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二着目「デジタルなスク水っていうのも良いですよね」

一 透子 (にのまえ とおこ)

誕生日 10月10日 10才 小学5年生

身長 133cm 体重 30kg

勉強よりも体を動かすことが好きな天真爛漫な幼女。


スク水は旧型スクール水着

身体強化と言えば単純だが、拳を放つと衝撃波が出るほど。

五感、第六感までもが大幅に強化される。

「ただいまー」

「あら、透子、遅かったわね。お友だちと遊んでたの?」

「えー、うん、そんなところ」


あの後、透子は1人更衣室で着替え、1人帰り道をとぼとぼ歩いた。

あんなに悲しい帰り道はこれまでもこれからもないだろうと思えるくらいだった。

スク水を洗濯カゴの中へ放り込み、ランドセルを持って自分の部屋へ向かった。

机にランドセルを置くと、すぐさまベッドにダイブし、今日の出来事を振り返った。


授業中にスゴい力を発揮したかと思えば下駄箱に果たし状が入っていた。

プールへ向かうと遠山さんが待っていてスク水幼女について教えてくれたかと思うと、遠山さんは宙を浮き、戦ってくれないとヤダと駄々をこね、泣きじゃくる。

仕方ないから戦ってはみたけれど、遠山さんが弱すぎて戦いにすらならなかった。

勝ったかと思えば、急にスク水渡しと言い、スク水を脱ごうとする。

それを止めようとすると、自分の能力を思いだし引き分けだと言い帰っていった。


「なんだこれ…やっぱりダメだ、ぜんっぜん意味わかんない」


今日一日変な夢でも見てたんだきっと。

そう思いたくても今日起こった感覚は身体から消えてはくれない。


「ごはんまで寝てようかな…」


透子は少しだけ眠ることにした。

眠れば少しは落ち着くだろう。


「透子ー!ごはんよー!」

「はぁーい。いまいくー」


どれくらい寝ていただろうか。

少し寝ぼけてはいるが、身体はすっきりしている気がする。

階段を降り、リビングへ行き、ご飯を皆で食べ、透子はお風呂へ向かった。


「今日は疲れたからお気に入りの入浴剤を入れよう。」


棚から透子専用の高い入浴剤を取りだし、服を脱ぎ、浴室の扉を開ける…


と、スク水幼女が湯船に使っていた。


透子のネジというか、ストッパーというか、透子をとおこで留めてくれているものが少し外れた気がする。

透子は悟り、掛け湯をし、そのスク水幼女と共に湯船に浸かった。


小麦色の肌にブロンド色の髪。お人形さんみたいとはよく言ったものだがまさにそれらしかった。

瑠璃色のくりっとした瞳がこちらを見つめている。

白スク水に身を包んだ彼女はこの場でなければ見とれてしまうほど可愛らしかった。

もう一度言うがこの場でなければ。


ひとまず彼女が何者なのかをはっきりさせる。

日本語通じるか、少し不安である。


「えっと、それじゃあまず、名前を教えてくれるかな?」

「ツェツィーリアーノ・フォン・ブラウンシュタイン=ベルヴォルグ」


今日はダメだ。何もかもがついてない。

湯気が天井からぽたりと背中に落ちるのを感じる。


「つぇ……つぃーり、あーの?」

「ツェツィーリアーノ・フォン・ブラウンシュタイン=ベルヴォルグ。気軽にツェツィーリアーノ・フォン・ブラウンシュタイン=ベルヴォルグと呼んでくれてもいい」

「呼べるかぁーーっ!!」


透子は我慢が出来ず、つい叫んでしまった。

外の家族に聞こえていないか心配である。

そんな心配を余所に彼女は透子に話しかける。


「皆からはツェツィーリアーノ・フォン・ブラウンシュタイン=ベルヴォルグって呼ばれてる」

「嘘つけーーーっ!!!」


また叫んでしまった。


「冗談はおいといて、本題を話す」

「あっ、はい、もうなんでもいいです」

「先の戦闘はよかった。スク水幼女として初のバトルで勝利したのは流石旧スク。おめでとう」

「おめでとうって、私何もしていなんだけれど。それにあれは引き分けで、というか見てたんだ……」

「いやいや。あれはあなたの勝利で良い。それは他のスク水幼女も認めている」

