37.友人は…②
部屋に案内され入るとダリア以外にソロンがいた。ソロンは…拳を握り……なんで、ここにいるのか………トパーズの胸ぐらをつかんでいた。
「ソロン兄さん!!やめてください!」
「ダリアすまない。僕はこいつを殴らなきゃ気気が済まない」
「誰か!誰か!兄さんを止めて!!」
ダリアは叫んで助けを求めているが彼女の侍女アルナは、いつも通りのすまし顔…いや冷めた目でトパーズを見ている。
「ふふふ面白すぎるよ!!ソロン」
その状況が楽しいのか俺の従兄弟は、変態は喜んでその場で笑っている。
「あーやっぱまだ、やってたか〜」
「ロキ、一応だ。一応聞こう。この状況はなんだ?」
「いや〜勉強をしようと思ってお嬢様と2人で始めていたら貴方の従兄弟様がふらっといらっしゃいまして、そこにシスコ…んんっ勘の良いソロン様がいらして、このザマですよ。おかげで勉強が全然進まないです」
「どうにかしてください」とニコッと笑って背中を押された。いや、うん。どうにかするしかないだろう。
「トパーズ。何があったかは知らないが、からかうのをやめろ。ソロン、その拳をおろしてくれ」
ソロンの顔はとても怖かった。妹思いなソロンだ。そのソロンを怒らせるなんて、きっとダリア絡みのことで何かこいつは、逆鱗に触れることを言ったのだろう。
「やぁ面白くない人間くん」
「別に面白くなくてすまなかったな。こいつを連れていく」
トパーズの首をつかみ扉の方へズルズルと連れていく。
「え?誰を?」
「お前だろ」
「え?なんで?」
「勉強の邪魔だから」
「はぁー??俺、邪魔してないよ?ちょーっとダリアちゃんと仲深めたいな〜と思って口説いただけじゃん、それ邪魔しに来てんのソロンなんだけど??」
「だから、お前を殴らないと気が済まないんだ」
ソロンは、また拳を握り始めた。
「ソロン兄さん落ち着いて」
「うわ優し〜助けてくれるの?ダリアちゃん。俺ね。ソロンの妹、全然興味なかったけどダリアちゃん本当に美人で可愛いね〜」
「褒めてくださりありがとうございます」
「いや〜こう言っても表情変えないダリアちゃんめっちゃいい。ねぇ俺と付き合わない?」
「お断りしますわ。私、トパーズ様は好みではありませんの。それより、そろそろ怒りますので、やめてくださいな?」
「可愛いね〜」
話を聞いているのか…聞いていて空気が読めていないだけなのかトパーズはダリアを口説いている。それを見ているソロンの顔がだんだんと怖くなる。ロキはロキで「サファイア様お願いします」と人任せだ。ダリアも顔がだんだんと強ばっている。嫌な雰囲気だ。
「はぁ…連れてく」
「もう!ダリアちゃん、つれないな〜でも、そんな所もいいね。あーやめて、サファイア俺に触らないで。俺、次の先約あるから自分で出てくし、じゃ、またねダリアちゃん」
ヘラヘラと笑って手を振りトパーズは出ていった。次の先約って、アイツまた他の女性と………
「トパーズは、そういう奴だからダリア気をつけてよね?」
「わかってますよ、ソロン兄さん、ありがとう。それに、サファイア様もありがとうございます」
「あー良かった!さぁ!お嬢様、勉強しましょう!ソロン様も教えてください!先輩でしょう?」
「はぁ、そうだね」
ソロンがボソッと「トパーズめ、今度覚えとけよ」と言ったのは聞こえないことにした。いやボソッと言ったのだが絶対ここにいる者に聞こえている。ロキもダリアもなんとも言えない顔をしていた。そして、3人はまた勉強をしようと机に向かったので俺は用が済んだと思い帰ることにした。
「……サファイア様、良ければ一緒にどうですか?」
ダリアはそう言って椅子に促した。
「俺は…」と言い終わる前に以前あったようにソロンが「紙とペンや教科書はあるので、どうぞ。お座り下さい」と言ってニコッと笑った。
「これは、逃げれないやつ」
ロキがニヤニヤしながら俺を見ていた。ソロンはその様子に気づいているがそのまま続ける。
「勉強やばいのでしょう?早く座って、しますよ」
「えぇ、分からないところは私が教えますわ」
ソロンとダリアはニコッと笑う。兄妹だからとても笑った顔が似ている。
「そうか、ではお願いしよう。よろしくお願いします」
「はい、じゃこっちはロキ見とくからダリアはサファイア様をお願いね」
「ええええええ、俺がお嬢様が…い」
「ん?何を言うのかな?」
「いえ!いえいえ!!何も頑張りましょう!!頑張りましょうね!」
「ふっ」
焦っているロキをみて笑ってしまう。ロキ、さっき俺を笑ったからだぞ。
「ふふふっ私たちも、やりましょう」
