02.作戦内容
「――よし。ではこれより、今回の任務の確認をする」
“特務 高坂・雄馬”という腕章と巻いた巨漢が、周囲に控えている部下たちを見渡してそう言った。
この場に募っている人員は、男女入り乱れてはいるが、全員が黒地に白の意匠が施された法衣のようなものを着ている。
「今回の標的は“だいだら”。任務達成条件は“だいだらの移動の阻止だ」
男の胸元にはマイクがひとつ固定されており、これから森中へ展開した部隊全員のイヤホンへ繋がっているのである。
と、隊員のひとりが手を上げた。
「質問があります。“だいだら”の移動を阻止するということですが、なぜ阻止するのですか?街に出て来ない限りでは、物の怪の行動は黙認が基本ですが」
隊員の言葉に、高坂は軽く頷く。
「この“だいだら”はただの“だいだら”ではなくてな。――あまりに長く存在し続けているために、霊格が神クラスに到達している」
神、と聞いて隊員たちがわずかにざわめいた。それが鎮まるのを待って、高坂は先を続ける。
「最後に移動が確認されたのはおよそ400年前。古い文献に、伝説として残っている。そしてそれ以来一度としてそこから動くことのなかった“だいだら”はいつしか土地神となり――それが今、再び動こうとしている」
「土地神……ですか。それが移動するというのは、どうしてわかったのです?」
別の隊員の問いに、高坂は肩をすくめて返した。
「古都圏の副長が霊視した。あの人の霊視が外れたことは今まで一度もないから、恐らく今回も間違いないだろう。で、それが今夜なわけだ」
今一度、高坂はここに集った面々を見回す。既に展開している隊員たちにも聞こえるように、腹から声を張って、
「今回の任務は古都圏と東北圏の共同作戦であり、現場指揮は古都圏特務の高坂・雄馬が執らせてもらう。作戦内容は先にも述べたとおり、“だいだら”の移動阻止。だが、どうしてもそれが出来ない場合――全力を以て“だいだら”を排除することを許可する。現場判断は俺が行う。相手は神クラスだ。油断はするな。本格的な開始は“だいだら”が動いてからであるからそれまでは待機。何かあれば速やかに俺に連絡すること。以上だ」
片手に携えた錫杖で地を突き、大きく鳴らして、頷き、
「それでは――状況を開始する」




