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プロローグ
口上
ーー鋼の肉体と強き感情とそれらを司る頭脳。そこに内なる魂が合わされば、いかなる物も乗り越えられる。
人の道は、修羅の道。終わらない夢は、僕と俺が終わらせない。
プロローグ
静かな日。
僕達が校舎から出た時突然、校舎の無線から国民保護サイレンが鳴った。
身体に響くような重低音。後に特務科で習う、脳髄に響くような生理的嫌悪感を湧かせる音だ。
今の校舎の時計は三時半を指していて、放課後になる。
周りの一般生徒は音の意味も分からずにどよめいているが、僕の目の前の筋肉質な男だけが猫を抱いたまま、空を見上げていた。
僕もつられて視線を向ければ、まるで手招きするかのように木々の枝葉が手を振る。
雲の流れは速く、空はじわじわと灰色の暗闇に覆われていく。
ここは私立迅焔附属高等学校。中高一貫の進学校だ。
高等部にあがったばかりの僕は、横に居る猫を抱くこの男に運命を振り回されることとなる。
自分としては望みもしなかった経緯、最高にして現行技術でいける最頂点の兵器、グランフレアのパーツとして……。