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02.少女
人は集まってはいるが、葬儀そのものはまだ始まっていないらしい。供物や食事を準備するために走り回る介添人たちの慌ただしい音が、雨音に紛れて微かに聞こえる。
することもない弔問客らは、久方に会う者同士も多いのだろう、声量こそ押さえながらではあるが、内容は好き勝手なことを話していた。
最近受け持った客についての愚痴や、不景気、下界の話題など、それぞれだ。
だがいつでも、少なくない人数が、必ずある方向へ視線を走らせながら、ひそめた声をさらにひそめながら話す話題がある。
視線の向く先は、開け放たれた雨戸の向こう、雨のそぼ降る外。
しかし見るものは外ではなく、雨でもない。
縁側。
そこに座る少女。




