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市子さんは流浪する  作者: FRIDAY
肆:暗がりの奥で眠る記憶を
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15.検索①

 

「さて。これから探すのは論文です」

 検索用の総合コンピュータの前に立って、市子は言った。

「とはいえ。論文とは言ったものの、今回探すものは必ずしも論文に限ったものではありません。園田さんの書いた書籍も含みますし、園田さんの論文集であったり、他の論文集の中に園田さんの論文が含まれているという場合もあります」

 冗談めかした調子で市子は言う。はあ、と白城は返すが、市子はそんな白城の生返事に構わず続ける。

「し・か・も。調子よく園田さんの論文を見つけても、それが必ずしも私たちの探している論文であるとは限りません。何せ私たちが探しているのは園田さんの論文の『三本に一本』。つまり三本に二本は真っ当な学術論文なんだね」

「それは確かにそうかもしれないけど……それじゃあ、どうやってその『三本に一本』を探すの?」

 白城の質問に、市子は頷いた。それはね、と前置きして、

「とある単語が含まれている論文を探してほしいんだね」

「単語?」

 そう、と市子はまた頷く。

「『半血』っていう単語。文字は漢字で、血が半ば、って書くの。この『半血』っていう単語が一度でも含まれていれば、それを全部読んでみる。私が今回白城さんと一緒に調べたいのは、その『半血』っていう単語のことなんだ」

「単語……単語なんだったら、辞書か何かを使えばいいんじゃないの?」

 白城の問いに、今度は市子は首を振った。

「辞書には載ってないんだよ。何せ、『半血』っていうのは園田さんが考え出した言葉なんだからね。しかも曰くつきの『三本に一本』の方でしか使われていないから一般認知も低くて、園田さん以外誰も使っていない」

「『半血』……それって一体、何なの?」

 形のわからない不安のようなものを覚えた白城に対し、市子はにやりと笑って返した。

「それを、これから調べるんだよ?」

 


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