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03.忌避
縁側に少女が座っている。
幼い少女だ。せいぜい十歳かそこらだろう。儀式に合わせた喪服を着込んだ身体は年相応に小柄であり、無表情に空へ向けている可愛らしい顔立ちもあどけない。
黒髪をおかっぱに切りそろえている少女は、退屈なのか、縁側のふちに座り、足をぷらぷらと揺らしていた。
介添人やそうでないものの中にも、彼女と近い年頃の少女も少なくない。彼女らは何か所かに集まって手遊びに興じている。だが誰一人として、縁側の少女を輪に誘う者はいない。
それは、縁側の少女がこの葬儀における死者に最も近しい人物だったから、そっとしておかれている、ということもあった。
だが、決してそれだけではない。
率直に言ってしまうと、少女はただ避けられていたのだった。
俗世間から隔絶された集落で、さらに忌避され遠巻きにされている少女。
少女が何か罪を犯したわけではない。
ただ、少女の在り方が受け入れられなかったのだ。