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市子さんは流浪する  作者: FRIDAY
参:ひとならずして
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32.早朝の来訪者

 

 

 深夜を回ってしばらく経った頃、ようやく寝付けたというのに、明け方頃になって起こされてしまった。

 起こしに来たのは、祖母だ。

 まだ早いからって断ったんだけど、どうしてもって言うからね――

 眠い目をこすりながら、浅沼は祖母の言葉を反芻する。

 祖父母は仕事柄、日の出とともに働き始めるからこの時間には既に起きていた。そして仕事に出る準備をしているところで訪問者に出くわした。日の出の時刻、明朝も明朝だ。学生の浅沼はまだまだ寝ている時間なのに、その訪問者はどうしてもと言って譲らないという。

 こんな時刻に訪ね来るのは、一体何者か。


「……わかった。すぐに行く」


 祖母にはそう返して、浅沼は上体を起こした。

 誰かを聞くまでもなく、浅沼にはわかっていた――他には思い当たらないからだ。

 しかし、


「…………」


 ゆっくりと白んでいきつつある稜線を窓から眺めながら、浅沼はややためらう。

 苛立ちや、眠気を差し引いても――なんとなく、彼女らには会いたくない気分だった。

 

 


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