ヒーローコード発動――タケルの挑戦
「ゴブリンの森」
──その名の通り、見た目以上に厄介なダンジョンだった。
霧が立ちこめ、視界はほとんど奪われている。
木々と蔦が絡みつき、不気味な気配が漂う。
その白いもやの向こうで――ゴブリンたちがじっとこちらを見つめていた。
油断すれば、一瞬で包囲されるだろう。
「ここマジで暗いし、怖いんすけど……」
タケルが落ち着かない様子で周囲を見回す。
普段は豪快な彼女も、この森の雰囲気だけは苦手らしい。
「大丈夫だよ、タケル。みんなで一緒に進めば怖くないよ」
桜華が柔らかい声で励ます。
その言葉に、タケルの肩の力が少し抜けた。
結月が、霧の奥に視線を向け、低く呟いた。
「敵の動きが単調すぎる……このまま突き進むのは危険」
「お、さすが! 頼りになるっすね!」
「別に」
「もしかして、照れてるんすか?」
軽口を交わしながらも、タケルの胸には忘れられない記憶があった。
異世界で失った仲間たち。
今度こそ大切な人たちを守る――その決意が、彼女の中で燃えている。
「下がるっす!」
タケルは叫ぶと、内に眠る力を呼び覚ました。
《ヒーローコード・アクティブ!》
金属の光が全身を包み、タケルの姿がメタルキングゴーレムへと変わる。
ずしりと重い感覚が足元から伝わった。
地面が軋み、身体の動きが鈍る。
「いけるっしょ……!」
息を荒げ、構えを取った。
ゴブリンたちは容赦なく迫ってきた。
「くそっ……!」
焦りが胸を締めつける。
そのとき――
「タケル、何とかして!」
結月の声が飛ぶ。
「任せるっす!」
タケルは拳を握り、再び力を解き放つ。
《挑発・アクティブ!》
「こっちだ! 全員まとめて相手してやるっす!」
怒号が響き、ゴブリンたちが一斉にタケルに突進してきた。
「誰にも手出しさせねぇ!」
痛みをこらえ、仲間の前に立つタケル。
その姿に、桜華が息を呑む。
「……すごい」
タケルは振り返り、わずかに笑った。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




