表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/39

21.兄の婚約者


俺の後ろに今、落ち着きがない令嬢がいる。

綺麗な顔立ち、黒い髪で水色の瞳の兄の婚約者ダリア・ルルーシュだ。ダリアはいつもならとても落ち着いているが今のダリアはとても目を輝かせて城を見ていた。


この令嬢は不思議なもので自分をよく下に見ている。話す度に不思議に思う。何故兄はこの令嬢を選んだのであろうと…。公爵令嬢の身分で将来はきっと美人な方になるとは思う…が、頭は良さそうではないし失礼だが、ただの美人だ。ルビーの将来は国の王だ。なので、大事な婚約者だ。慎重に選ばないといけないのにルビーと来たら「なんとなく」という理由で彼女を婚約者とした。国の王を支えていける者でないと、と選ばないといけないのだが…困った兄である。


それより、何か話した方が良いのだろうか?

話と言っても話すことなどないのだが…


「…そんなに珍しいか?」


何回か来たことあるだろうにマジマジと城の中を見ていた彼女を見て思わず話しかけてしまった。

彼女は綺麗な目をこちらに向けて「え?」というような顔をしている。いや、「へ?」みたいな感じのことを言っていた。


「いや、とても目を輝かせていたものだから」

誤解のないように伝える。


「えぇ、とても綺麗ですわ」


彼女はそう言ってニコッと笑う。あんな風にしていたのだからお世辞ではないのだろう。

まぁ、来た時の青い顔に比べれば顔色も良くなっている。たぶん、兄が風邪を引いたのは自分のせいだとか思っているんだろう。兄が風邪を引いたのは彼女のせい…というよりも仕事を兄に任せすぎてしまった俺のせいだと思うがな。兄に言っても「僕の体調管理が疎かだったからしょうがない」って言いそうだけどな。


「そうか……兄は君のせいで熱が出たんじゃないと思うぞ」


「え…」という反応を見る限りそう思ってたんだと思う。とりあえず、兄と会う時はのんびり過ごしてほしい。貴方は兄の安らぎなのだから。



彼女を兄の部屋に送ってから俺は仕事に戻った。今回の仕事は……俺の婚約者決めだそうだ…。ここ数日は毎日のように婚約者候補とのお茶会だ。そろそろ疲れてくる。兄が無理なら弟にと、兄に好意をみせていた者達の、かわりみが早い。俺は理解が追いつけないぞ。


今日の相手も兄に酷く好意を持っていた方だ。はぁ、気が重い。


今回の相手名前は、ロゼッタ・ロイリクスだ。

美人といえば美人。頭も良いらしい。

とても良い方だと思うが…「ルビー様は何を?」「ルビー様は…」と兄のことしか聞かれない。あぁ、分かった。俺と婚約者になろうということと同時に隙あらば兄に近づこうってことか。


そこから、笑顔は崩さずに無事お茶会は終わった。


「今回の方はいかがでしたか?」と執事のムーランに聞かれたが「良い方でしたが、ないですね」と笑顔で答えておいた。このごろ笑顔を作るのも上手になってきたと思う。毎日鏡の前で練習したかいがあった。


そうしてふと…兄たちのことを思い出した。兄はリラックスできただろうか。できたのだろうな…と思った瞬間「いいな」と思ってしまっ「グフッッ」


と何かに突進されてしまった。敵襲かと一瞬思ったが、違った。


「す、すみません!お怪我は??!」


…と顔が赤いダリアだった。

少し後ろから彼女の侍女が息を切らしながら歩いてきた。凄い形相だ。ジョイアと同じ顔をしているから、きっと彼女は家に帰ったら怒られるな。


「…令嬢なのに走ったのか」


「ひぇ、すみません。お怪我は?」


先程、赤い顔をしていたのに今は青い顔をしている。


「いや、全然大丈夫。それより貴方は?」


「私は全然!ありません!」


おきづかいありがとうございますと、頭をブンブン振っている彼女は令嬢なのか?会う度に彼女が変わっているということを知ってしまう。兄はこんな所に惹かれたのだろうとなんとなく納得をしてしまう。


「帰るのか?」


「えぇ、そろそろと思いまして」


「ならば送ろう」


「えぇ!?…ありがとうございます」


少しだけ。ほんの少しだけ彼女と話したくなった。


「今日はサファイア様は何を?」


「?今日か?」


「えぇ、お仕事をされていたのですか?」


「あぁ、今日は仕事をしていた」


仕事と言っても婚約者選びだが。きちんとした仕事だ。女性のお相手はやはり不慣れだ。


「大変でしたね」


「あぁ、大変だったな…だけど」


「?」


「君に突進をされたお陰で仕事の疲れが吹き飛んだ。ありがとう」


「いえ!あれは危なかったです。以後気をつけます。」


「あぁ、そうしてくれ…クッ」


ダメだ。笑いが込み上げてくる。


「ハハハ君は本当に面白いな」


久しぶりに笑った。彼女は困惑をしているが、笑わずにはいられない。


「?ありがとうございます…?」


「あぁ、どういたしまして」


笑うのも落ち着いてその後色々と彼女と話していたら、あっという間に着いてしまったらしい。


「では、失礼します」

と彼女は淑女の礼をして、馬車に乗って行った。


――馬車を見送りながらもう少し話をしたかったという気持ちは持ってはいけないだろうか。いけないのだろう。兄の婚約者なのだから。


それに今日、話してみて思ったが、彼女はダリーに似てるな…なんだかダリーに会いたくなった。


会えるだろうか?まぁ行けばいつかは会えるか。


と、楽しみを見つけたサファイアはまた明日も婚約者選びを頑張るのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