核を砕いた先の絶望
フェリシアの号令が響き、仲間たちはそれぞれの役割に従い、戦いを続けていた。
ミハイル率いる前衛部隊が、ヴェル=オルディウスの攻撃を読みつつ接近を試みる。
しかし、槍が一閃し、空間が大きく裂けた。
「くっ……桁違いだ! HPを削るほど、強くなるなんて!」
ミハイルは後退し、叫んだ。
その先の空間が歪み、黒い閃光が襲いかかる。
「リカバー!」
キャメロンたちが治癒魔法を発動し、ミハイルを回復するが、ヴェル=オルディウスの攻撃はそれだけにとどまらない。現れる幻影も、力を増していた。
「実体化のタイミングを見極めろ! 無駄な攻撃は控えて!」
フェリシアが素早く指示を飛ばす。
「任せるっす!」
タケルが前線に飛び出し、黒雷の双剣ゼルフェルドを構えた。
その刃が稲妻を纏う。
ヴェル=オルディウスの槍が振り下ろされ、実体化する。
「今だッ!」
タケルの双剣がヴェル=オルディウスの腕を斬り落とす。
甲殻が砕け、黒い血が宙に舞った。
その傷が刻まれると、体が揺れ、急速に回復していった。
「やはり……時間を巻き戻している!」
「でも幻影が消えた! ダメージが効いたようだ」
エリオが士気を高める。
「強化魔法を展開! 一気に畳みかける!」
バフ魔法が飛び交い、ガルドがヴェル=オルディウスの左胸を貫く。
すかさずセリアたちがファイアボールを浴びせた。
ヴェル=オルディウスの時間逆行の効果が薄れ、傷は消えなくなった。
タケルは双剣に力を込め、一気にその胸元へ踏み込む。
『雷閃終撃!』
ヴェル=オルディウスの核に剣を突き刺し、ヒビが入る。
「あと少し……!」
フェリシアが時空剣を構え、最後の一撃を狙う。
ヴェル=オルディウスは最後の咆哮で抵抗を試みるが――
「これで決める!」
刹那、フェリシアの剣が核を破壊した。
ヴェル=オルディウスの体が完全に静止する。
だが、すぐに異常事態が発生した。
「まさか……!」
結月が叫ぶ。
ヴェル=オルディウスの体から光が漏れ、空間が不安定になっていく。
「警戒しろ……!」
桜華が叫ぶが、すでに遅かった。
ヴェル=オルディウスは、目の前から消え失せた。
「な、なに……?」
凛香が息を呑み、周囲を見回す。
その瞬間、全員に動揺が広がった。
「気をつけろ! 何かを狙っている!」
フェリシアが声を張り上げる。
「シールドを張れ!」
その号令を合図に、みんなが防御の態勢に入る。
予想もしない方向からヴェル=オルディウスの槍が振り下ろされ、圧倒的な力で一人一人を吹き飛ばしていった。
「くそっ、あいつ……!」
エリオが血を吐き、倒れた。
そして、フェリシアが肩を貫かれ、痛みに呻く。
「そ……んな……!」
魔法の盾は破られ、キャメロンもその場で息絶えた。
「もう終わりだ……」
ミハイルが、力なく呟く。
「どうして……こんなことに……」
桜華の声が震えている。
「みんな、ごめん……」
フェリシアは顔を歪めた。
肩に深い傷を負いながらも、立ち上がろうとするが、無情にもヴェル=オルディウスの槍が再び襲いかかり、その場に崩れ落ちた。
次々と仲間が倒れ、希望は消え失せた。
「最後の一人っす……」
タケルは力を振り絞って立ち向かうが、その身が砕けるようなダメージを受けた。
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