14.僕たちは街に出掛ける①
今日は確かめなければいけないことがあり。
少し前から裏の壁に子ども1人、入れそうな壁の隙間の前で、ある者が来るのを待っている。後で、この壁の穴を塞いでもらうように言わなけば…。
はぁ、何故。誰、一人連れていかないで行こうとするのだろうか。一応、剣術や護身術は習ってはいるが…王子なのだから…何かあっては遅いのに。
走って壁に向かっている変装した弟にため息をつく。
「サファイヤ?こんな壁に何の用だ?」
「!!少しばかり出かけようと思って…」
「ふーん、何故?」
先日、城でのお茶会が終わってから、サファイヤはお忍びで城を出ることが多くなった。
少しばかりは、いいか。と思ったが雨が降っても行こうとするので、おかしいと思った。
そこまで外に出る理由はないだろう。
「友人に会いに行く」
「そんな毎日行かなくてもいいんじゃないか」
「会えていないんだ」
「?会えていない?」
会えていない…?会えていないとは、どうゆうことなのか…友人だと思われていなかった?とか?嫌われてしまったとか?
まぁ、本人には聞けないな。初めての友人なのだから、嫌われているのか?って聞いたら傷ついてしまう。
「会う約束をしていないから会える確率が低いんだ」
あぁ、良かった。約束をしていないんだったら会えていないのもわかる。
「どうしても会いたいのか?」
「あぁ、会いたい」
「はぁ、わかった」
真剣な目で見られてしまえば、しょうがない。弟は僕と同じくらい頑固だ。言っても聞いてくれないだろう。だから。
「ただし、僕も行く」
「はぁ!?」
弟は驚いた顔をしている。普段が無表情だから、こんな表情は新鮮だ。それに僕だって、気分転換したいところだし、サファイヤの友人も気になる…。サファイヤに…すごい格好に着替えさせられて……僕たちは街に行く。
王族とバレない馬車に乗り、街に行く道中に、気になったことを聞いてみる。
「お前の会いたい人とは、いつ会ったんだ?」
サファイヤは、少し難しい顔をして、少し困ったような笑うような顔をしながら話し始めた。
「俺と出会ったのは、俺が城を初めて抜け出した日だ。街を興味津々に歩いていたら、後ろから、泣く声が聞こえて訳を聞くと、はしゃぎすぎて姉とはぐれたらしく、大泣きしてた。その子を泣き止ませるため、色々な話したりしていたら、いつの間に俺の友人になっていたんだ。泣き止ませるためにかなりの時間がかかってしまったが、笑顔の可愛い友人だよ」
「ふーん、笑顔の可愛いか…その子は男の子か?女の子なのか?」
「女の子だ。地味な見た目だけど、とても整っている顔立ちだと思う」
「そうか」
街に行くと、それは人で賑わっていた。
普段なら、道を開けてくれるからスムーズに通りやすいが。今は、王子ではなく、ただの子どもだ。気づかれないものだな。いつも見られていることが当たり前すぎて、見られないことが不思議だ。
サファイヤは、人を掻き分けながら、僕の前をずんずん歩いていく。慣れているもんだなと、感心してしまう。
少ししたら、サファイヤが休憩をしようとパン屋に入った。パン屋に入るのは初めてで、たくさんのパンが並んでいて、サファイヤがオススメのものを選んで買ってくれた。
「今日はサファイヤが兄みたいだな」
「?兄はルビーだが?」
天然だな〜
「ルビーじゃなくてリュビと呼んでくれ」
「あぁ、すまない。忘れてた。俺はここでは、サファとなっている」
「わかった」
「じゃ、行こう」
と言って弟は、お気に入りの場所に連れて行ってくれた。
そこは街が見える時計台の所だった。
とても綺麗な花壇と街を見ながら食べるパンは美味しかった。
「来ないな、お前の友人」
「あぁ、しょうがない」
「…いつも1人で待ってたのか?」
「1人で待ってたり街の人と話したり、楽しいぞ」
「そうか」
…なんか、心配してたより意外と楽しんでるんだな。
「サファ、実は…」
と言い終わる前にこちらに、猛スピードで走ってくる少女がいた。
少女はまるで飼い主を見つけた犬みたいに、嬉しそうに走ってきた。
その後ろの姉と兄だろうか…姉の方は呆れた顔をしながら、近くの長椅子に座った。
この少女が友人か。
「サファ!お久しぶり!」
彼女が嬉しそうにサファに話しかけた。
…どこかで聞いた事のある声だ……。
「あぁ、久しぶりだな、ダリー」
この少女は、ダリーというらしい。
知り合いがダリアと言う令嬢と似すぎていることに、違和感を感じたが、それより、この子の格好はとてもダサい。そして、サファイヤとは関わりなさそうな見た目。
俺は思わず。
「…お前…こんな子に会っていたのか?」
とダリーという少女に大変失礼なことを言ってしまった…。




