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20.あぁ、なんてこと…。


私は今、馬車に揺られある場所に向かっている。


ある場所とは…お城だ…。

私の一応の婚約者殿が熱を出してしまったらしい。

私の家に来る前にかなり無理をしていたと聞いたし、少し機嫌が悪いように見えたのは熱が出る前でキツかったのだろう…。



「あぁ、きっと私のせいで熱が出てしまったのだわ」

きっと私がストレスになってしまったのよ、だから寝込んじゃったのよ。


なんてこと…私がストレスだったら無理に会いに来なくてもいいのに…!私は会わなくても全然大丈夫なのに…!


ん?んんんん?あれ?私がストレスなら会いに行かない方が良くない?

私心配すぎて慌てて馬車に乗っちゃったけどストレスの原因が会いに行ったらもっと具合悪くなるんじゃない?!



「アルナ…私お城に行ってはいけないような気がする」


隣にいるアルナに言うと


「そうですね。ルビー様もお疲れのところ行くというのはとてもですがルビー様もお嬢様に気を使われたりしてもっと疲れてしまうかもしれませんね」


「う、そうですよね…ね、帰りましょう。まだ日を改めて…」


「それは無理です。もうお城の方には手紙を出してしまったので」


「え!?」


流石アルナお仕事が早いわね…!!


「キャンセルを……」


「無理です。『待ってる』とのことでしたので」


「そ、そうなの」


うぅ、行かなきゃだわ。それにせっかくの果物もあるのだし少しだけ、少しだけ顔を見たら帰りましょう。


「よし!頑張りましょう!」


「お嬢様…何を頑張るんですか?」


「色々よ!いろいろ!」



また、アルナにため息をつかれてしまったから、とりあえず「ため息ついたら幸せが逃げるわよ」って教えといてあげた。私ってば偉いわ!


城に着き。さぁ、行きましょうと意気込もうとしたら…ルビーの弟サファイアが来た。


「サファイア様、お久しぶりです」


と完璧な淑女の挨拶をした。私って、できる女ね!


「あぁ、久しぶり」

と、素っ気なく挨拶をされ、サファイアは私に背を向けて歩いていったのだが、途中振り返りまた私のところに近づいてきた。


「すまない、言葉足らずだった。兄のところに案内する」


「え…?あ、ありがとうございます」


そう言い私はサファイアのあとを着いて行った。


城はやはり広く。とても綺麗にされていた。


城を内部をまじまじに見回していると

「そんなに珍しいか?」


「へ?」


「いや、とても目を輝かせていたものだから」


「えぇ、とても綺麗ですわ」


「そうか……兄は君のせいで熱が出たんじゃないと思うぞ」


「え…」


「着いた。ここが、兄の部屋だ」


「あ、ありがとうございます」


いや、じゃあ仕事に戻るとサファイアは行ってしまった。

私のせいで熱が出たんじゃないのね…良かった。とりあえず扉の前にいる使用人の方に言い部屋に通してもらった。ルビーの部屋は私の部屋よりも広く。私は口が閉まらなくなってしまった。流石…王子様…!!広いわ!


部屋のベッドのところに近寄るとルビーが天使のように寝ていた。本当、天使のように。

寝ているのね…どうしましょう。どうすることもできないので、近くにある椅子に腰掛けさせてもらった。


それにしても、辛そうね。熱もまだ下がらないみたいだし…。額にあったタオルを取り水に浸して絞って置こうとした時…




ルビーが「…リ……ア」と寝言を呟いた。

私は、らビックリし冷タオルを落としてしまった。今…なんて………?今…ルビーは……なんて言ったの?アリフィアって……言った…?な、なんで……いや、きっと聞き間違いだ。聞き間違いであって欲しい…。だってまだじゃない。まだ出会ってないはずだもの…。まだ、ヒロインの出るところじゃないもの…!



「ダリア?大丈夫ですか?」


私が混乱をし頭を抱えていたら、いつの間にかルビーが起きていたらしい。床に落としてしまった冷タオルを拾い。新しいタオルをルビーに渡して椅子に腰掛けた。


「ルビー様…私は大丈夫ですわ。それよりルビー様の方がお加減は大丈夫ですか?」


「だいぶ良くなりました。僕もまだまだですね、心配かけました」


「いえ、心配するのは婚約者として当然です」


「ありがとう」


ニコッと笑うと倍の笑顔が返ってきた。

うわぁ!可愛い!!


