ゴブリンの森で転がる剣聖!? 執事が救うドタバタ冒険
ダンジョン「ゴブリンの森」に足を踏み入れると、すぐにひんやりと重たい空気が包み込んだ。
木々の間から不穏な囁きが聞こえ、ゴブリンたちの姿がちらちらと見え隠れしている。
「お嬢様、どうかご注意を」
リチャードは冷静に警告するが、唯奈はそれをまるで耳に入れず、前へと歩を進める。
「大丈夫よ! 私に任せて!」
意気揚々と剣を抜き、ゴブリンたちに向かって突進する。
しかし、足元にあった小さな土の塊に足を引っかけ、バランスを崩してしまった。
「わっ!」
そのまま勢いよく前のめりになり、転がっていく。
ゴブリンたちはその奇妙な動きに目を丸くし、しばらく固まった。
「リチャード、ゴブリンが動かないのはどうして?」
「お嬢様が有り得ない姿勢で突っ込んだからです」
「……え、あれ?」
唯奈は恥ずかしそうに立ち上がり、リチャードに視線を送る。
「ま、まあ、これくらい軽いわ!」
唯奈は気を取り直し、剣を構える。
しかし、予想以上に強く振りかぶりすぎて、剣が大きな岩に引っかかり、宙を舞ってしまった。
「お嬢様、やはりシャリオン様の加護がなければ……」
「また拾ってくればいいだけ!」
唯奈は気楽にそう言い放つが、結局リチャードが素早く拾い、ゴブリンたちを手際よく片付ける。
「前方にボスゴブリンが現れました」
「そんなのすぐ倒してやるわ!」
唯奈は自信満々で前に出る。
しかし、足元の根っこに気づかず、勢いよく踏み込んだ。
足が引っ掛かり、転びそうになるが、何とか耐え、ボスの前で「すっ」と立ち止まる。
その瞬間、相手の動きが固まった。
「リチャード、何が起こったの?」
「……突然の動きに驚いて、立ちすくんでいます」
刹那、ボスゴブリンは体を揺らして、ぎこちなく倒れた。
「え、あれ? 私が倒したの?」
「混乱して意識を失ったようです」
「うーん、まあ、いいわ。私のオーラが強すぎたってことね!」
唯奈はまんざらでもない様子で、アイテムを拾い始める。
リチャードはゴブリンの残党を蹴散らし、唯奈を陰から支えるのだった。
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