黒天の巨影 - ヴェル=オルディウス討伐戦
巨大な岩壁に囲まれたダンジョン「エクリプス・キャニオン」。
ギルドの総勢三十名が集まり、最後の準備を整えていた。
今回の挑戦は、初めての本格的なレイド討伐戦。
誰もが緊張した面持ちで、装備やアイテムを慎重に確認している。
「いよいよだ、覚悟を決めろ」
フェリシアは剣を高く掲げ、皆の目をしっかりと見据える。
その声には冷静さと共に、鼓舞する力強さが込められている。
「攻略できれば、ランクアップっす」
タケルは自分に言い聞かせ、剣の柄を軽く叩いた。
この先に待ち受けるボスは、「アヴァロン・ガーディアンズ」と「サンシャイン・レギオン」が挑戦し、撃破できなかった強敵。
だが、今回は違う。
三つのパーティーが築き上げた連携がある。
――それが、この戦いを決定づける。
転送魔法が発動し、五層のボス部屋の扉の前に移動する。
重苦しい圧力が辺りを包み込み、誰もがその異様な気配を肌で感じる。
「……行くっす」
タケルが短く呟き、その言葉が、重い沈黙を破った。
フェリシアは深呼吸をひとつ、そして扉に手をかける。
その手が扉を押し開けると、闇が一気に広がった。
《黒天の巨影 ヴェル=オルディウス》
黒曜石の甲殻が鈍く輝き、腕に握られた槍からは冷たいオーラが放たれていた。
存在そのものが脅威となる魔物だ。
ミハイルが前線に立ち、剣を構える。
「クリアする! 今日こそ!」
その言葉が、仲間たちに戦う意志を呼び覚ます。
ヴェル=オルディウス――次元を超えて存在する。
その攻撃の際にのみ実体化し、時間を操る。
「攻撃のタイミングを見極め、迎撃するぞ……!」
フェリシアは鋭い目つきで戦術を説明した。
ヴェル=オルディウスにダメージを与えると、過去に戻り、戦局がリセットされる。
会心の一撃、もしくは連続攻撃を駆使する戦術が求められる。
「時間操作か……厄介だな」
エリオは苦笑を浮かべ、両手の剣を力強く握り直す。
その表情には、不安が垣間見えた。
そして、ヴェル=オルディウスが動き出す。
「来るぞ! 全員、フォーメーション!」
号令と共に、各自がそれぞれの位置に着く。
重い足音が響き渡る中、戦闘が始まった。
ヴェル=オルディウスの暗黒の槍が振り下ろされ、その衝撃波が空間を揺るがす。
無数の幻影が現れ、視界をかき乱す。
戦場はたちまち混乱に包まれた。
タケルが前方に駆け出した。
幻影に惑わされることなく、足元をしっかりと見据え、剣先を定める。
ミハイルは盾を構え、後方をしっかりと守った。
背中で感じる仲間たちの気配、すぐ後ろの安心感が彼の力となる。
エリオはすでに間合いを詰め、剣を振るい、幻影を次々に斬り払っていく。
その一撃一撃に、まるで命を懸けているかのような気迫が込められた。
幻影は数を増し、次々と現れた。
しかし、ギルドメンバーたちは動揺することなく、落ち着いて行動を続ける。
ヴェル=オルディウスの槍が再び振り下ろされ、激しい音を立てて空を切った。
攻撃が実体化する瞬間を見極め、迎撃の準備を整える。
フェリシアの目が鋭く光り、その決意が仲間たちを駆り立てる。
「絶対に勝つぞ」
戦場に強力な連携が生まれ、意志が一つに集約される。
「ミハイル、エリオ、次の攻撃に備えろ! タケル、先行して誘導!」
ヴェル=オルディウスの暗黒の槍をかわし、計画通りに攻撃を繰り出す。
未来を切り開くため、仲間たちは一致団結して戦い続けている。
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