異世界で整体師ができること
テンプレ話を目指して
石造りの建物の窓を開けて換気する。
冷たい空気が気持ち良い。
こちらに来て一年が経つ。やっと慣れてきたと言っていいだろう。
部屋の中央に置かれた仕切りの中、寝台に新しいシーツを掛ける。
この寝台を作るのは苦労した。こちらのマットは硬すぎて施術の際に体が痛んだかもしれない。
柔らかすぎても行けない。体を支えきれないからだ。
何度も何度も試作し、材料を変え、比率を変えてやっと完成したのがこのマットだ。
異なる材料の綿を三層構造にしたこれを開発するのに随分とお金もかかった。
幸いにして、マットの評判を聞きつけた寝具店が買い取ってくれたから何とかなったし、安定供給もできるようになった。
俺の店は俺しかいないから必要ないが、騎士団の宿舎にも導入されたらしい。
本業と関係のないところで感謝されたのはむず痒かったが、悪い気はしない。
換気も充分に出来たから、開店の札を掛けに外に出る。
女騎士団長が扉の外で待っていた。彼女はほぼ毎日、早朝訓練が終わると水浴びをして店に来る。
「いらっしゃい。もう少し待っていてくださいね」
「う、うむ。判った」
思えばこちらに来てから彼女には世話になりっぱなしだ。これで少しでも恩を返せていると良いんだが。
高校を卒業してからすぐ、俺はマッサージの専門学校に行った。
人と触れ合い、喜ばれるのが好きだったからだ。
親には随分と反対されたが、学費を全て自分で稼ぐことで説得できた。
バイトをしながらできつかったが、勉強を疎かにはできない。針や灸も勉強して資格を取った。
たまの休みは図書館で医学書を読みあさった。
整体師は医療行為をできない。だけど人体について学ばない理由にはならない。
思えば、暗い学校生活だった。級友はもっと遊んでいたが、俺は全て断っていた。
後悔はない。あのときの俺は一生でも一番楽しんで生きていたと思う。
卒業が近づいたある日、両親に呼び出された。
学校の話や、生活について色々と話した。
話の最後に両親が通帳を渡してきた。中を見ると、七桁の大金が入っていた。
「元々はお前の大学進学のために貯めていた金だ。自分の店を持つための資金として使え」
当たり前だが、卒業後にすぐ店を持っても成功しないだろう。
どこかの施術院で修行して、人脈を得た後で店を持つことになる。三十歳で持てたら幸運だ。
まだ、ずっと先の話だ。
俺は泣いていた。嬉しかった。両親が俺のことを認めてくれた気がした。
ただこれだけでも報われた気がした。
「何を泣いているの。あなたはまだスタートラインに立ってもいないのよ」
そうだ。俺はこれからも頑張らなくてはいけない。
両親に励まされた。
この日、俺は初めて親父と酒を飲んだ。正直美味しくはなかったが、良い気分だった。
卒業後、学校の紹介で施術院に入った。
店主は口べただったが、真面目で暖かい人だった。
彼の性格に惹かれて固定客も多かったが、喋れる人間が入ったので重宝された。
俺も、彼の期待に応えようと真剣に仕事をした。
失敗もしたが、順調だった。俺に固定客も出来た。
店では多くのことを学べた。
お客ごとの接し方や、金銭のこと、業者とのやり取り、どれも学校では学べなかったことだ。
お客は毎日体調が違うし、病気なのに来る人もいる。業者も訳のわからない怪物ではなく、人間が相手だ。
この施術院に勤めた三年間は俺の血肉となった。
両親の次に尊敬する人はここの店主だ。
三年、そう、三年だ。
勤め始めてから三年が経ったある日、警察が俺の家を訪ねてきた。
両親の住む家に強盗が入り、二人とも殺されてしまった。
何を言われたのか理解できなかった。
病院で死体の確認をしても、現実感がなかった。
店主にしばらく休む連絡をしたのは覚えている。
何も手につかず、街を彷徨った。