ダリアに教えてもらいながら、ほとんど手をつけていないテストの範囲を勉強した。
「……ふぅ、サファイア様。やっと解けましたね」
「あぁ、一通り通れてよかった。ダリアの教え方がとてもよかった。ありがとう」
「いえいえ!サファイア様が飲み込みが良かったのですわ、でもお力添えできて良かったです」
「…よし。日もくれてきた。そろそろ終わろうかお疲れ様、皆。はいご褒美だよ」
ソロンは先程の怖いソロンでなくなりいつもの優しいソロンに戻っていた。そして、ご褒美の飴をもらい勉強会は無事終わり解散した。
すっかり日も落ち暗くなった道を歩きながら、思う。ソロンは俺の兄と似たようなところがある。妹思いなソロンは怒るとあんな怖い顔をするんだなと思った。兄もきっとダリアに何かあれば怖い顔をするんだろうな。ダリアはいつも愛されている。いや、ダリアが愛される理由は俺自身とても分かっている。彼女は魅力的な女性だ。昔から、あの場所で出会った時から――
「サファイア様!忘れ物です!」
後ろから慌てた様子でダリアが来た。
ダリアの手には俺のハンカチが握られていた。
「すまない。ハンカチを忘れるとは、わざわざ届けに来てくれてありがとう」
「えぇ、いいのです。あの、それと伝えたかったのですが」
ダリアは俺の目を見て言う。
「サファイア様は面白い方ですよ。一緒にいて私は、とても楽しいですわ。トパーズ様はサファイア様のことを知らなすぎますわ。こんなに、サファイア様は一緒にいて面白い方ですのに」
「ふふっそれだけを伝えたかったのですの。伝えられてよかったです。では、おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
優しく微笑み彼女は去っていた。彼女は優しい。彼女の先程の微笑みが脳裏に焼き付き忘れられない。危なかった。抱きしめてしまうところだった。今、俺の顔は真っ赤だ。ダリアにあぁ言われて自分の顔がだんだんと熱くなっていくのが、わかった。彼女にバレていないだろうか。日が暮れてもう暗いからバレていなければいいな。
「この想いを消したいのに中々、消せないな」
――俺は彼女のことが、好きだ。
⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱
俺は誰もいないことを確認し部屋に入る。
不機嫌だろうな〜こんな時間なっちゃったしまさか日が暮れるとは。まぁ怒っても気にしないんだけどね。
「やぁ!待たせたね、先約さん」
「遅すぎるんじゃない?」
案の定、俺の従兄弟は不機嫌であった。
「いやー君の前に女の子に話しかけられちゃってね?それだったら大事な女の子、優先するしかないじゃん?」
「はぁ〜トパーズ、女癖そろそろ治したら?」
「いやいや、ルビーこれは無理。もう俺のこと夢中にさせてくる、一途になれるくらいの面白い子じゃないと無理」
俺の女癖にルビーは頭を抱える。
「シトリン叔父様も頭を抱えているよ」
「ははっその話は面白くないな」
実に面白くない話題だ。父親の話はしたくない。理由を知っているのに話題で出してくるなんて性格の悪い双子の兄だ。まだ弟の方が面白くないと言われ悲しそうな顔をする方がとても可愛らしい。まぁどんなに美人であっても男に興味なんて、わかないけどね。
「だろうね。で?その女癖でどうだった?話したんでしょ?」
「あーうん。いいと思う。普通に可愛いと思うし」
「そう」
「ねぇルビー。本当に彼女を選ぶの?」
「もちろんだよ」
彼は不敵な笑みを浮かべる。これ、前に1回女の子と見に行った劇での悪役じゃん。
俺は納得がいかなかった。だって好きだったじゃないか。とても愛していたじゃないか。初めて好きになったって笑顔で俺に伝えにきてくれたじゃないか。
「はぁ…トパーズ。僕は疲れたんだよ」
ルビーは手を組み遠くを見る。
「なんかさ、もういいかなって思えてきてダリア僕のこと好いてくれているのかなって思うしそう考えてるのも疲れてきたんだ」
「なんとかなるかなって思ってたけど僕さ、あの2人みたいに楽に考えられないんだよね」
「――だからさ、僕はアリフィアと仲良くなろうと思う」
笑顔で彼は言うが、その笑顔はどこか寂しそうだった。
読んでくださってありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
トパーズくんは、女癖は悪いけど一人っ子なので、なんだかんだ従兄弟のことを大事に思っていて、従兄弟思いな子なのです( ̄^ ̄゜)ホロリ




