婚約者シルヴァーナと転生令嬢アリア――ディナー前の告白が導く惨劇の序章
――――ロウィンの視点。
ディナーが始まる直前、会場の空気が少し和らいでいた。
ざわめきの中に身を置きながら、ゆっくりと周囲を見回す。
その視線の先に、シルヴァーナがいた。
客たちと談笑していたが、俺の方に気づくと、表情がわずかに変わる。
迷うことなく、俺のもとへ歩み寄ってきた。
「あなたのことが心配だったの」
その声には、優しさがこもっていた。
銀髪が照明を受けて揺れ、黄色のドレスが淡く輝く。
「君がここにいるとは思わなかった」
俺がそう言うと、シルヴァーナは眉をひそめて問いかけてきた。
「アリアって、不自然よね?」
「どうすればいいんだろう……」
声を落として言葉を選ぶ。
「彼女には、転生令嬢とは違う何かがある」
シルヴァーナは目を細め、その言葉を受け止めた。
「でも――あなたを守りたいという気持ちは、本物じゃないかしら?」
俺の胸を揺さぶった。
「……彼女の目的を知りたい」
シルヴァーナは手を組み、しっかりと告げる。
「私はあなたを心から大切に思っている。危険に巻き込まれないために、手を打つわ」
婚約という絆。
その重みを、俺は痛いほど分かっていた。
「もうすぐディナーが始まる。せっかくだし、一緒に食事をしよう」
そのとき、アリアが俺たちに近づいてきた。
「お話があります」
俺とシルヴァーナは、自然と身構えた。
アリアはその警戒を受け止め、静かに息を吐く。
「――この後に起こる惨劇を、知ってほしいのです」
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