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01.村
山の奥、鬱蒼と広がる森の奥に、いくつかの集落が点在している。
それぞれの集落は人数などに差はあったが、生活している人間や、彼らの職種にいくつかの共通性があった。
例えば、ほとんどの人間が全盲か、弱視であること。
例えば、目の不自由な者も、そうではなく、目の不自由な人々の世話を請け負う者も、全員が女性であること。
そして、例えば。
目の不自由な女性らが、霊能職種であること。
霊能職種とは言っても、実際に霊視のできる者は、一時代前であればいざ知らず、現代まで時代が下ってしまえばほとんどいない。せいぜいが、常人よりは霊感が利く、という程度であり、全く有さない者も少なくない。
その、とある集落のひとつ。
日本家屋が一軒、周囲の森に埋もれるようにして、建っていた。