犯人はすぐに捕まったらしい。食うのに困って押し入ったらしい。
年寄り二人だから、簡単に思えたのだろうと警察は言っていた。
そんなことは関係なかった。犯人を憎む気持ちも湧いてこなかった。
ただ、ひたすらに悲しかった。
今になって思えば、心が現実から離れていたから、今ここにいるのかもしれない。
突然、体が激しく揺さぶられて意識を失った。
気がついたときは、どこか揺れる場所の上に寝かされていた。
毛布が掛けられていて、頭の下にも毛布を丸めたものが置かれていた。できる限り丁寧に扱おうという気持ちが伝わった。
見渡すと幌を張った馬車の中のようだった。
「目が覚めたか。私の言葉は判るか?」
御者席から声を掛けられた。金属鎧を着た女性が座っていた。
「判ります」
体を動かしてほぐしながら答えた。前を向いていて女性の顔は見えないが、笑った雰囲気が伝わってきた。
「よかった。君は自分の現状を理解しているか?」
少し考えてたが、ほとんど判らない。
「判りません。確か街を歩いていたと思うんですが、私はどうしてここにいるのでしょう?」
「判った。詳しい話は夜にするが、簡単な説明をしよう」
ここはラーズイン大陸というらしい。
人通しの戦争はないが、凶暴な生物が多く団結して開拓している。
大陸には五つの国家があり、そのどれもが王政をしいている。
魔法が存在していて、文化レベルは低くない。最も、人間以外にも魔法を使う生物は多いため人間のアドバンテージにはならない。
人間と言ったが、種族的には一対五の割合で女性の方が多いらしい。そのため、男性は文官などになり、力仕事は女性がする。
これは魔法があるから成り立つのだろう。
数年に一度、大陸のどこかに異界からの迷い人が来ており、その兆候が見られたから女騎士は保護に出向いたそうだ。
「つまり、私は迷い人なんですね」
「そういうことだ。君は男性だし、悪い扱いにはならない。安心して良い」
「やはり、男というのは大きいんですか?」
「容姿が極端に醜かったらともかく、君なら悪い扱いになるぐらいなら貰いたいってヤツが多いさ」
男女比がおかしくても結婚問題というのはあるらしい。
その日の夜は、風習など文化的なことを聞いた。
言葉が通じるのはそういう魔法があるかららしい。ただ、言語習得はした方が良いと勧められた。
迷い人による文化的な発展や、技術的な問題の解消も多いらしく、どこの国家も自分の領土やその近くに来た迷い人を保護するそうだ。
幾つか聞いて見ると、地球からも何人か来ているように思える。
そんな話をしていると、女騎士が真剣な様子で俺の顔を覗き込んできた。
どうしたのだろうか。
「君は元の世界に戻る方法を聞かないのだな。いや、見つかっていないから聞かれても困るのだが」
彼女は一度言葉を切った。続ける言葉を選んでいるようだ。
「君は、ええと、その、自殺でもしてきたのか?」
思わず吹き出した。
「随分と直球ですね」
「あーあー、すまん。口が上手くないんだ。私は」
「いえ、心地よいです。自殺はしてません。もしかしたら、あのままだとしたかもしれませんが」
「何があったのか聞いてもいいか? もちろん、これは強制ではない。ただ、他人に話して楽になることもあると思うんだ」
彼女は真摯に俺を心配しているんだ。それが心地よかった。どこか、店長を思い出させた。
少し考えて、あったことを話した。
途中で俺が泣き出してしまうかと思ったが、彼女が先に泣き出していてタイミングを逸してしまった。
「あの、大丈夫ですか?」
「ぐず……いや、大丈夫だ。すまん」
先に泣かれると、泣きづらいなんて初めて知った。彼女は涙を拭いて俺に言った。
「君は良い両親に恵まれ、そして良い息子だったのだな。それだけは誇って良い」
