28.貴方のために
あらアリフィアだわ。ここってイベントだったかしら?もう曖昧すぎて覚えてないわ。
「アリフィアさんまた、来たのか」
「またって…あの方、毎回こちらに来られるの?」
「毎回という訳では無いけど、まぁ他の女性らからすればよく来るね」
「何?マークス、アリフィアと仲良いの?」
リラを見ると、ちょっと不機嫌そうじゃなくて、眉間にシワを寄せ不機嫌になっていた。もしかしたら、ライバルになるかもしれないものね。それは心配になるわ。
「俺は時々話す程度だよ」
「そう、そうなのね!」
「うん、まぁルビーと話してることが多いからな〜多分だけど狙ってるな」
「マークス、ダリアがいるんだぞ」
サファイアに言われ気づいき「あ、やばっ」と言ったが、もう遅い。だがマークスの話のおかげで情報がもらえた。むしろ有難い。ありがとう。そして今回もルビーのルートらしい。
「で、でもよく一緒にいるってだけで!」
「そう、よく一緒にいるのね!」
「そうそう!よく一緒にいるってだけ!」
「そう!それで2人は仲が良いの?」
「うん!なんか知らないけど、いつの間にか仲良くなってて仲はいいよね!」
「そう…」
マークスって意外とお喋りなのね。リラこれは将来苦労するわよ…。
まぁ情報が知れて私はとても良いとは思うのだけど、やっぱり気をつけないとね。
はぁ、ルイったら着々と攻略されてるのね。そう言って笑い合っている2人を見ていたら曖昧な前世の記憶が蘇る。前世は、2人が楽しそうに笑っていたのを見ていたのよ。前世の私に向けられたことのないルイの笑顔がアリフィアに向けられて幸せそうな2人を見て嫉妬していたのよ。
「マークス、お前…」
「マークスのお馬鹿!ダリーが悲しんでるじゃない!」
「え、あ!ごめん!」
「ありがとう、リラ。でも私、悲しんではないわよ」
「大丈夫なの?」
「えぇ、交友関係が広いことは、いいことですもの」
ニッコリ笑ったが、皆は困っている。さっき困らせないようにって思ったのに、もう困らせてるわ。
「本当に思ってるのよ?」
「…わかったわ、ダリーがそう言うなら大丈夫なのよね」
「ありがとう、リラ。本当にありがとう」
「あの子がルビー様を狙っていたら私がガツンと言ってあげるわ!」
「ふふっリラは頼もしいわね」
「えぇアリフィアとは顔なじみ?なのかな?まぁそんな感じだから」
「え?顔なじみなの?」
「なんて言えばいいか分からないけど、私の母がアリフィアに助けてもらったの、そこからアリフィアとはよく話すことがあるわ。彼女と友人なのかはよく分からないけど」
え?アリフィアはリラと接触していたの?
リラは、アリフィアの…味方になるのかしら……衝撃的な言葉で頭が痛くなってきた。
「でもダリーは私の大事な友人よ!」
リラを見ると、笑顔だった。「だから、何があっても助けるわ」と言ってくれた。その言葉を聞いて、さっきの頭の痛さはなくなり、嬉しさで泣きそうになった。ここで泣くのは、勘違いをされるので泣くのは我慢をした。
「リラってば本当に最高の友人ね、私もリラに何かあれば駆けつけて助けるわ」
ふふっと二人で笑っていると、ロキが口を開いた。
「あれ?他のご令嬢様ですね?」
「本当だ。なんか今日、人いっぱい来るな〜」
「ルビーも大変だな」
男3人組はルビーが対応しているのを見て他人事のように言っていた。いや、サファイアは「大変だな」じゃなくて、お兄さん助けに行きなよ…。
だが、令嬢たちはルビーに挨拶をするだけでアリフィアを連れ離れていっただけだった…がこれがイベントだった。忘れてたけど仲良くするだけのイベントじゃなかった。前世ではアリフィアを連れていったのは嫉妬した私だった。そう、このイベントは『私が婚約者なのに貴方が何故ルビーの隣にいるの?』という感じの悪役令嬢始まりのイベントだ。その後、変に思ったルビーが登場し泣くアリフィアを慰めそれを見た私の悪役令嬢日々が始まる…と言っても何もせず嫉妬するだけの日々だったのよね〜。なんで殺されたのかしら?
