29.貴女のために
「サ、サファイア様どうしてこちらに…」
「たまたま、こちらに」
「サファイア様!わたくし嫌でしたの!ですがダリア様が、わたくしたちに言ったのです!目障りなこの娘をと!」
先程の様子とは全然変わりロゼッタが泣きそうになりながら言う。
最悪…完全に悪者だわ。終わった。アリフィアが本当のことを言ってほしいのだけど……いつの間にか気絶しているし無理か。
「そうか、それでそこの者は大丈夫か?」
「気絶していますわ」
ロゼッタの取り巻きの1人が答える。
「そうか。ダリア嬢は大丈夫か?」
「え?だ、大丈夫ですわ」
何故私にも聞くの?
「だ、そうだ。ロキ」
「は〜い!わかりました〜!」
とロゼッタの取り巻きの1人が「はいはーい」と手をあげる。手をあげた方を見るとヤメノの格好をしたロキがいた。
え?全然気がつかなかった。なんでロキがここにいるの?
「いや〜ビンゴでした。流石サファイア様。来て良かったです」
「それで、ロゼッタ嬢の言ったことは、あっているか?」
「え〜?聞きます?どうしますか?今ならまだ許してもらえると思いますよ、ロゼッタ様」
いつもとは黒い笑みを浮かべるロキに寒気が起きる。ロゼッタは顔色を悪くし「いえ、間違えましたわ。し、失礼致しますわ」と去っていった。
「あぁ〜逃げちゃった」
「怖がらしてどうする」
「しょうがないですよ。お嬢様、大丈夫ですか?」
「えぇ…大丈夫よ。あの、ありがとう」
「それはサファイア様に。様子がおかしいって気づいたのはサファイア様ですから。俺はいつも通りだと思ったんですけどね、流石です」
「そうなの。サファイア様ありがとうございました」
「俺は何もできていない。ロキはすごいな。言ってからの行動が早かった」
安心からか、全身から力が抜け地べたに座り込んでしまう。
「だ、大丈夫か?!」
焦ったサファイアを初めて見た。
「ふふっ大丈夫ですよ、力が抜けちゃって」
「そうか。」
と私の隣に座ってきた。力が入らないから戻るようになるまで待っていてくれるらしい。
「そう言えば、いつ気絶したんだろう?」
「あ!それ俺です!俺がチョイ☆ってやりました」
アリフィアを背負ってロキがいつもの優しい笑顔で答える。アリフィア…うちの執事がごめんなさい。
後で謝りますわ。私ってば接触するの嫌だったのに完璧に自分から接触しに行ってるわ。馬鹿なのかしら。馬鹿よね〜。今回も上手くいって良かったわ。いや自分の力じゃないか。ロキとサファイアがいたからこそよね。本当に2人には感謝だわ。貸し1つと言ったところかしら。少しずつでも恩返ししなきゃだわ。
「ダリア、カッコ良かったよ。頑張ったね」
と私に聞こえる声の大きさで頭をポンポンとしながらロキはニコニコしながら言った。それを聞いて泣きそうになったが、また我慢をした。
「それより、ロキは女だったのか…気づかなかった。」
「いえ、違いますわ」
「それで剣の授業を受けたがらなかったのか」
「いえ、違いますわよ。サファイア様」
「今度からは無理強いしないようマークスにも気をつけるよう話しておこう」
サファイアは私の話がもう聞こえていないのか自分で言って納得していた。もうめんどくさいからいいか。
「俺、女性じゃありませんよ!?」
ロキが焦って言っても、サファイアには全然信じてはもらえなかった。