言葉が出なかった。いつの間にか、俺は彼女に頭を下げていた。何とか言葉をひねり出した。
「ありがとう」
「あ! いや、その、適当なことを言ってすまん。あー、ええと。そうだ。迷い人の特徴についてまだ話していなかったな!」
慌てる彼女は可愛かった。随分と、本当に、随分と楽になった。
「特徴ですか?」
「ああ、人によってはこの世界で生きるのに不要な部分が変換され、特殊な力を得ることがあるらしい」
私も詳しくは知らないが、と彼女は続けた。
「特殊な力ですか。ううん。どうすれば判るのでしょう」
「人によって全く違う力になるそうだからなぁ……。そうだ、元の世界では何をしていたんだ? それに基づいた力かもしれない」
何をやっていたのかと言えば、整体だ。
彼女は整体という言葉は判らなかったらしい。首を傾げて聞いてくる。
「それはどんなものなんだ? 言葉で説明されて判るかな。ここで危険なく実践できることか?」
「そうですね。貴方の体に触れることになりますが、実践できます」
ならやってみてくれ、と言われて準備をする。
全身をやるのに石もある地面の上では辛い。一日中御者をやっていたのだ。とりあえず肩をほぐすとしよう。
「いきます」
女騎士の後ろに回り込み、ゆっくりと肩を押さえる。硬い。筋肉だけでなく、かなり凝っている。
「ひゃんっ」
この凝り方で体重を掛けてほぐすと痛いだろう。まずは指と腕の力だけで肩を揉む。
「ふわっ、あ、んっ」
肩を揉んでいると、俺の体幹から指先へと何かが流れ出て熱くなる。
悪い感じはしない。このまま続けるとしよう。
慎重に凝りをほぐしていく。随分と効果が早いようだ。これが特殊な力なのだろうか。
大分堅さが取れたから、体重を乗せて指圧していく。
そうしていると、彼女の体の中に何か脈のようなものが通っていることが感じられた。
流れが滞っている部分を指圧して正常に戻す。
「………っ!」
十分ぐらいで満足がいく施術ができたので、体を離す。彼女は何故か息も絶え絶えになっていた。
「すみません! 大丈夫ですか? 調子にのってやりすぎて……」
「ああ……、大丈夫。大丈夫だから安心してくれ」
彼女は呼吸を整えると、今度は驚いた表情になった。
「何だこれは! 肩が軽いぞ。それに腕に魔力が溢れている。これが君の力なのか!?」
「ええと、たぶん、魔力の流れが悪くなっていたのを正常に戻したのだと思います。今回は肩だけでしたが、実際はそれを全身に施します」
「こ、これを全身にか!」
何故か彼女の顔が赤かった。
彼女は立ち上がると、拳を振ってシャドーボクシングのようなことをしていた。
「いやしかし、これはすごいな。力が漲るようだ」
「それが本来の力だと思います。こちらには何か筋肉を凝らせて魔力の伝達を阻害する要素があるようですね」
後で検証して判ったことだが、魔法を使用すると魔力が通る脈――便宜的に経絡と呼ぶ――が細くなり流れが悪くなるようだ。
そして日常的に魔法を使っているこの世界の人々だと細くなっている状態が一般的になっている。
「これだけの効果があるなら、騎士団に就職する気はないか? 下手な民間より安定しているし、給金も良い額出せるぞ」
「そんなこと決めちゃって良いんですか?」
「構わん。私が騎士団長だ」
女騎士は女騎士団長だったのだ。
こうして女騎士団長との付き合いが始まった。
騎士団員たちは整体に懐疑的な者が多かったが、女騎士団長が毎日通っているからどんどん人が増えた。
施術したら皆恍惚とした表情を浮かべるのがイマイチ解せない。経絡をほぐされるのはそんなに気持ちいいのだろうか。
ほとんど騎士団全員を相手にすることになったが、流石に一人では手が足りず、予約制になった。
女騎士団長は団長特権として早朝に毎日受けていた。
噂を聞きつけた貴族が抱え込んでこようとしたこともあったらしいが、俺の所に届く前に騎士団の皆が排除してくれていた。
