春・・・そして霙
久し振りの投稿です。
見ていただくと感謝です!
では始まります!
-俺はいったいどのくらい寝ていたんだろう?・・・頭が痛い。なんだか耳鳴りまでする
俺はぼんやりとした目をかさかさの手でこすりながら起き上がろうとした
ガシャッ。
「ん?」
俺の額にはつめいた氷が乗っていた。よく見ると今まで布の先がほつれて犬のにおいがしたぼろぼろの毛布が新しい、洗剤のにおい香る・・・いや、これこそ太陽のにおいが香る毛布に変わっていた
「おっ!」
俺は片手で氷を抑えながら重い腰を起こした
「やっとおきたかしら?」
俺の目の前には背筋を伸ばして大量の書類にサインをしているバラン補佐の姿だった。
-よりにもよって苦手な人がいつもいるんだな。はぁ~俺に春は来ないのか
肩を落としたことがわかったらしく、バラン補佐は俺の頭にあった氷を捨てた
「!」
「そんな表情が造れるならもう氷になんて必要ないわね。今度からは倒れないで来るかしら?毎回、毎回困るのだけど?」
氷をゴミ箱に捨てる音にまぎれてため息の音が聞こえた気がしたので俺は肩をすくめた
「ふさぎこむ暇があるのなら仕事をしなさい。」
-冷たいもんだ。俺の仕事の疲れをねぎらってくれてもいいのに
そう心の中でつぶやきながらベットから出ようとすると、あの新しい毛布にさわった
-そういえばこの毛布新しく・・・もしや?バラン補佐が俺のために買ってくれたり・・・
期待に胸を膨らませて俺は毛布を優しくなでた。良い肌触りだ。前の毛布なんかがさがさしててのみがいて大変だったんだ。あー幸せだ
「ちょっといいかしら?」
「・・・はっはい!」
俺は一瞬にして現実に戻された
「その毛布気に入ってるのかしら?」
「はい!」
的をうったような質問だ。こんなことをきくなんてもう決まりだろ!だが、バラン補佐との春か・・・う~ん・・・またとない体験といえば体験だな。それによく考えればバラン補佐は美人だ!春か?俺に春が来たのか!
ニヤニヤしたまま俺は座っている。それにバラン補佐は嫌悪感を抱いたらしい
「何考えてるのかしら?・・・まぁいいわ。それよりその毛布のことなのだけど」
きたぁ!
「はい!はい!」
興奮して2回答えてしまった。思い起こせばここに配属されてから一切この部屋から出ていない。トイレもこの部屋にあるから、外部との接触をバラン補佐と天気によって変わる人以外造っていなかった。
「・・・あれは」
久し振りに心臓がドキドキしている。あ~神様っているんだな!
「ナイトに頼まれて100円ショップで買ってきたものよ。あまりにも汚い雑巾みたいだったから私も賛成したのよ。」
「・・・」
-ナイト?
「あなたが床で転がってるときに少し話をしたのよ。それとこれ」
-え?
俺はあまりの期待はずれにあごが外れてしまっている気がする。そう思いながら差し出された白い紙には100円。毛布と書いてあった。これってレシートじゃ・・・
「あなた宛に請求しておいたわ。給料から引いておくわね。」
「・・・はい」
何であんなに期待していたんだろう?俺疲れてるのかな?
ちゅうをあおいで毛布に飛び込むと黒い窓枠から霙が見えた。
「霙・・・はっ!バ、バラン補佐!」
天気が変わったことに気づき、あわてて起き上がった。
「そうよ。霙の彼。」
真っ白い部屋には背が高い男がうつろな目で空を眺めていた。なんだか影みたいで変な存在感を放っている。
「彼が霙の・・・」
「私はあなたが伸びている間にいくつか彼に質問したんだけどまったく反応なしよ。困ったものね」
バラン補佐はため息をつき机に頬杖をついた
「でもこのシーツは見事ね」
「あっ・・・それはセサミーチが」
マジックでシーツに書かれた落書きにしか見えないもの。それをバラン補佐は広げて壁に画鋲で貼った
「え・・・」
「あなたはセサミーチが出てくるまでにこれを解明してくれるかしら?まだ安静にしたほうがいいみたいだからここで静かに謎を解明して頂戴」
「え・・・」
「何かご不満でも?」
紅くきれいな唇がきれいな円を描いた
「ないです・・・」
「では引き続きがんばって頂戴」
コツコツ・・・
そう音を響かせて部屋を出て行こうとしたときだった
『なぁ。お前らに話さないといけないことが歩きがするんだ』
鈍く低い声。霙の彼の声だった
「しゃべった!?」
「!・・・あら?何かしら?」
俺はひどく驚いたのに対し、さすが所長有力候補のバラン補佐だ。しっかりと趣旨を捕らえて答えている
『今はめんどくさい気がするから。また後できてくれたらうれしいきがする』
それだけいって霙の彼は静かになった。今までも静かだったが、なぜかわかった。彼はもうしゃべらないと。
「・・・」
俺はバラン補佐と顔を見合わせ、その場に立ち尽くした。
後日霙の彼と話す機会があった。
まだまだ続きます。
次回で謎が少し解明されてきます。
温かい目でお願いします!