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市子さんは流浪する  作者: FRIDAY
弐:遠く遠く、遠くまで
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11.状況開始

 

 

「作戦は二段階だ」


 遠く、立ち上がった“だいだら”を見据えつつ、高坂は呑まれかけていた白城に言う。


「え、あ、はい」

「まずはあれをこの土地に縫い付ける――閉じ込める、まあ言い方は何でもいいが、とにかくこの地に留めることが第一条件だ。だが、もしもそれが不可能であると判断されれば――」


 肩越しに、白城を見る。

 白城と、白城の携えている武器を。


「お前と、その刀――“夕霧”の出番となる。まあ、そうならないのがベストだが、構えておいてくれ」

「はい!」


 それを強く握って、白城は力強く返す。それを受けてにやりと笑い、高坂は胸元に仕込んであるマイクから、全部隊に指令を送る。


「総員に告ぐ――これより任務を開始する」


 高坂の声音には、不安というものは一切ない。聞く者を鼓舞させる、不思議な響きをもった声だ。

 それが、白城を含む全員へ向けて、鳴る。


「手筈は事前に説明した通りだ。――この任務は、ランクこそ高いが、第一種戦闘任務ではない。だから、直接的な危険は、我々にとってはほぼ、ない」


 だが、と高坂は続ける。


「軽視してはならない。この任務、我々の背後にいるのは無辜の人々だ。そのことを忘れるな。我々の戦いは、そのためにあるのだから――」


 了解、という言葉が返る。

 いくつも、いくつも返る。

 展開した全員から、返答がある。

 そして勿論、白城も、応じる。

 了解、と。

 その全てを聞いた高坂は、一つ頷き、手を振り上げると、


「任務開始! 状況を開始せよ!!」


 袖音を立てて、振り下ろす。

 相対が、始まった。

 

 


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