四着目「旧スク、新スク、白スクの集い」
ツェツィーリアーノ・フォン・ブラウンシュタイン=ベルヴォルグ
誕生日 6月10日 11才 小学5年生
身長 140cm 体重 38kg
ブロンド髪,瑠璃色目,褐色,白スク水のたぶんドイツ人。
スク水は白色スクール水着
能力:科学に関することなら大抵のことができる能力。
つまり万能。出来ることが多すぎて本人も全ては把握しきれていない模様。
「皆、準備はいいわね?」
「リア準備おっけい」
「私もできたよ」
「それじゃあしゅっぱーつ!」
本日は土曜日。時刻は朝の8時半。
三人はバスに乗り、一番後ろの席に並んで座る。
今日は日帰りで山まで特訓、もとい遊びに行くのだ。
あれから、三人でいることは増え、放課後、休日共によく遊んだ。
それはスク水幼女としてもあるが、なにより、友達としてだ。
「いい?今日は修行だからね!透子に強くなって貰わないとね!」
「もちろん強くなるよ。強くなって真美さんにリベンジしなきゃだし」
「リアもトーコをサポートする」
未だに真美さんのテストは受けていない。
真美さんが最近忙しいみたいで、もうしばらく待ってねと言われたからだ。
だからそれまで、透子は自分の能力を把握し、力を付けるため日々特訓をしていた。
主にリアのバーチャル空間でだが、今回は休みを使い、現実世界で行うこととした。
その場所として選んだのが、山。そして川。
スク水が映える場所及び、あまり人目につかない所を探した結果、ここになった。
「私、友達とこんな感じででかけるなんて初めて」
「透子。ちゃんとスク水は着てきた?」
「着てきたよ。ようやく毎日着るのに慣れてきたところだよ。まあリアの助けもあるけれど」
「ううん。トーコのためなら」
透子はリアの能力により、スク水を複製して貰った。
もちろん複製と言っても能力まではできない。
だから能力付きのスク水を手元に置き、複製した方をお母さんに返した。
これで怪しまれずにスク水を毎日着ることができるのである。
「それならいいわ。着いたら早速修行しましょう!」
「さっちん。修行って言いたいだけだよね?」
「う、うるさいわね!」
バスに揺られ30分ほど、街から少し外れた山の麓に着いた。
ここからは歩きで少し山を登る。ルートはリアが作成済だ。
「この辺りなら人の気配もない。穴場」
「ここをキャンプ地とするわ!」
「キャンプじゃないけどね」
レジャーシートを敷き、荷物を置く。
着てきた服を脱ぎ捨て、三人は川へ入っていく。
「うっひゃあー冷たいー!」
「暑さも吹っ飛ぶよ。あっ、魚発見!」
「リアに任せて」
気分の赴くままに、遊び倒す三人。
こうしてみれば年相応の可愛らしい子どもであることが分かる。
スク水幼女でなければこの平穏な日常が続くのであろう。
「魚、捕まえた」
「すごい跳ねてる!食べられるかしら?」
「さっちん、やめておいた方が良いと思うよ」
「でもこの川すごく綺麗よ!」
「トーコがそういうなら逃がす」
「ああ、私の魚が……」
「別にさっちんのじゃないからね!」
また別なところでは。
「リア何しているの?」
「虫。発見」
「虫!むしはやめてええ」
「あれ、さっちん虫苦手なの?」
「虫はムリなの……。もう見た目だけでも、変にぞくぞくしちゃうから……」
「さっちんは虫が苦手」
「ちょっとリア?その虫逃がしてきなさいよ。なんで手に持ったままこっちを見るの」
「さっちんは虫が苦手」
「苦手って言ってるじゃない!って、ちょっと、やめてええええええ」
「虫が苦手」
「あびゃあああああああああああああ」
「さっちん。取りあえずいんびじぶるしたら?」
「いんびじぶるううううううう」
「虫、むし」
「でもやっぱりムリ――!!!にげりゅううううう!!!」
疲れるまで「遊んだ」ことで三人はお腹が空いてきた。