「あのダリア?突然なんですけど聞いていいですか?」


「?はい、なんでしょう?」


「僕のことは愛称で呼んでくれませんか?」


「へぇ?愛称ですか?」


愛称でなんてなんて呼べば…前世ではなかったから分からないわよ!!


「つけてくださっても構いません」


えええぇ愛称…ルビーだからルビーだから……


「ルイはどうでしょうか?」


「ルイ…いいね、ありがとう嬉しいよ」


あぁ、良かった!気に入ってくれたみたいだ…!良かった良かった…!



「私のことはなんとお呼びになって構いません」


「周りからはなんて呼ばれてるの?」


「周りからは…ダリアやダリーと呼ばれてます」


「ふふっそうなんだね、うーん僕と似たような感じでリーアはどうかな」


「えぇ!可愛いですね!」


「うん、可愛いね」



「?えぇ、ありがとうございます」


「どういたしまして」



ルビー…じゃなかったルイは私の言ったことがおかしかったのかずっと笑っている。私の頭は?マークばかりだ。


「ねぇリーア?もう一個、聞いてもいい?」


「えぇ?どうぞ」


「初めて会った時は何故、あれほど好意を寄せてくれたのに今はそうでもないのでしょうか?」


「あの時…」


私がルイに猛アタックした時か。

ドタイプだったからの理由…本当のこと言っても引かれないだろうか?


「本当のこと言って?」


ルイは真剣な表情で私に言ってきた。


「引かないでくださいね?」


「大丈夫、引かないよ」



そう言って優しく笑ってくれる。

その笑顔が前世の私は大好きだった。私に向けて欲しかった笑顔が目の前にある。不思議な気持ちだけれど、今だけよと自分に言い聞かせた。学園が始まれば、ヒロインに向けられるのことはわかってるから。

あぁ、嫌だわ。嫌だと思ってしまう…。この笑顔がまた、ヒロインに向けられるなんて今は、私に向けているけれど…それがいつまで続くかは分からない。


この笑顔をずっと見ていたいけど、きっと私は前みたいに戻っちゃうからそれだけは本当に嫌だから…今だけを楽しみましょう。それに初恋は叶わないっていうものね。



「リーア?」


心配そうに顔を伺ってくる。いつでも優しいわね、ルイは…。


「あの時は…そう。絵本の王子様が目の前にいるって思ったんです。それに、ルイは王子様でしたし…私、勘違いしてたんです。私がお姫様だって…勘違いをしていたから、あの時は好意を寄せていたのです。」


「でも、気づいたんです。私って絵本のような女の子じゃなかったし、ルイだって…王子様だけど絵本の中の王子様じゃないって」


「だからですかね…絵本の王子様と重ねるなんてルイに失礼だと思いましたし何より私のような厚かましい者が近くにいても、ルイの負担かと」


思いましたと言おうとルイを見たらルイは下を向いていた。


「だ、大丈夫ですか!?」


「大丈夫じゃないけど大丈夫」


「そうですよね、熱が出てますもんね」


「そうだね、熱も出てた」


私には分からなかった。なんで笑われてるのかしら?ルイはとても良い笑顔で笑っている。


「本当にリーアは面白いね」


「失礼します。お嬢様、そろそろ」


「あぁ、そうね」


アルナに言われてあっという間に時間が過ぎていた。ずっといるのも疲れちゃうだろうし、ここは帰ろう。



「私そろそろ、帰ります。ゆっくり休んでください……あの、話せて良かったです」


「いえいえ、こちらこそ。また伺います」


「ありがとうございます…あ!えーっと無理しないでいいですからね」



「無理…?無理してないよ、僕が行きたいから行っているんだよ?」


「そうなのですか?」


「そうだよ。楽しんだ、リーアと過ごすの」


「そうですか、ならいいんです。では帰りますね」



「見送りできなくて寂しいけど、すぐまた会いに行くからね」


「わ、分かりました」


失礼します。と言って扉を閉めた。なんであんな恥ずかしいこと言えるのかしら〜〜!!!

顔が熱いわ。あぁ、思い出しちゃうわ。あの笑顔…!


私はアルナに小言を言われながらも速歩でその場を去った。


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