「他のって、え、私色んな人から見られてたの?!」

「もち」

「あああ、なんてこったあ……」


透子は顔を湯船に浸けぶくぶくする。

彼女はそれに構わず話を続ける。


「私のことはリアって呼んで」

「また名前のくだりに戻るんだ……」

「それで私は思ったの。一般人が目に触れるところであんなにぶっとんだ技を使い、スク水幼女を一人倒した。これは少し厄介なこと」

「ああ、また話戻るのね。それで厄介って?」

「まず一つ目。普通のスク水幼女は一般人を巻き込まないという暗黙のルールがある。あなたはそれを破った」

「ルールって、そんなの私知らないよ!分かるわけないじゃん!」


いきなり自分が悪い、みたいな言われ方に透子は少々怒りを感じてしまった。

だが、すぐに冷静さを取り戻し、彼女の話に耳を傾けた。


「まあそれについては私の能力でいくつか改竄をしておいたからオールオッケイ」

「改竄って?」

「あなたのお友達の認識をちょちょいのちょいっとすることで、あのぶっとんだ技がなんでもないようなことのように思わせた」

「認識をって、そんなことができるの?!」

「私の能力はまだ秘密。それにそうしなければ今頃あなたは大変なことになっていた」

「それは、あり……がとう」


友だちの認識を改竄と聞き、またもや怒りに身を任せそうになったが、自分のためにしてくれたものと思うと、礼を言うほかなかった。

確かにあのままだと下手すると警察行きでもおかしくはない。


「はい二つ目。あなたのスク水がレアだということ。いまどき旧スクなんてそうそうない。欲しがる人は多い」

「話の流れが早いよぉ。遠山さんも言ってたけどレア度ってなんなの?」

「スク水の歴史を調べれば分かる。今回は割愛」

「ええ、教えてくれないんだ……」

「そして最後、三つ目」

「最後?」

「それは」

「それは?」

「それは、私の侵入を許してしまったこと」


リアが私の肩に手を置くと、意識が遠のいて、目の前が、真っ暗に、なtt……



~ ??? ~


気がつくとそこは白だった。

あっちを見ても白、こっちを見ても白。

永遠と続く白の中に透子はいた。

明るいのに不安になるのは初めてだった。


「どこなの、ここ」

「ここはリアの場所」


振り返るとそこにはリアがいた。

リアの周りには青白い光が線を引いていた。

いうなら青白い線がパソコンの画面みたいになっていた。

沢山のそれを操作している。


「もう少しで準備終わる。待ってて」

「それは?」

「これはリアの能力のメイン。『シート』って呼んでる」

「シート。じゃあ準備って?」

「もち、スク水幼女バトル」

「リアとバトルするの?!」

「大丈夫、戦うのはリアじゃない。それにこれはあくまで模擬戦。ん、準備できた」


そう言い残し、突如リアは消えた。

かと思えば白だった空間が変容し、通っている学校になった。

いま透子が立っているところは運動場になった。


「バトルってそんな急な。それに今度は遠山さんの時みたいにいかないよね……」

「練習みたいなものだからたぶん大丈夫」


また振り返るとまたそこにはリアがいた。

いや、リアのようで少しだけ違って見えた。

すると、どこからともなくリアの声が聞こえてくる。


「この子は私のロボット。ロボットのリアだから、ロリア。大丈夫。出力は抑えてあるから」

「リアのロボットと、戦うの?」


先より淡々と話していたリアの口調が変わる。

自分の好きなモノの話になると異様に興奮する子どものように。


「リアは、あなたの戦闘データが欲しい。今まで何人ものスク水幼女のデータを取って来たけれど、あなたみたいな子はほぼ初めて。初覚醒であそこまでの力を出し、それにスク水による拒絶反応も見られない。ここまでスク水と相性の良い子なんてそうそういない。だからあなたがもっと知りたい。攻撃する時はどうするの。守る時はどうするの。倒れるときはどんな感じなの。それに痛い時はどんな感じなの。知りたい見たい分析したい。それがリアの望み」