透子が三人分のお弁当を作って来たのでそれを披露する。
早起きして作ったお弁当は重箱に包まれ、蓋をあける前から良い匂いで涎が垂れそうである。
「なにこれすっごい!透子、料理上手なのね!」
「お母さんに少し手伝って貰ったけど、頑張ったんだ」
「リア、感動」
「いっぱいあるから、食べてたべて。お茶も注ぐね」
「このから揚げ最高に美味しいじゃない!」
「トーコ、良いお嫁さんになる」
「お嫁さんだなんて、そんなぁ」
透子のお弁当に舌鼓を打ち、昼食を楽しむ。お弁当に満足した三人はシートの上に寝転がった。
地面の上に敷いているため、けして寝心地は良くないが居心地は最高だった。
不意にさっちんが透子に話しかける。
「ねえ、透子」
「どうしたのさっちん?」
「ありがとね」
「私も。トーコありがとう」
「どうしたの?二人とも」
急にありがとうなんて言われたものだから透子はどぎまぎしている。
むしろ透子の方が自分の成長のためにここまで付き合ってくれている二人に感謝をしているのだから。
さっちんが続けて話す。
「透子がスク水幼女にならなかったら、こうやって三人で集まることなんてなかったわ」
「そう、かなあ」
「そう。リアもこの学校に来ることもなかった」
「だからありがとう。この三人を紡いでくれて」
「ありがとう」
「もー。二人ともー。急に真面目な話するんだからー」
蝉時雨が鳴り響き、岩に染み込む。
木々の間より微かに見える青空を仰ぐ。
太陽が漸く西に傾こうかとしている時分。
透子は飛び起き、勢いの良い声を発した。
「よーし!頑張れ私!」
「何よ、頑張れって」
「自分へのエールだよ!ほら二人とも行くよ!」
さっちんとリアの手を取り、先へ引いていく。
応援してくれている二人の友人のためにも、もっともっと頑張らなくちゃと言う気持ちだ。
「それじゃあ修行を始めよう!」
「透子が急にやる気になったわね」
「リアのバーチャル空間でやったことを復習」
「よし!復習だね!」
透子は自分の全神経をスク水に集中させる。
二人から習ったことの一つ。自分の力を知ること。
「私の能力は身体強化。まずは感覚を研ぎ澄ます」
研ぎ澄ますにつれて、透子の周りの空間が少し変化している。
透子を中心に空気が揺れているようだ。
「力を内に抑えて……」
研ぎ澄ました感覚に力を加える。
身体の内に力を集め……
「解き放つ!!」
その力は衝撃波となり、周囲にあった物を吹き飛ばした。
木々は揺れ、石は飛び、蝉時雨も止んだ。
さっちんはいんびじぶるにより回避。
リアはシートによる防御壁を展開。
「やったできた!」
「流石トーコ」
「上手くできたじゃない。力も上手く抑えたみたいだし。この分だと戦闘も大丈夫そうね」
「さっちんが戦闘について語るのは、リア、おかしいと思う」
「なによー!私が戦えないって言うの!?」
「あはは、まあさっちんは浮いてれば良いと思うよ」
「透子までー!」
普段の練習もあってか、透子は自分の能力のできること、できないことを徐々に掴んできた。
後はそれを上手く戦闘に活かすことが当面の目標となっている。
「それじゃあリアがトーコの相手する」
「よろしく!リア!」
「私はいつも通り観戦してますよーだ」
「能力をコントロールする。周りの物を破壊するのはNG」
「わかった!」
「始める」
開始と同時にリアはシートにより武装を取り出した。
アーマースク水幼女。そういうのもあるのか。
後部武装よりジェットを飛ばし、透子に急接近する。そのまま突っ込む。
「ジェットタックル」
「ふんっと!」
透子は避けるでもなく、リアを真正面から受け止める。
衝突により砂埃が舞い上がる。
視界が明るくなると、二人が押しつ押されつの組合をしているのが見えた。
しかしめいっぱい出力を上げているリアに対して透子はまだ余裕がありそうだった。
「力比べなら負けないよ」
「まだ」
