7.試合が始まる前の準備
「今日は、試合よ!!!!そう!待ちに待った!!!(待ってないけど!!!)」
「お茶会ですね」
着替えをしながら、アルナに訂正をされる。
「そうお茶会!」
「…お嬢様。そのような感じでは、控えめに行動するのは難しいですよ」
「本当です!元気が溢れているではないですか!」
着々と準備を進めながら2人に小言を貰う。
でも私だって、本番はかなりしっかり出来るのだ。
「2人ともいい?私は本番はしっかりするのよ」
「知っていますが、その様子じゃ、ねぇ」
「はい、先輩の言う通りです。」
はぁ、昔から心配されることが多いわ。
「分かったわ、今から気持ちを作るから」
「お願いします」
ヤメノが、気合いを入れて、ヘアーアレンジをしていく。
化粧などヘアーアレンジはヤメノの仕事だ。彼女は、いつも気をつけて女子力の高い女の子である。
「よぉし!お嬢様を、とびきり輝かせますね!」
「いや、輝かせなくていいわ。あの、変にならない程度でいいのよ」
「あ!はい!分かってますよ、大丈夫です!」
笑顔で返事はしてくれたけれど、なんか燃えているわ…この子。
まぁ任せましょう。腕は確かなのだから、心配はいらないし。
「出来ました!上品です!」
「うわぁ!今回も凄いわ!綺麗にできたわね」
髪はポニーテイルにしてくれたのね、ちょっと巻いて可愛い髪型だわ。
本当に上手だわ。
クルって回ってみる。今日も完璧だわ。
「お嬢様。お似合いです」
「ありがとう!2人とも」
父と母と兄に見せ。
行ってきます。と言って行こうとすると、父が、行かせたくない!などと言い始め、冗談で言っているのか分からなくなるくらい真面目だ。何だかその光景は凄く面白かった。
お茶会に行く時間になり
兄に馬車までエスコートしてもらった。
「今日は一緒に行けなくてごめんね」
「ううん、大丈夫だよ。ソロン兄さん忙しいもの」
「うん、ありがとう。やんちゃしないでね」
「しません!」
馬車に乗る前に、ソロン兄さんに
「今日も綺麗だよ」
と優しく微笑まれ
「あ…!ありがとうございます!!」
「ふふっ。うん、それじゃ。気をつけて」
「はい!行ってきます」
兄の顔はいい意味でやばいと思う。兄の恋人になる人は大変ね。あの顔で優しく微笑まれたら、もう、天国に行ってしまうわ。
よし、これは、第一歩よ。
他の令嬢からすれば、楽しいお茶会だけど、私にとっては、試合よ!生きるために頑張ろう。
でも、なんだか、今日は大丈夫な気がするわ!
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「ふぅ準備だけでも疲れる」
「そうだな、お疲れ様」
「サファイア、あまり無理しなくていいからな」
「いや、大丈夫だ、練習もしたし、無理だと思ったら止める」
「分かった」
今日はお城でのお茶会だ。
沢山の貴族の子息や令嬢がくる。
挨拶もしなければいけないし。憂鬱なのも分かる。
でも、これが俺たちの務めだから。
しょうがないよな。
「さぁ、始まるよ」
急に兄の顔が変わって笑顔になった。
瞬間を見るのは不気味である。
「その顔になる瞬間は本当に凄いな」
「まぁ、無表情だと近寄り難いしな」
「なるほど」
「お前は笑わなくても大丈夫だ、それでいいんだよ」
「ありがとう。頑張ろうな、ルビー」
「あぁ」
今日の大事なお茶会が始まった。