施術は肩もみコースに背中をやる上半身コース、足もみコース、そして全身コースの四つを作った。
全身コースを頼んでくるのは数人しかいない。内一人は女騎士団長だ。
他の団員は固定のコースだけを頼んでくるか、コースを順に頼んでくるかだった。
魔法の研究院と協働して経絡の調査を行ったこともあった。
騎士団の演習についていって、夜にマッサージして回ったこともあった。
忙しかったが、楽しかった。
一年が経った頃には、元の世界のことをあちらの世界と呼ぶようになっていた。
この世界に来てよかった。あちらの世界にいたままだと、本当に自殺していたかもしれない。
いや、自殺とか関係ない。この世界で皆に喜んで貰えるのが嬉しいのだ。
さて、俺の人生の転機というものは三年を節目に迎えるらしい。
この世界に来て三年目の冬のことだ。
その日の予約分が終わって、片付けた俺は店を閉めようと表に出た。
そこには真剣な表情をした女騎士団長が立っていた。
「どうしたのですか? こんな、寒い中で、中に入ってください」
中に促そうとしたが、彼女は動かなかった。
魔法の防護があっても、寒い中立っていて良いわけじゃない。腕を引いて中に入れようと彼女に近づいた。
彼女は、光る何かを俺に差し出してきた。
短剣だ。
彼女は頭を下げて、両腕で鞘に入った短剣を持って、こちらに差し出してきた。
「わ、私と結婚してください!」
「は、はい」
思わず受け取って返事をしてしまった。
直後、周囲から歓声が上がった。騎士団の皆がどうなるか見張っていたらしい。全然気配を感じなかった。
押し寄せてきた騎士団の皆に揉みくちゃにされた。
この世界ではプロポーズの際に自分の職業に関係のある品物を贈るらしい。
例えば俺がプロポーズしていたら、何を贈ることになったのだろう。
返事は反射的だったが、彼女のことが嫌いだったわけじゃない。
恩義があったから、恋愛に発展させ辛かっただけだ。
騎士団の皆は一通り乱暴に祝うと帰って行った。俺と彼女だけが残された。
この日、彼女と一緒になった。
三ヶ月後に開かれた結婚式は盛大なものだった。
基本的に引きこもりというか、決まった場所しか行き来していなかった俺は唖然としていた。
まさか俺の結婚式に王族まで出席するとは思ってもなかった。
こうして家族を失った俺は、この世界で新しい家族を手に入れた。
恥ずかしい話だが、それは一人ではなかった。
全身コースをやっていた団員達も娶ることになったのだ。
話を聞くと、女騎士団長に遠慮して結婚するまで待っていたらしい。むしろ彼女たちが焚きつけてあのプロポーズになったらしい。
家族が増えても俺の仕事自体は変わらない。朝と夜、帰ってくる場所ができて、迎えてくれる人と、迎えるべき人ができただけだ。
この頃になると、研究院で俺以外が経絡をほぐせないか実験もしていた。
まだ俺は文字をあまり習得していなかったので記録を残すのが大変だった。
絵を描いて図解し、他の人に試して貰ったところ、若干だが効果があったらしい。
このまま研究を続けていけば整体が一般的になるかもしれない。
余談になるが、この世界で整体やマッサージに当たるのは治療院という回復魔法の専門家が行っているそうだ。
俺が厄介になることはなかったが、怪我だけじゃなく疲労なども回復してくれるらしい。
子作りはあまり上手くいかなかった。
俺も彼女たちも忙しいのだ。
そもそも女騎士団長になると勝手に子作りして良いものではないらしい。
内心複雑だったが、後任が決まったら相談して長期休暇を取ることにした。
こうなると逆に俺の仕事が時間を取りにくい。彼女たちは気にするなと言ったが、研究の成果を出して後進の育成をしたいものだ。
結婚から三年が経った。
