01.奇妙な一行
麗らかな陽気が心地よい午後である。
見渡す限り田畑であり、広大な土地にも数えるほどしかない農家が点在するだけの、平たく言うところの田舎であるその郊外では、当然のことながら活気はなく、しかしもの寂しさに覆われているわけでもなく、老婆がのんびりと歩いていたり、道端で猫が日向ぼっこをしていたりと、絵に描いたようにのどかな田園風景である。
勿論田舎とは言え都市化の波は及んでおり、しかしささやかなものであるが、車も滅多に通らずとも道路がアスファルトで舗装されている。一日に農家の軽トラが数度しか通らない道だ。舗装されたのは随分と前なのだろうが、まだまだ綺麗なものである。
その道の真ん中を、実にのんびりと歩く姿があった。
ひとりではない。ふたりと、一匹か。
それは一見して、明らかに奇妙なパーティだった。
前を歩くのは少女だ。年の頃は、中学生くらいか。可愛らしい顔立ちをしているが、それもわずかに窺われる程度。
なにせこの少女、目に怪我か病気でももっているのか、両目にかけてきつく包帯を巻いている。包帯は双眸を隙間なく覆っているため、視覚は完全に塞がっているはずなのだが、しかし少女は誰の先導を受けることもなく、自らの脚で不便なく歩いている。
少女だけでも十二分に悪目立ちしているのだが、その一歩後ろを歩く両者もまた奇抜だった。
片側を歩くのは女性だ。それも長身の、美女である。腰まである長髪は狐色というのか、茶と黄の中間のような色合いであり、なかなか見かけるものではない。ややつり目気味の双眸は伏し目がちにされている。物静かな雰囲気をもって歩いているのだが、道を行けば男女問わず視線を集めてしまうことだろう。
反対側にいるのは、しかし人ではない。犬である。
真っ白な毛並みの犬。
全身が隈なく白い。対して瞳は紅い。犬種は、恐らくは柴犬かそのあたりだろうとは思われるのだが、それだけになおのこと異質さが際立つ。
そんな三者が、道を歩いている。
街を歩けば衆目を攫うことも間違いないパーティだが、ここは田舎だ。そもそも人がろくにいない。
まあ、例えどれほどの衆目があったところで、意に介するような者はひとりもいないのだが。