だけど今回のイベントは私、不参加で始まった。そしてアリフィアを連れていった主犯だと思われる人物はロゼッタ・ロイリクス。ルビーの婚約者候補2番目だった令嬢だ。それにしてもロゼッタ誰かに似てるのよね…?まぁそれはいいか。それより今、もしかしたらアリフィアは虐められているかもしれない。それにあのロゼッタだ。ロゼッタは前世の記憶から言うと冷酷な人間だ。だからアリフィアに何をするか分からない。助けに行かないと…。
「よし、戻るか」
「ロキ、お前もするぞ」
「えぇ〜嫌ですよ。皆さん強いんですもん」
「お前、執事なんだから主人守れるようにならないと」
「ロキ、行ってきなさい」
ウダウダとしているロキの背中を押しサファイアに任せた。いや押し付けた。
「何を言っている?ダリア、お前もルビーに会いに行くんだ」
「いえ、私はお邪魔したくありませんのでそれに少し寄りたい場所がありますの、リラとロキをよろしくお願いします。ふふっ失礼致しますわ」
「おい!」とサファイアに言われたが振り返らず彼に捕まらないように早歩きでその場を去る。
そして、イベントがあった場所に走る。イベントは薄暗い所であった。通る人がほとんど少ない所。私1人でも大丈夫よね?あぁ、やっぱり誰か連れてくればよかったわ!
目的地に着くとアリフィアを囲むロゼッタ他令嬢たちがいた。
よし、いた…久しぶりに走ったせいで呼吸が整わない。運動不足かもしれない、運動しよう…。
息を整え、ロゼッタたちに気づかれないように近づくと、他の令嬢の「平民のクセにルビー様に近づくなんて」と数々の罵声を浴びせる声が聞こえた。
「貴女、平民のクセに調子に乗りすぎではないかしら?」
「いえ、そんなつもりは」
バシッと音が聞こえロゼッタは自分の持っている扇子でアリフィアの綺麗な顔を叩いた。
「お黙り!平民のクセに貴族に、ましては王族に手を出そうなんて汚らわしい」
うわぁひどいな。私の時そんなこと言ったことないですよ…。いや、本当にこれと比べるとなんで私は死んだんだ…?
それよりロゼッタが逆上する前に早く助けなきゃ。堂々と…
「私はただ仲良くなろうと思っただけです。汚らわしくなんてありません」
「なんですって?」
あぁぁぁ!なんでそんなこと言うかなぁ!?
アリフィアの突然の言い返しにロゼッタが眉をひそめ、またアリフィアに手をあげようとした。
「貴女方!!何をしていらっしゃるの?」
ロゼッタがあげた手を止め私の方を見る。
「あらぁダリア様ごきげんよう」
「えぇロゼッタ様ごきげんよう…それで何をしていらっしゃるのかしら?」
「貴女のためですわ」
「え?なんですって?」
「ですから貴女のためですわ。この平民がルビー様を誑かしてましたので少し注意を」
「私は頼んでなんかいませんが?それに、手をあげるなどあってはならない事だと思うのですが」
「それも貴女のためですわ。貴女が注意をしないからわたくしがしたまでですわ。気をつけた方がよくってよ。仮にもルビー様の婚約者なのですから」
クスクスと笑いながらロゼッタたちは笑っていた。私のためって言って私のせいにしようとしているのね。本当に性格が悪いわ。
「わかりましたわ。私のためにやっているのですね?私のためにと思い行動をしてくださったことは感謝致します…が以後このようなことはやめてください。」
「何故です?」
クスクスと笑う令嬢を見ていると段々、腹が立ってきた。もう悪い顔して言ってしまおう。私は口元に弧を描き令嬢を見て言った。
「ふふっわからないのですか?その者はルビー様と仲が良いのですよ?この事が言われてしまえばどうなるか考えればわかりますでしょう?行動は慎重に致しませんと」
私が言い終えた後、ロゼッタの後ろの者が慌てだしロゼッタが逆に笑みを見せた。ロゼッタたちの目線は私の後ろを見ている。バッと後ろを振り返ると…
「サ、サファイア様」
「何をしている」
怪訝な目を向けたサファイアが立っていた。




