世界は救った。だけど、キミはもういない。 〜未来改変の代償は、たった一人の少女の存在でした〜
――――ロウィンの視点。
魔法陣が消えたあとも、会場は混乱の渦の中にあった。
悲鳴、ざわめき、焦げた空気――それら全部を見下ろしながら、俺は深く息をつく。
「絶対に手を出すな。このまま帰るぞ」
声を張るでもなく、静かに命じる。
次の瞬間、俺たちの体を光が包み、転送魔法が発動した。
光が弾け、視界が白に染まる――そして、外の世界へ。
そこには、ザルクス率いるダークエルフの精鋭部隊が待機していた。
ルミナとヒーローズ・カレッジのクラスメイトも姿を見せる。
さらに、サラ、レイナ、かなえ、そして異世界ラグナヴィアからの大増援まで集結していた。
俺は一歩前に出て、短く詠唱する。
『千年魔法、解除』
体を包んでいた金のオーラが消えていく。
シルヴァーナの掌から淡い光がこぼれ、召喚されていた魂が薄れていった。
ヴァルカは元の姿に戻り、リリスとアルティアも魔力の供給を止める。
ザルクスがほっと息をつき、俺に声をかけた。
「無事で良かった」
「ご心配をおかけしました」
ルミナが眉を寄せ、拗ねたように言う。
「せっかく学校をサボって来たのに……」
唯奈は腕を組んで、退屈そうに鼻を鳴らす。
「私も派手に暴れたかったんだけどね」
サラは毛づくろいをしながら、のんびりと呟いた。
「久しぶりにドラゴンに乗って、大空を翔けてみたかったのだが……」
レイナは小さく笑い声を漏らす。
「うふふ」
かなえの瞳に星の紋様が浮かび上がる。
「世界そのものを星座の光で包んでみたいわ」
ルミナドラゴンが大きな金の翼を広げ、天へと舞い上がる。
流星のような光の尾を引きながら、勝利を祝う咆哮が空に響いた。
その光景を、アリアはただ見つめていた。
彼女の体が淡く光り始め、輪郭がゆらめく。
「未来が変われば、私も存在しない」
その声には、深い哀しみが滲んでいた。
「でも、後悔はありません。これで良かったのです」
穏やかな笑みを浮かべながら、アリアは光の粒となって空へと消えていった。
――ありがとう。
その言葉を、俺は声に出せなかった。
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