リアはより出力を上げ、透子を押し倒そうとする。
後部ジェットがバチバチと火花を上げている。
しかしそれでも透子を押し倒すことができない。
「リア、やはりパワーじゃ勝てない」
「ごめんね、リア!」
そのままリアは投げ飛ばされ、全身を強く打った。もちろん受け身はしている。
すぐさま体勢を立て直し、もう一度透子に突っ込む。次はスピードで攪乱させる。
「スピードなら?」
素早い動きで、各所から攻撃を仕掛ける。
残像、まではいかないモノの普通のスク水幼女なら見切るのは難しいだろう。
が、全て見切られている。格闘においては透子はリアに勝っているとしか言いようがない。
攻撃のすべてを寸でのところでよける。わざとギリギリを狙ってよけているようにも見える。
「ぬぬぬ……」
苦虫を押しつぶしたような顔で一歩後退するリア。
何やら言いたそうな顔をしている。
「ねえトーコ」
「どうしたのリア?」
「爆弾使っていい?」
「ダメでしょ!?」
あまりの不甲斐なさに、リアが少し拗ねてしまった。
だが、そこはあくまで冗談のようである。
「それなら」
リアはシートよりロリアを取り出した。
3体。
「みんなリアだ。これで4対1」
「なるほどね。それなら透子でも流石に」
リアはロリアと共に透子に突っ込む。
無論だが連携は完璧だ。的確に透子の隙を狙い、タイミングを計り、攻撃を仕掛ける。
四方から同時のタイミングで、もしくは少しずらして反撃がしにくいところを狙う。
リアの攻撃は最適だったのかもしれない。
なんども言うが普通のスク水幼女ならまず防げない。
が、届かない。
「リアが四方から攻撃してるのに、透子、全部捌いてる……」
透子の動きはしなやかであり、豪快でもあった。
リアの一手一手を避け、往なし、防いでいた。
そして先の一手まで読んで行動をしていたのでスキというスキがない。
この短期間で能力を自分のモノとし、使いこなしている。
スク水幼女として生まれるべくして生まれたと言ってもいいかもしれない。
そんな天性の才能を持った透子はロリアを投げ飛ばし、リアのバランスを崩させた。
気が付いたころにはロリアもリアも飛ばされ、戦闘は終了していた。
「さすがに4対1だと少し大変だったかな」
「私には全然大変そうに見えなかったんだけどね……」
飛ばされて少しボロボロになったリアが戻って来る。
「ごめん、トーコ。力になれなくて……」
「そんなことないよ!すっごく助かったよ!」
「本当?」
「ほんとほんと!ありがとうね」
「うん」
「でもこのままじゃ、透子のもう一歩踏み込んだ練習が」
「ううん、本当に二人ともありがとう。すっごく助かってるよ」
透子の言葉は心からのものだった。
二人が自分のためにここまで考えて、行動してくれている。
それだけで、胸がいっぱいになっていた。
後のことは自分の問題であり、自分で解決しなければならない。そう考えていた。
透子は気を抜き、ふとスマホを見るとメッセージが来ている。
「あれ、真美さんからメールが来てる」
「へ?どんな内容なの?」
「一段落着いたから、今度テストしようだって!」
「丁度いいじゃない!これでこの問題は解決ね!」
真美とテストができれば、それだけでも収穫は大きいだろう。
今こそ練習の成果を真美に見せるときでもある。
「月曜日の放課後にどうですかだって」
「それじゃあ明日も修行する?」
「二人とも良いの?」
「リアはトーコをサポートする」
「私も良いに決まってるわよ」
「ありがとう、二人とも」
こうして明後日の月曜日に備えて、修行を続ける三人なのであった。
もちろん帰りのバスでは疲れ切って寝てしまった。
肩を寄せ合い、眠りにつく三人の幼女は、どこか煌めきを感じた。
白スクはスク水に含めるなという意見が多いですが、褐色には白スクだと思います。
次回!五着目!
「学校への来訪スク水幼女」