桜華、舞う――転生忍者のリベンジ
結月は、森の奥から響く凄まじい咆哮に耳を澄ませた。
音が鳴るたび、周囲の空気が冷たく変わるのを感じる。
「これは……ただのゴブリンの群れじゃない……」
その呟きに、凛香がちらりと視線を送った。
目は鋭さを増し、警戒心が強まっている。
姿を現したのは異様な存在。
黒い甲冑をまとい、魔力から王の威厳が滲み出ていた。
「……ゴブリンロードだ」
凛香は唇を震わせ、戦慄を押し込めるように告げた。
その眼差しは獲物を狙う猛獣の如く、圧倒的な強さを示していた。
「俺の名はガルド。犯してから喰らってやる、人間ども」
桜華の胸に、遠い過去の記憶が蘇る。
名門忍者一族・天ノ川家の誇り、父・一玄の強固な意志。
裏切り者の陰謀で失った家族、そして命。
転生した今、復讐だけでは動けない。
信念がなければ、戦う意味すら失う。
掌に現れた忍術の符が鋭く輝き、魔法の力を纏いながら周囲に広がる。
「遅れは取らない」
印を結ぶと衝撃波が空間を裂き、ゴブリンたちは後退を余儀なくされた。
『忍術・霧隠の術!』
霧が広がると桜華の姿は消え、音もなくガルドの背後に回りこんでいく。
強化された「忍の刃」を手に、斧を振るうガルドに素早く対峙する。
さらに別の術を組み合わせる。
『風火旋風!』
風と炎が渦巻き、大地を震わせる。
ガルドの巨体も激しく揺れ、周囲のゴブリンは暴風に飲まれた。
「これで終わりだと思うなよ」
次々と放つ手裏剣は魔力を帯び、命中するたび爆発的なエネルギーを周囲に広げる。
ガルドは回避しようとするが、桜華の巧妙な動きに翻弄される。
煙が晴れると、桜華は軽やかに着地し、仲間たちを見やった。
「――さあ、決着をつけるぞ」
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