その代わり様に透子は身震いこそしなかったものの、言いようのない気持ちに囚われた。

透子はただただ彼女の言葉を耳に通すしかなかった。


「それに、旧スクのデータも取っておきたい貴重なデータほど価値は高い」


彼女の話が、話し口が少し落ち着いたところで漸く透子は口を挿めた。


「私は、あなたのそんなことに付き合ってあげるほど暇じゃないの!」

「そんな、こと?」


またリアの雰囲気が変わった。しかし今度はさっきとはまた違う、異様なほどにまで。


「そんなこと。そんなこと……」

「ねえ、聞いてるの?」

「リアの大事なことをそんなこと……」

「ねえってば!」

「……」


ロリアが手を前にかざし、空間を撫でた。

撫でた空間は変質し、そこから丸い何かが出てきた。

その丸い何かが透子を目掛けて飛んでくるのを避けると後方で爆発音が聞こえる。

ここで初めてあれが爆弾だということに透子は気が付いた。


「ちょっと!?本気なの?!あんなのに当たったら死んじゃうよ!?」

「本気」


一発、もう一発、正確な方向、角度、で私に向かって飛んでくる。

勝手が分からない透子は避けるしかない。

不器用に、一歩踏み出し、避ける。また不器用に、一歩踏み出し、避ける。

身体は自分が思っている以上に動ける。身体強化のスク水は伊達ではなさそう。

しかしこのままではジリ貧なことは分かっている。

けれども、生まれてこのかた、暴力なんてふるったことがない透子にはどうしようもない。


「あなた、避けることしかできないの?」

「くっ」


寸でのところで避けるのを繰り返す。

スク水のお蔭で反射神経も格段に上がっている。

このまま避け続けることもできそうでもある。

しかし、それをロリアが許さない。


「それなら仕方ない」


ロリアが撫でた空間がオレンジ色に光った。

出てきたのはさっきと同じ丸い爆弾。でもたぶん何かが違う。


「これならどう?」


放たれた爆弾を避ける。が、後ろから爆発音が聞こえない。

振り返ると避けたはずの爆弾が軌道を変え、こっちに向かっている。


「ホーミング弾。単純で強い」

「聞いてないんですけどっ!」


これからは避けるというより逃げるに等しかった。

みっともなく走って逃げるしか透子には方法がなかった。

瞬発力も上がり、簡単に捕まることはなさそうだが、さっきより厳しいことは確かだ。


「もう、やるしかないのかな……」


透子の意識が少し変わり始めた。

今日初めてスク水幼女として覚醒し、何も分からぬままに今までの日常とはかけ離れたことになっている。

人と競争することは好きだが、こんな直接的な争いなんて、いまの透子には無理だ。

だが、目の前の現実が許してはくれない。リアは透子に本気で攻撃をしかけてきている。

そしてこれは透子がやるまで終わらないだろう。


「もう、考えるのも面倒!」


透子の意識が変わった。このスク水ならたぶんできる。

逃げていた方向を変え、爆弾を避けながらロリアに突っ込む。

後方からはホーミング弾が追ってきている。


「やる気になったか」

「ロリアを倒せばいいんでしょ!」


ロリア目掛けて拳を放つ。

放たれた拳は空を歪め、衝撃波を発した。

だが当たらない。


「その攻撃は読めている。計算通り」


立ち止まった透子にホーミング弾が追いつこうとしている。

透子はそちらに向かい、もう一度放つ。

衝撃波に感化された爆弾はすべてその場で吹き飛んだ。


「良いパンチ。良いデータ」

「うるさいなあ!」


ロリアがまた透子目掛けて爆弾を放つ。

それを透子がまた落とす、落とす、落とす。

爆弾での攻撃は透子に通じなくも見えた。


「もう爆弾は通じないよ!」

「それはどうかな」


その時、透子は足を掬われた。

射出でもないホーミングでもない、ただの爆弾が透子の足もとに転がっていた。

さっきまでロリアが立っていた場所にそれはあった。


「ざんねーん」


透子は爆発に巻き込まれた。

足元の爆弾に吹き飛ばされ、地面を転がった。


「かはっ」


熱い、痛い、痛い、苦しい、痛い、熱い、痛い、痛い、苦しい。

何もかも初めて味わう感覚。

スク水のお蔭で瀕死まではないものの、大きなダメージを受けてしまった。

立ち上がることすらままならない透子の前にロリアがそびえる。


「うん。あなたのお蔭で良いデータが取れた。」

「……」

「ただ、正直なところ、あなたもっとできるものだと思ってた」

「……」

