアには…弟にはあの令嬢はきっと無理だ。


だが、彼女は俺の婚約者第1候補になっている。弟に手を出そうと思っているのなら、そのまま僕の婚約者にして、弟からなるべく遠ざけるようにしよう。


どちらかが婚約者を決めないと、父上に急かされ、ずっと言われ続ける。


なら、僕が第1候補のダリア・ルルーシュと婚約すればこの、めんどくさい茶会も少しでもしなくて済むことになる。

まぁ、彼女を見張ることもできるし。


一石二鳥という訳だ。


この茶会が終わったら、父上に報告をして、ルルーシュ家に「婚約をして欲しい」と手紙を出そう。



⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰




何故か今、とても寒気がしたわ。

ぽかぽか陽気なのに、寒気がするって、これ絶対、誰か私の噂をしているわね…。


「あ!あの!お隣よろしいでしょうか?」


え?私、また話しかけられた?


と声の方を見ると、そこには、私と同じ歳くらいで、ゆるふわの金髪に近いような色の髪で綺麗なピンク色の瞳をした可愛らしい女の子がいた。

え?本当に私に話しかけたのかしら…


「す、すみません、嫌でしたら大丈夫です!」


あぁ、私に話しかけてくれていたのね!!


「いえいえ!全然構いませんわ!どうぞ」


そう答えると女の子は、ぱあっと明るくなり

「ありがとうございます!」

と言って隣に座った。


私…この子知らないのよね…挨拶もしたことないし…誰なのかしら?


「ええっとごめんなさい。お名前聞いてもよろしいかしら?」

「あ!はい!こちらこそごめんなさい。名乗ってなかったですね、はじめまして!リラ・ムインズと申します。よろしくお願いします!」

「はじめまして。私は、ダリア・ルルーシュと申します。よろしくお願いします」

「ダリア・ルルーシュ様…ルルーシュ公爵家のご令嬢様ではないですか!」

「えぇ、そうですよ」

「失礼致しました。子爵の娘が話しかけても、よいお方ではありませんでした…」


そう言って悲しそうな顔をする、リラを見ると、心が痛んだ。

でも、これはチャンスじゃない?とも思った。友だちゲットのチャンスじゃない?

よし!そうとなれば!

怖がられないように笑顔で


「よいのですよ?他の方々は違うかもしれませんが、私は大丈夫ですわ。

あの、もし良かったら話し相手になってくださらない?私、話し相手がいなくて、退屈でしたの…どうかしら?」


「ええ!勿論です!私でよければ、よろしくお願いします!」


「ありがとう、も、もしよろしければなのだけど、堅苦しいのも嫌だから…その友人に話すような、口調でお願いできますか?」


「?もちろん構いませんが…よろしいのですか?」


「はい!よいのです!」

「分かりました、では、お言葉に甘えて喋りますね」

「ありがとうございます」


やはり貴族の階級が気になるのか、リラは一呼吸、入れてから話を始めた。


「じゃ、私のことはリラと呼んで。ダリアも、堅苦しいのはなしで」

「あ、それもそうね、分かったわ」


うふふと笑ったリラはとても可愛らしい。

ヒロインのあの女と雰囲気は似ているから、きっとリラは愛されキャラなのね。

でも、何故、私に話しかけたのかしら、私の事を知らなかったみたいだし…


「リラは何故、私に話しかけたの?」


私の問いにびっくりしたような顔をしたリラは、ゆっくりと話し始めた。


「あぁ、私ね。恥ずかしい話。今回のお茶会が初めて参加したの。

で、友人も誰もいなくて困っていたら、貴方が1人でいたから仲間なのかなって思ったの。でも、話しかけてみたら公爵家の令嬢様だし、私とは違くて、しっかりしているし…

でもね、友だちになりたかったのは本当よ?」


「そうなのね、私も友人と呼べる人が、いなかったから1人でいたのよ。でも、リラが話しかけてくれて、嬉しかったわ」


「本当?私もよ。ダリアがいい人で良かった。普通の令嬢だったら、私みたいな身分の低い令嬢が気安く話すなってきっと怒ってるわよ」

「それもそうね…」


…前世の私だったらきっと怒っていると思うわ。

だって、ヒロインが平民だからと虐めていたのだもの。


でも…。


「ええ!だから、ダリアは、いい人よ!」


でも…リラに言われてるのだからいい人になれているのかしら?本当にいい人になれているかしら?前世の失敗を起こさないように行動できているのかしら?


でも、なんだか分からないけど、きっと大丈夫な気がしてきた。



「ありがとう。そんなにいい人と言われると照れるわ」


その後もリラと色々な話をして、今回のお茶会はミッションクリアで、大成功だったわ。と思うダリアだった。


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