生活をしていて、ふとした拍子に違和感を感じるようになった。
違和感の正体が判らず、放っておくしかなかった。
それからしばらくして、急に辺りが騒がしくなった。
東の火山で火の精霊が暴れる兆候が出たらしい。
火山が噴火してしまうと大きな被害が出る。精霊を退治する必要がある。
騎士団はその準備で慌ただしく動いた。俺も討伐について行く準備をした。
この遠征は過酷だった。
火の精霊の活性化で火山周辺の気温が急上昇していた。
これだけでも早急にことを納める必要がある。
俺は野営の度に皆に施術して回って、少しでも疲れが取れるよう努めた。
昼は馬車の中で寝て、夜は一晩中施術した。
火山に近づくにつれ、違和感は大きくなった。
火山の麓まできて、火の精霊の様子をみるために偵察が行われた。
俺は居ても立ってもいられずに、偵察に志願した。
大反対された。
「君は陣地に残ってくれて良いんだ! 前に出てどうする!」
「判りません。判りませんが、行かなくてはいけない気がするのです」
女騎士団長を泣かしてしまった。彼女は陣地で指揮をしなくてはならない。偵察についていくことはできない。
それでも、根気よくお願いして、何とか認めて貰い、偵察について行った。
正直、足手まといになることは判っていた。それでもいかなくてはならない。
汗だくになりながら偵察隊について行き、違和感の正体を確かめた。
件の火の精霊を見た瞬間、違和感の正体が判った。
すぐに戻って報告した。
「あの火の精霊は、経絡が乱れて暴走しているのです。経絡さえ直せば噴火も気温の上昇も収まると思われます」
すぐに研究院の人間が呼ばれ、俺の仮説を検証した。
経絡自体が新しい概念なので断言はできないが、可能性は充分にあると出た。
「しかし、火の精霊に触れれば焼け死ぬ。そんなことはさせれない」
「あの精霊に直接触れることはありません。精霊は世界から力を貰って存在しているようです。大地に流れる経絡、龍脈と名付けますが、それを正せばあの精霊も元に戻り消えると思います」
「大地の経絡を直すなんて、人間にできるのか?」
「はい、それが私の本当の力なんだと思います」
研究院と相談し、すぐに龍脈を正すことになった。どうせ火の精霊は暴走しているのだ。これ以上悪くはならないとの判断だった。
淀みが強いポイントを調査して、必死に力を大地へ送った。
一箇所を正すだけで精根尽き、気絶してしまった。
何日かかけて龍脈を正して回った。女騎士団長達には随分と心配をかけてしまった。
想定より良かったのは、半分ほど龍脈を正すと、残りの龍脈も自然と正されていったことだ。
同時に火の精霊の力が弱まり、気温が下がっていったことが確認された。
二週間様子を見て、火の精霊の消滅をもって任務達成となった。
この事件から、俺はただの整体師では居られなくなった。
王属龍脈院という組織が建てられ、そこの長にされてしまった。女騎士団長たちも護衛という名目で転属となった。
土地の龍脈を調べながら、問題の事前察知を行うことになった。
俺は人と触れ合えないのが不満だった。それを王家に伝えると、予約数は管理されるが整体の仕事も行っていいことになった。
この結果、王家の末の娘を貰うことになってしまったが、それはまた別の話だ。
騎士団の仕事から解放されたので、子作りも行うことができた。
「旦那様は不満そうだったが、この仕事になってよかったかもな」
「確かに、前の仕事だといつになるか判らなかったですしね」
生まれてきた子どもを抱くと、自然と涙が溢れた。
「旦那様は泣き虫だなぁ」
そういう彼女も泣いていた。
両親が許してくれた道を歩んだことで、俺は国一つを守る大切な仕事に就くことが出来た。
そして多くの家族を持つことができた。
今、ここに、皆と一緒に俺がいるのは、貴方たちのお陰です。