「あなたはまだ精神的なものに左右されているみたい」

「あ……って……」

「これじゃあ宝の持ち腐れ。あなたには少し早すぎたのかも」

「あな……って……わた……」

「?」

「あなt……じゃ……って、私はt……」

「なに?」

「あなた、じゃなくって、私は透子」


意識はない。ただなんとなく、怒りが出ただけ。

全身に力を入れ、振り絞り、立ち上がる。


「私には、透子って名前があるの!!!」


穿つ。


ロリアにはそれが認識できなかった。

リアのロボットとして作られてはいるが、戦闘における知能はほぼ同じである。

で、あっても透子の一撃を認識できなかった。

防げなかったのではない。避けれなかったのではない。認識できなかったのだ。


放たれた拳はロリアを貫いていた。

ロリアは機能停止、焼け焦げた匂いすらした。

透子はというと、気を失っていた。


リアが姿を現す、額には汗が見える。動揺しているのは火を見るより明らかだった。

ロリアを回収し、透子を横にする。


「リアの計算ミス……?いや……そんなはずは……」


リアは過去、スク水幼女から集めた膨大なデータを元に透子の戦闘能力を見積もっていた。

それに加えてこの空間はリアのバーチャル空間。透子の動きから何までデータとして即時回収できる。

それら全てを鑑みてはいたが、先の一撃は認識すらできなかった。

本気を出してはいなかったとはいえ、ロリアが負けたのは事実だ。

リアにはそれが信じられなかったと共に、今までの自分が恥ずかしかった。


「トーコ」


リアは透子の額に手を当てた。

初めて自分の常識を覆した人物。

特別な感情を抱くのに時間は掛からなかった。

頬が赤くなるのを自分でも感じる。


「トーコ。よし覚えた」


リアが手を透子の肩に置く。

リアのバーチャル空間が閉じる。

すると、先ほどの浴室に戻っていた。


「あれ?いま何か……」

「トーコお疲れ様。もう大丈夫」

「あ、うん。お疲れ様。って何かしたっけ」

「ううん。それじゃあ、最後、三つ目は内緒」

「ああ、その話だったけ?って、そこまで話して内緒なの!?」

「うん。今日はもう帰る。またねトーコ」

「え、あ、もう帰るの?」


リアは能力を使い、透明になった。


「えっすご!なにこれ!」

「光学迷彩。潜入に最適。それにここには防音壁を設けておいた。だから叫んでも大丈夫だった」

「え、そうなんだ。ありがとう助かったかも」

「それとリアの能力教えてあげる。科学に関することなら大抵のことができる能力。定義が曖昧だからリア自身も全部把握しているわけじゃないけれど、すごく便利」

「何その便利能力!?」

「それじゃあ、トーコ、またね」


透明になったまま、リアは帰って行った。

透子は見えないけれどその場でリアを見送った。


「なんだか少し変な子だったなあ。でも色々助けてくれたみたいだし、もしまた今度あったらお礼言わなくっちゃ」


リアが来る前と比べると透子の気持ちは少しすっきりしていた。

スク水幼女についての理解も今日一日で進んだ気がする。


「そういえば、私名前言ったっけ?」


お風呂を上がり、ベッドに横になる。

少し疲れてはいるが、気持ちよく眠りにつくことができた。



~ 月曜日 ~


【 学校 教室 】


宿題やってきた?やべー忘れた!とか聞こえてくる朝の教室。

先週金曜日にあんなことがあったからか、透子は土日はずっと家で休んでいた。

二日振りの学校だけれどもなんだかもっと長いようにも感じた。


「ホームルーム始めるぞ。席につけ。えー、まずは今日から皆と一緒に過ごす新しいクラスメイトを紹介する。じゃあ入って」


先生に紹介されて入って来た子は、ブロンド色の髪を従え、小麦色の肌が映えていた。

そしてキラキラ光る瑠璃色の目で私をマジマジと見つめていた。

少しだけ頬が赤くなっているようにも見える彼女は皆の前で挨拶をした。


「ツェツィーリアーノ・フォン・ブラウンシュタイン=ベルヴォルグ。気軽にツェツィーリアーノ・フォン・ブラウンシュタイン=ベルヴォルグと呼んで」

これから透子とリアの百合ゆり展開なんかもありですね。

自尊心を崩されたリアが崩した透子に対して抱くモノはそれは相当なモノかと。

遠山さんはいつも通りです。たぶん次回出ます。


次回!三着目!

「美化委員長はスライムスク水幼女?!」

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